軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その47

大々的に宣伝を打ったことで、一日目も二日目も大盛況。

エレーネもヘトヘトになりながら頑張ってくれたおかげで、無事にすべての商品を売り切ることができた。

予想以上に儲けが出たため、イレーネには臨時報酬を渡し、手伝ってくれたアルフィとセルジにも、次に会ったときにお土産を渡すことに決めた。

利益だけを考えるなら、数週間ほどなら店を開けずとも問題ないほど儲かったが、この店舗の目的は知名度の向上。そう簡単に休むわけにはいかない。

休みたい気持ちを押し殺し、来週の営業に向けて商品調達へ向かうことにした。

今回調達する商品は既に決めてあり、久しぶりの一人での調達だ。

向かう先は、エイルと一緒に潜ったダンジョンの更に奥にあるラージル鉱山。

名前からも分かるとおり、今回の目的は鉱石類。

ラージル鉱山は銀鉱石が採れることで有名な鉱山で、そのほかにも鉄鉱石や金鉱石、さらには白銀鉱石も採れることで知られている。

目玉商品は大きな白銀鉱石。他の鉱石も大量に採掘するつもりだ。

ただし、鉱石を食べる魔物であるオーアモールが大量に生息しているため、非常に危険とされている鉱山でもある。

俺なら大丈夫だとは思うが、一応念には念を入れて準備を整え、ラージル鉱山へと向かうことにした。

ヨークウィッチを出発してから、ほぼ丸一日。

休むことなく走り続けたことで、ラージル鉱山が見えてきた。

一見すると普通の山にしか見えないが、よく目を凝らすと岩肌に鉱石がむき出しになっているのが、遠くからでも確認できる。

危険な場所ゆえに手つかずなのは、非常にありがたい。

目的地は鉱山の中だが、まずは地表に出ている鉱石の確認から始めたい。

遠目からルートを確認して、一気にロッククライミングで鉱石を目指す。

登りやすかったこともあり、目をつけていた鉱石にはすぐ辿り着くことができた。

だが、鉱石の裏には例のオーアモールがおり、一心不乱に鉱石にかじりついている。

可愛らしい見た目の魔物だが、鳥のくちばしのような部分と爪は非常に鋭利だ。

情報通り、オーアモールは食べた鉱石によって自分の体の一部が変化するようで、くちばしと爪が美しい銀色に輝いていた。

主に食べている銀鉱石の影響を強く受けているのが見て取れ、思わず素直に面白いと感じてしまう。

俺が興味津々でオーアモールを観察していたところ、近づきすぎたせいか、銀鉱石に夢中だったオーアモールに気づかれてしまった。

かじっていた銀鉱石からすぐに離れると、間髪入れずにこちらへ突っ込んでくる。

好戦的な性格だとは聞いていたが、まさかこれほど無警戒に攻撃を仕掛けてくるとは思わなかった。

俺はオーアモールの突進を回避しつつ、心臓部分を人差し指で突き刺す。

殺すつもりはなかったのだが、どうやら今の一撃で心臓が止まってしまったようで、オーアモールはそのまま倒れて動かなくなった。

殺してしまったからには、剥ぎ取らせてもらうか。

俺は倒したオーアモールに近づき、観察しながらくちばしと爪を頂くことにした。

全長は八十センチほどで、毛並みはそこそこ硬め。

見た目はくちばしのついたモグラといった感じで愛嬌のある容姿をしているが、性格が好戦的なため、可愛いとは言いがたい。

爪とくちばしは銀鉱石を硬化させたような質感で、かなり使えそうだ。

剥ぎ取った爪を手に取りながら、銀鉱石よりも可能性を感じつつ、とりあえずオーアモールがかじっていた銀鉱石を採取する。

オーアモールが夢中になるだけあって、かなり質の高い銀鉱石だ。

半分ほど食べられてはいたものの、サイズも申し分なく、売り物として十分な品質を備えていた。

持参した道具で採掘を終えたら、一度下まで降りてベースキャンプを設営することにした。

掘った鉱石は溜まり次第、このベースキャンプまで運んで保管する。

これで相当量の鉱石を運び出すことができるし、オーアモールの素材も良い商品になりそうで好都合だ。

今回の狙いは、大量の銀鉱石、オーアモールの爪とくちばし、そして白銀鉱石の三種類。

オーアモールについては、白銀鉱石を食べた個体もいるかもしれないので、珍しいと判断したものは積極的に狩るつもりだ。

そんなことを考えながらベースキャンプを整えた俺は、さっそくラージル鉱山の内部へと向かった。

外周をぐるりと回り、かつて誰かが探索に使ったと思われる穴から、ラージル鉱山の中へ入っていく。

すぐに銀鉱石が見つかったことから、鉱山内は銀鉱石だらけかと思ったが、どうやらそうでもなさそうだ。

もしかすると、外壁のほうが銀鉱石を見つけやすいのかもしれない……そう思いつつも、ひとまずは鉱山内を中心に探していくことにした。

しかし、鉱石もなければオーアモールの姿もない。

少し拍子抜けした気分になりながらも、俺は慎重に鉱山の奥へと進んでいったのだった。