軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

獣人族の立場

「さて、各々に様々な事情があったと思うけど、君達は奴隷として獣人国ズベーラから、バルストに売りに出された。そして、僕が買い、保護したというわけだね。勿論、意味なく保護したわけじゃない。君達には、バルディア領の発展に貢献してほしいと思っているんだ。僕と一緒にね」

僕の言葉を聞いた獣人の皆は、きょとんとした表情浮かべる者が多い。

でも、中には思案顔や僕を睨む者など反応は様々だ。

僕はそんな彼らにニコリと微笑み説明を続けた。

この場にいる獣人族の皆に対して僕は、衣食住の用意と様々な教育を施す。

それにより、獣人族の皆が得た『力』を使いバルディア領の発展に貢献していってもらう。

その方針と仕組みを簡単に伝えた。

「……とまぁ、こんな感じかな。今日、体験してもらった『湯浴み』や『食事』、それから、この後に案内する皆の部屋も気に入ってくれると思うよ」

説明を終えると、獣人の一人がスッと挙手した。

僕はその子に視線を向けて問い掛ける。

「質問かな? 君は……念のため、種族と名前を言ってもらっていいかな?」

「……熊人族のカルアだ。一つ聞きたい、『保護』とはどういう意味だ。我々は奴隷ではないのか?」

「良い質問だね。カルア」

今後、彼らに対して『奴隷』という言葉は使えない。

何故なら、帝国において奴隷は禁止されているからだ。

ならば表面上はどうするのか? それは『保護』である。

バルディア家はバルストにおいて、獣人族の子供達が大量に奴隷売買される情報を得た為、『救済』という名目で彼らをバルストの法律に則り購入。

その後、奴隷として排出された子供達を国に帰すわけにもいかず、止む無くバルディア領で受け入れる。

さらに、保護した子供達には奴隷解放に使用した資金分、領内で働いて返してもらう。

その為の教育施設がここなのだ。

「……つまり、君達はバルディア領において正確には奴隷ではないんだよ。ただし、君達を奴隷から解放するために使った資金は、こちらが提示する方法で働いて返してもらうよ。それが結果として、バルディア領の発展にも繋がるからね」

「それで『保護』というわけか……しかし、『ものは言いよう』とはよく言ったものだ。あんた、良い人だけど、考えることは悪どいな」

カルアは説明を聞き終えると呆れ顔を浮かべている。

どうやら彼は、僕の言わんとしていることを粗方理解したようだ。

すると、また別の獣人が挙手したので、そちらに視線を移す。

「君も質問かな、種族と名前を言ってね」

「兎人族のアルマです。その借金を貴方に返し終えたら、私達はどうなるんですか?」

「勿論、晴れて自由の身となるかな。ただ、この施設で教える事は外部には出せない。だから、領内から出て行くことは難しいけどね。その時は、この施設から出て領内のどこかに住んでもらっても良いよ。もっとも、この施設より良い暮らしが出来るか現状わからないけどね」

『自由の身になれる』その言葉が思いがけないものだったのか、アルマの表情に困惑が見て取れる。

良い機会だから、少し釘を刺すか。僕は凄むと悠然と言葉を口にした。

「……君達はどのような過程であれ、バルストで『奴隷』になったのは事実だ。その時点で、君達の人生は一度終わったんだよ。だけど、幸いな事に君達はもう一度、人として生きる機会にここで恵まれたんだ。その意味をしっかり考えてほしい」

言い終えると同時に、大会議室に静寂が訪れる。

しかし、その中で声を発しながら挙手する者が現れる。

「兎人族のオヴェリアですが、リッド様、いいですか?」

「良いよ。じゃあ、君で最後にしようか」

彼女はその場におもむろに立つと僕をギロリと睨む。

「説明はわかった。ところで、さっき食堂であたし達に聞いたよな? 獣人族が自ら進んで協力する者についてだ」

何かするつもりかな? まぁ、誘いに乗るのも一興かもしれない。

彼女の問いかけに頷き答えた。

「……そうだね。是非、教えて欲しいと思っているよ」

僕の言動にオヴェリアは不敵にニヤリと笑った。