軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その41

大盗賊もおり、秘宝もまだ誰にも持ち去られていない。

この情報だけでも、十分に価値がある。

調査員や冒険者たちが探しても見つかっていないということは、簡単には見つからない場所に隠されている可能性が高い。

まずは、宝を隠せそうな場所を探すところからだな。

「ジェット、宝が隠されていそうな場所に心当たりはあるのか?」

「ああ、あるぜ。まだ誰にも探されておらず、ブルーザー近辺で隠せそうな場所といえば――南の山の洞窟だ。凶悪な魔物の溜まり場になっていて、知識がある者は近づかない。調査員も探しに行けていないし、行った冒険者の大半は帰って来ず、戻ってきた者も大怪我を負っているから、まともに調査されていない場所なんだ」

「そんな洞窟があるんですね! 怖いですが、ジェイドさんがいれば調査できるんじゃないですか?」

「ああ。俺とアルフィもそこそこ戦えるし、探そうと思えば行けるだろう」

第一候補は南の洞窟か。

凶悪な魔物がゴロゴロいるなら、お宝を隠すにはうってつけの場所。

俺も、可能性はあると思ってしまう。

「なら、早速探しに行きましょうよ!」

「ちょっと待て。俺も南の洞窟にある可能性が高いと思って情報を教えたんだが……引っかかる点もある」

「ん? ジェットが引っかかってる点ってなんだ?」

「果たして、大盗賊が南の洞窟にお宝を隠すことができたのか、という問題だ。さっきも言った通り、南の洞窟は凶悪な魔物で溢れている。一人で隠しに行けるとは思えないんだよな」

確かに、ジェットの言っていることも分かる。

隠すとなると、洞窟の中に入らないといけないからな。

「大盗賊なんだから、強かったんじゃないですか? 弱い大盗賊なんて、大盗賊じゃないですもん!」

「弱かったら大盗賊じゃないという理論はよくわからないが、相当な老人だったからな。仮に実力者だったとしても、年齢には勝てないと俺は思っちまう」

「老人が南の洞窟を攻略するのは難しいってことか。なら、ジェットはどこに隠されていると思うんだ?」

「俺はアルガルの滝の洞窟と踏んでいる。滝の下にある穴から泳いで入れる洞窟で、一般的には知られていない。滝の下の水流が強いところを泳いでいかないといけないが、南の洞窟よりはマシだろうな」

そんな秘密の洞窟みたいな場所があるのか。

確かに、どちらに隠されている可能性が高いかと言われたら、俺もジェットと同じく滝の下の洞窟だと思ってしまう。

「そんな秘密の洞窟があるんですね! 僕、行ってみたいです!」

「体が濡れるし、滝に飛び込まないといけないのは嫌だが、確かに面白そうではあるな。ジェットの見立てでは、どちらかにある可能性が高いってことだな?」

「ああ。まぁ、実際にあるかどうかは行ってみないと分からないが、俺はそう予測している。この二か所になければ、宝そのものが存在しない可能性もあるぜ」

期間も限られていることを考えると、どちらにせよこの二か所しか探索できない。

見つからなければ、大盗賊の宝はきっぱりと諦めて、他の商品になりそうなものを調達する。

「よし。向かう場所は決まったな。ジェット、情報提供ありがとう。これはお礼の金貨一枚だ」

「……ちぇ、本当に金貨一枚だけかよ」

「本当に大盗賊の宝が見つかったら、追加でもう一枚金貨を渡す」

「そりゃ本当か!? 若干渋い気もするが、報酬が倍になるのは嬉しいな! 俺のためにも絶対に見つけてきてくれよ」

「もちろんです! ジェットさんのためではなく、僕たちのために絶対に見つけます!」

ジェットとそんな会話を交わしてから、俺たちはどこに向かうかを話し合うことにした。

時刻はすでに夕方のため、本格的に動き出すのは明日から。

今日はしっかりと話し合いをして準備を整え、明日の朝一で動き出せるようにする。

「ジェイドさん! 頼まれていた買い出しが終わりました! これって防水のための道具ですよね? ということは、滝の洞窟から行くんですか?」

「そういうことだろ。南の洞窟は、俺もなんとなく可能性が低いと思ってるぜ」

「両方探す予定ではあるが、まずはアルガルの滝の洞窟から行こうと思っている。滝の中を潜って探索して、何もなかった場合、濡れたまま南の洞窟に行くのはしんどいが……俺もセルジと同じく、南の洞窟よりも滝の洞窟の方が可能性が高いと思っている」

ジェットの言葉を全面的に信用したわけではないが、「強い魔物が跋扈している洞窟に隠しに行けない」という理由には納得してしまった。

死因は老衰のようだし、ブルーザーの街にやってきたのも直近五年の間だ。

そのことを踏まえると、強い魔物がうようよしている洞窟に行こうとは考えないはず。

まぁ、滝の下の洞窟もどうかとは思うが、危険度でいえば、滝の下の洞窟のほうがまだマシだろう。

「僕にはよく分からないですけど、二人がそう言うのであれば間違いないですね! それじゃあ、防水グッズをいろいろ作成します!」

「俺も手伝うぜ。ジェイドは夕飯の準備をしてくれ」

「分かった。料理はなんでもいいか?」

「なんでもいいですけど、せっかくならジェイドさんの手料理が食べたいです!」

「アルフィは本当に変わってるな。素人のおっさんの手料理なんか、気持ち悪いだけだろ」

「そんなことないですよ! ジェイドさんならそつなくこなしそうですし、僕は楽しみです!」

セルジも別に構わないようなので、今日の夜ご飯は俺の手料理に決まった。

あまり乗り気ではないし、大した料理も作れないが、せっかく作るなら美味しいものを出したい。

ということで、俺は食材の買い出しから行うことにしたのだった。