軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その78

残っていたアンデッドの討伐は非常に簡単だった。

回復したエイルと共に、俺も前線に立って討伐にあたった。

サポートは主にエンペラに任せたが、俺がしっかりとバランスを見ながらサブアタッカーのような立ち回りをしていたため、やりやすかったはず。

そして、今回の目的である強敵のエルダーリッチとも対面したが、特に苦戦することなく、飛んでくる数々の魔法をものともせずエイルが突っ込んでくれた。

相当な被弾を受け、かなりのダメージを負っていたものの、そんなエイルを盾代わりに距離を詰めた俺が冷静に処理。

魔法能力には秀でているエルダーリッチだったが、近接戦ではそこらのアンデッドと変わらず、あっさり仕留めることができた。

持っていた杖の回収もできたし、これで今回の目的は達成。

あとはさっさと帰りたいところだが、今回の聖教国には色々と引っかかるところがあるんだよな。

「エルダーリッチを仕留めてきた。エイルは大丈夫か?」

「くっそぉ! ジェイド、美味しいところを持っていきやがったな! 動けないからおんぶしろ!」

「その元気さなら大丈夫そうだな。エイルは討伐したアンデッドの剥ぎ取りを頼む。俺は倒れている冒険者の救護を行う」

「俺の救護が最優先だろ! ジェイドのばか!」

エイルは色々と叫んでいるが、被弾はしていたものの上手くガードしていたようで、傷自体は浅いようだったからな。

持参しているであろう回復ポーションで何とかしてもらい、俺は倒れている冒険者の救護を優先することにした。

統率も何もないハチャメチャな戦いだったこともあり、既に死んでしまっている者が多かったが、息のある者は迅速に後方のキャンプ地へと移動させていく。

剥ぎ取りはエイルに任せ、俺は冒険者を助けていき、後方で待機していた神父たちには救出した冒険者たちの手当てを担当させた。

アンデッドの殲滅自体にはあまり時間は要さなかったものの、救護に時間がかかってしまい、あっという間に日が暮れてしまった。

本当ならば聖教国に戻って体を休められていたはずだが……人命救護は仕方がない。

「あー、疲れたッ! 魔物を倒すよりも、剥ぎ取りのほうが大変ってどういうことだよ! このチビスケも細けぇし!」

「デカブツが雑すぎるのが悪い。不器用女め」

「んだと! 今からやってやるぞ!!」

「上等。力関係を分からせる」

「やめておけ。無駄に疲れるだけだし、近くで戦われたら俺も鬱陶しい」

すぐに喧嘩を始めようとするエイルとエンペラを宥めながら、なけなしのご飯をちびちびと食べる。

こんなことになっているとは思わず、ご飯をほとんど持ってきていなかったのが誤算だったな。

消費するとはいえ、食材は嵩張るし消費期限も短いものばかり。

普段なら現地調達するという手もあるため、完全に軽視していた。

アンデッドに攻め込まれていたためか、野生の獣はおろか、自生している野草すらないとは思わなかったな。

そんな状況もあってか、二人も余計な体力を使うのがバカバカしいと思ったようで、言い争いはすぐに終わった。

「それにしても、かなり異様な場所だったな。ここまで戦死者が多いとは想像もしていなかった」

「それは俺もだ! 他国の冒険者を集めて、雑に扱っていたときから怪しいとは思ったけどな!」

「ちなみに、どういう協力要請が届いたんだ? 神父たちの反応を見る限りでは、冒険者ギルドのギルド長が来たことに驚いていたぞ」

「うーん……。エルダーリッチを含む強いアンデッドに攻め込まれているから助けてくれ、って感じだったぜ? 詳しくは覚えてねぇ!」

この感じだと、ちゃんと内容を把握せずに依頼を受けたようだな。

おそらくエルダーリッチという文字だけを見て、面白そうだと思ったんだろう。

「格安の依頼料だったのかもな。必然的に低級冒険者しか集まらないから、あれだけ驚いたと考えるのが自然だ」

「なるほどな! 依頼料は見てなかったわ!」

「そんなことだろうと思った。とりあえず……意図的に討伐しなかったのか、金がなくて依頼料を払えなかったのかは確認したいな」

「ん? 意図的に討伐しなかったなんてことがあるのか?」

エイルはぽかんと口を開けながら、首を傾げている。

理由は分からないが、その可能性があると俺は思っている。

神父たちが一切戦っていないのも引っかかっていたしな。

負け戦だから戦いたくないというのは分かるが、遠距離攻撃や回復によるサポートぐらいはできたはずだ。

常に余裕そうな態度も含めて、攻め込まれている国の人間の態度には見えなかった。

何なら、俺たちが魔物を殲滅し始めてからのほうが焦っていたくらいだ。

「私も気になっていたな。国の連中は平和そのものって感じだったからな」

「……言われてみれば、確かに! 聖教国は平和そのものだったわ!」

「それだけじゃなく、神父以外にも戦力はいるはずなのに、自国の冒険者や兵士は送り込んですらなかっただろ。何か意図を感じざるを得ない」

俺とエンペラの意見に納得したようで、首を縦に振り続けているエイル。

聖教国自体が胡散臭いと思っていたし、少し調べてみる価値はあると思う。

とはいえ、首を突っ込みすぎても厄介なことになりそうだし、今回は程々に留めておくつもりではあるけどな。