軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

リッドの秘密・2

「僕には前世の記憶があります……‼」

「……は?」

少し緊張した面持ちで僕の話を聞いていた皆は予想外の言葉でキョトンとしてしまったが、代表するようにクリスが恐る恐る口を開いた。

「ぜ、前世の記憶ですか?」

「うん、信じられないと思うけど、本当だよ」

僕はこの場にいる皆に、前世の記憶を得た時の話から今までに至る経緯を丁寧に説明した。

そして、前世において今いる世界を「疑似体験」していたことも伝えた。

皆はなんとも言えない表情で黙って話を聞いていた。

僕の説明が終わると、部屋に静寂が訪れる。

そんな中、父上も皆に向かって話しかけた。

「突然の事で驚くのも無理はない。私も初めて聞いた時は耳を疑った。だが、リッドが持っている知識や、言動はそう考えれば納得が行くものが多い。私も詳しくは聞いていないが、前世の記憶とやらの世界は、私達の文化とはまた違うものが多いようだしな……そうだな、リッド?」

「えーと……そうですね。ただ、『文化が違う』というのは間違いではありませんが、付け加えると『文明が進んでいる』ですね」

父上は信憑性を持たせる為に補足をした後に、確認するように話を振ってくれた。

僕の言葉を聞いて、サンドラとエレン達の表情が少し変わった気がする。

スッとサンドラが手を上げた。

「サンドラ、どうしたの?」

「……リッド様、正直にわかには信じられないのですが、その前世の記憶にある『進んでいる文明』について色々聞かせて頂きたいのです」

「ぼ、僕も聞きたいです‼」

「俺も聞きたいです‼」

彼女に追随するようにエレンとアレックスが声を上げた。

三人とも目が興味津々と言った感じで目が爛々としている。

クリスとディアナも三人ほどではないが、興味を引かれているようだ。

僕は少し考え込んでから、おもむろに言った。

「……わかった。でも、全部は話せないからこの場では少しだけ話すね」

「はい、是非お願い致します」

サンドラの返事に合わせて頷く皆を見渡しながら、僕は前世の世界で知っている文明を皆に説明を始めた。

特にサンドラやエレン、アレックスが僕の話にとても興味を持ち、聞いているうちに目の輝きが増した。

途中からサンドラ達の質疑応答に僕が返事をするような状況になっており、三人はあらかた質問を終えると、感心したような顔で唸っていた。

「うーん、『魔法が存在しない』というのは頂けませんが、面白い世界ですね」

「……リッド様の話を聞く限り、確かに僕達よりかなり発達している文明だと思います」

「ふぅ……質問はもう大丈夫かな?」

思った以上に三人の質問が多くて大変だったけど、答えられることは答えた。

僕は説明が終わり、皆を見渡すとスッとクリスが手を上げた。

「リッド様、よろしいでしょうか?」

「うん、クリスは何が気になるの?」

「気になると言うか、リッド様はその知識を使って何をなさるおつもりで、私達に話した理由をお伺いしたいのです」

彼女の質問を聞いて、皆の目の色がまた少し変わった。

不安と興味が入り混じったようなそんな目をしている。

僕は深呼吸をしてから、皆を見据えながら笑顔で言った。

「……することは何も変わらないよ。これからも、母上を助ける為、領地発展の為に知識は使っていくつもり。だけど、今後は考えている事の規模が大きくなってくるから、協力してくれる皆には情報共有する為に事前に伝えたかったの」

そう、これから僕がやろうとしていることは前世の知識を活かして魔法と共に領地を発展させることだ。

僕が将来的に「断罪される」可能性があることは父上を含めて、誰にも伝えてはいない。

ここにいる皆は僕に関わった以上、将来的に何か影響があると考えている。

それなら、皆を守れるほどの「力」を僕が得ればいい。

だけどそれは、僕個人だけの力では出来ることに限界がある。

だから、皆の力を借りて僕は領地を発展させて「守れる力」を得ようと言うわけだ。

クリスは僕の言葉を聞いて安堵したような表情を浮かべた。

「わかりました。どこまでお手伝いできるかわかりませんが、私は出来る限り協力させて頂きます」

「……‼ ありがとう、クリス‼」

彼女と僕のやり取りを見ていた皆も、頷きながら言った。

「僕達は当然、協力させて頂きます‼ それと是非、リッド様の知識をもっと伺いたいです‼」

「私も、です。特に魔法とリッド様の知識を混ぜ合わせたらどうなるのか、とても楽しみです」

「私はリッド様の従者として、付き従うのみでございます」

僕は皆の言葉が嬉しいあまりに目が潤んだ。

本心で言えば、皆が受け入れてくれるかどうかとても不安だった。

父上は認めてくれたけど、他の皆はどうだろうか?

本当は最初、皆が退室するかどうか気が気じゃなかった。

もし、誰かが部屋を退室したらどうしようと思っていた。

だけど皆は僕の話を信じてくれた。それが嬉しくて、自然と目元が熱くなったのだった。

僕はハッとして、目元を拭った。

「皆、ありがとう‼ 改めて、これからよろしくね‼」

皆、僕の様子を見ながら微笑んでいる様子だったが、サンドラがニヤリと笑った。

「それで、リッド様は今後、何をどうするおつもりなのですか?」

「あ、それはね……」

サンドラの質問に答える流れで僕は今後、何を考えているのかを丁寧に説明をした。

この件について話すのは初めてなので、父上も寝耳に水だったようで驚いた様子で聞いていた。

僕が話し終えると、皆は呆気に取られて目を丸くしていた。

そんな中、呆れた様子で父上が僕に言った。

「リッド……そんな話は聞いていないぞ」

「そうですね。今、初めて言いましたから……」

僕の言葉を聞いた父上は、額に手を当てながら小さく「はぁ……」とため息を吐いて俯いた。

その様子を見てハッとしたサンドラとエレン、アレックスは興奮した様子で目を輝かせながら言った。

「リッド様‼ やりましょう‼ 僕達、リッド様の知識を学んで必ず作ります‼」

「いいですね。未知の知識と魔法を組み合わせると言うのは……研究意欲を刺激しますね……‼」

サンドラとエレン達の様子を横目に、クリスは肩をすくめながらも僕を力強く見据えると言った。

「こんな機会に巡り合うなんて、バルディア領に来る前には思いもしませんでしたよ。私も皆さんが必要な物を集められるよう尽力させて頂きます」

「皆、ありがとう‼ 改めてこれからもよろしくね‼」

それから僕達は、今後の動きについて話し合いを続けるのであった。