軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その52

従魔の情報を集めるため、俺は王都へとやってきた。

まずは従魔にする方法を調べ、俺でも従魔にできそうであれば、アイテムを運搬できそうな魔物について調べる予定だ。

今のところの第一候補は、マイケルが言っていた時空間魔法を使える魔物。

ドルミノという場所の地下にいるらしいが、条件次第ではこの魔物を従魔にしてみたい。

なにはともあれ、まずは従魔にする方法からだ。

俺は魔物使いについて聞き込みをし、魔物使いがいると噂されている酒場にやってきた。

訪れた大衆酒場は昼間なのに大賑わいで、その二階席に例の魔物使いがいた。

ドレッドヘアーで眉無しという、いかにも悪そうな顔をした男。その横には、これまた悪そうなカマキリのような魔物が床で寝そべっている。

カマキリのような魔物は寝そべりながら近づく俺を睨みつけており、ドレッドヘアーの男は仲間らしき者たちと談笑していて、俺には目もくれない。

普通なら避ける人種だが、魔物使いは王都といえど珍しい職業。この男以外の魔物使いを探す時間は惜しい。

ということで、俺はドレッドヘアーの男に声をかけることにした。

「なぁ、ちょっといいか?」

「あぁ? てめぇ誰だ?」

普通に声をかけただけなのに、いきなり喧嘩腰。

仲間と思しき二人の男も立ち上がり、俺の側まで威嚇しに来た。

「絡みに来たわけじゃない。ちょっと話が聞きたいんだ」

「てめぇが話したいとかどうでもいいんだよ! こっちは気分よく飲んでたんだ! 慰謝料置いていきやがれ!」

見た目通り、とんでもないやつだな。

従魔であるカマキリの魔物も、喧嘩だと察したのか立ち上がり、カマを俺の方に向けてきた。

魔物使いと聞いた時は、もっと平和な感じを想像していたが……まぁ、冒険者である時点で平和な奴なわけがないか。

周りの客もザワザワし始めており、このままでは迷惑がかかってしまう。

俺が話しかけたのが悪いと言われたらそれまでだが、流石にこの対応は駄目だろう。

手を出してきたら――力で捻じ伏せる。

「おい! 黙ってないで何とか言ったらどうなんだ!」

ドレッドヘアーの男は、飲んでいたエールの木のジョッキで俺に殴りかかってきた。

魔物使いでありながら、自分で攻撃するのかと驚きつつ、俺はその攻撃をわざと食らう。

もちろん、ジョッキが触れる瞬間に顔を引いて威力を逃したがな。

とりあえず、これで向こうから手を出してきたわけで、俺がやり返しても正当防衛を主張できる。

まずはドレッドヘアーの男を転ばせ、その間に仲間であろう二人の顎を拳で撃ち抜き気絶させた。

そこでようやく、カマキリの魔物が攻撃を仕掛けてきたが、腕を取って軽く投げ飛ばす。

「おい、魔物の動きを止めろ」

「て、てめぇ! 一体何の目的で俺を襲いに来た!」

「いや、お前から吹っかけてきただろ。いいから魔物を止めろ。これ以上暴れるなら、殺さざるを得なくなる」

俺の言葉に嘘偽りがないと察したのか、男は魔物に止まるよう指示を出した。

その指示の出し方は独特で、首から下げていた細長いホイッスルを吹いていた。

あのホイッスルが魔物とのコミュニケーションに必要なアイテムなのか?

この辺りも聞いてみないといけないな。

「指示に従ってくれてありがとう。お前とはゆっくり話がしたいから、場所を変えてもいいか?」

「く、くそ! 俺を殺す気か!」

「殺さない。迷惑になるから変えたいだけだ」

完全に怯えているが、これ以上説明のしようがないので、半ば強引に酒場から連れ出した。

そして、路地裏でカマキリの魔物と並ばせる。

「喧嘩を吹っかけたのは悪かった。殺さないでくれ」

「だから……もういいか。殺されたくないなら質問に答えろ」

殺さないと言っても聞く耳を持たないので、その設定に乗っかって話を聞くことに決めた。

こっちの方が手っ取り早いし、怯えてくれている分、素直に答えるだろう。

「し、質問とはなんだ? 俺はどこの組織にも所属していないぞ!」

「俺が聞きたいのは、その魔物についてだ。どうやって従魔にしたんだ?」

「こいつは、こいつだけは渡さねぇ!」

「俺の質問だけに答えろ。どうやって従魔にしたんだ?」

「……魔物を使役する笛を使ったんだ。まずは力で分からせて、その後に魔物の好物である魔力丸薬を飲ませる。そして、俺の笛に応えてくれて従魔になった」

従魔にした方法を教えてくれたドレッドヘアーの魔物使い。

力で分からせるのは可能として、魔力丸薬と魔物を使役する笛についてはまだよく分からない。

「魔力丸薬と笛はどこで買った?」

「魔力丸薬は冒険者ギルドで普通に売ってる。笛はたまに市場に出回るが、確実に欲しいなら高額だが闇市で手に入る」

「なるほど。情報提供に感謝する。もう行っていいぞ」

「……聞きたいのはそれだけか? 俺を殺さないのか?」

「ああ、元々殺すつもりなんてなかった。とりあえず、これに懲りたなら横柄な態度はやめておけ。次は――手加減できないかもしれない」

俺が軽く脅すと、ドレッドヘアーの魔物使いは怯えた顔で何度も頷き、カマキリの魔物を連れて逃げ出した。

酒場で暴れていたし兵士に突き出すべきかもしれないが、情報をもらったので見逃そう。

あの様子なら懲りただろうし、もう暴れることもないはずだ。

とりあえず、俺は魔物を使役するために必要なものを購入しに行くとしよう。

本当に魔力丸薬と笛だけで従魔にできるかは疑わしいが、今のところの手がかりはそれだけ。

あの魔物使いの話を信じて、試してみることにしようと思う。