軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鳥人族の少女

「お兄ちゃん、みぃーつけた‼」

突然、鳥人族の少女が大きな声を医務室に響かせた。

彼女は嬉々とした表情を浮かべながら、勢いよく僕に向かって飛んでくる。

そのまま抱きついてきたことに僕は少し驚くが、すぐに馬車の荷台で魔法を放った子だとわかった。

しかし、抱きついて来た時の衝撃が意外に強くて、思わず後ろに倒れそうになる。

だが、そんな僕をカペラがそっと支えてくれた。

「ありがとう、カペラ」

「いえ、問題ありません」

「えへへ、やっぱり優しい瞳をしたお兄ちゃんだぁ」

鳥人族の少女は僕に抱きつきながら顔をスリスリしてくる。

鳥人族だけど、ちょっと猫っぽい。

僕は彼女の肩に両手を添えて少し離すと、メルを叱るように優しく諭す。

「えっと、確かアリアだったね。医務室……というか建物の中で飛んじゃ駄目だよ」

「えぇえ……それじゃあつまんないよ」

アリアは僕の言葉を聞くと、そっぽを向いて口を尖らせた。

メルを彷彿させる彼女の言動に、僕は思わず微笑する。

「ふふ、でも、他の人にも迷惑がかかるからね。それに、アリアには妹達がいるんでしょ? 皆がお姉ちゃんの真似したら、僕達はアリアを怒らないといけなくなっちゃうよ」

「えぇ⁉ じゃあ、お兄ちゃんも怒るの……?」

「そうだね。アリアが言う事を聞いてくれないなら、怒らないといけないかも知れないね」

優しく答えると、彼女は口を尖らせながらシュンとする。

それから少しの間を置いてから、僕の目を少し怯えたように見つめた。

「お兄ちゃんも……他の人もやっぱり怒ったら私達に酷い事するの?」

「え? そんなことは絶対にしないよ。その、君の言う『酷い事』についてはまた今度聞かせて欲しいけど、少なからずここでは悪い事をしたら言葉で叱るぐらいだと思うよ」

彼女は僕の答えを聞くと、顔がパァっと明るくなり可愛らしく微笑んだ。

「そうなんだ……ふふ、わかった。じゃあ、お兄ちゃんの言う事聞くから頭撫でて‼」

「う、うん。わかった」

少し戸惑いつつも僕は、アリアの言う通り彼女の頭を、メルにするように優しく撫でる。

すると彼女は、安堵したように顔を綻ばせた。

「お兄ちゃん、本当に優しいんだね。えへへ、皆が起きたら教えてあげようっと」

「あ、そうだ。君と妹達のことも今度、教えてもらっても良いかな?」

「うん。妹達が目を覚ましたら、お兄ちゃんに紹介するね」

僕はニコリと微笑んで彼女の答えに頷く。

「ありがとう。アリアの妹達とも話せるのを楽しみにしているね。ところで、ご飯は食べた?」

「ううん。皆、起きた時に私がいないと不安になると思うの。だから、皆が起きるまでは私はここにいるつもり」

彼女は首を小さく横に振ると、妹達を思う強い意思を目に宿してから答えた。

アリアは、明るく無邪気な表情をしていたけど、妹達の事になると一転して顔つきが少し真面目なものに変わる。

その時、『パチッ』と静電気が弾けるような音が聞こえた気がした。

「ん……今、何か聞こえなかった?」

「いえ、私は特には聞こえませんでしたが……」

「私も、特に何も聞こえませんでしたよ」

音が聞こえた後、傍に居たカペラとサンドラに尋ねてみるが、二人共きょとんとした顔を浮かべている。

どうやら特に何も聞こえなかったらしい。

僕の気のせいか。と思い、アリアに視線を戻すと何やら彼女は満面の笑みを浮かべている。

「えへへ、やっぱり思った通りお兄ちゃんは、私達と一緒なんだね」

彼女はそういうと、僕に顔を近づけてそっと耳打ちをする。

「……その音の秘密も今度教えてあげるね」

「う、うん。わかった楽しみにしておくよ」

少し戸惑いながらも笑みを浮かべて僕が頷くと、彼女はまた嬉しそうに笑みを溢している。

しかし、音の秘密とはなんだろうか? と僕は、彼女の笑みを見ながらきょとんと首を傾げるのであった。