軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その39

二人が準備を整えるのを待ってから、ブルーザーの街へと向かった。

隣町とはいえ距離があり、歩くこと約四時間でようやくブルーザーの街に到着。

荒野のど真ん中にある街で、周囲には何もない。

隣町ということだし、エアトックくらいには栄えていると思っていたが、立地が悪いのか、かろうじて“街”と呼べる程度だ。

「ここがブルーザーの街か。思っていたよりも栄えていないし、周囲に何もないからか、風もすごく強いな」

「エアトックに住んでいても、ブルーザーの街には滅多に来ませんからね! 隣町とはいえ意外と遠いですし、ブルーザーに来るくらいなら帝都に行きます! 距離も帝都の方が近いですし!」

「大半の人がそうだと思うぜ。とにかく立地が悪すぎる。……ブルーザー名物の“ブチギレ牛のハンバーガー”は美味いんだけどな」

「そんな食べ物があるのか。夕飯にでも食べたいな」

そんな会話をしつつ、俺たちはブルーザーの街で聞き込みをするため、まずは冒険者ギルドに向かうことにした。

何もない街だから、閑散としているのではと思っていたが、冒険者ギルドには大勢の冒険者が集まっていた。

ヨークウィッチと比べても遜色ないほどで、街の規模を考えると多すぎるくらいだ。

アルフィとセルジも想像していなかったのか、冒険者ギルドの盛況ぶりに口を開けて驚いている。

「なんでこんなにいっぱいいるんですか!」

「前に一度来たときは、閑古鳥が鳴いていたぜ? さすがにこの人数の冒険者が集まっているのは異常だな」

「ということは……大盗賊の秘宝目当てでやってきた冒険者たちってことですかね!? これだけの人が集まっていると、本当に秘宝が存在するんじゃないかって思えてきました!」

「ジェイドの話を聞いたときは、九割九分嘘だと思っていたが、この感じだと、この街で大盗賊が死んだというのは本当っぽいな」

この盛況ぶりはやはり異常らしい。

てっきり他に何か理由があるのかと思っていたが、俺と同じく秘宝狙いの冒険者が集まってきているようだ。

「二人の話を聞いて半分以上諦めていたんだが、ちょっと期待してもいいのか?」

「話を聞いてみないと分からないが、少しは期待してもいいかもしれない。秘宝が本当に存在するかどうかまでは分からないけどな」

「そうと決まれば、さっそく聞き込みしましょう! 冒険者に片っ端から聞いて回ればいいですかね?」

「馬鹿か。秘宝目当てで来てる連中なんだから、情報を持っていても簡単に教えてくれるわけないだろ」

「あー、確かにそうですね! じゃあどうやって聞き込みするんですか?」

「俺に一つ当てがある。ちょっとついてきてくれ」

セルジはそう言うと、冒険者ギルドとは反対方向へと歩き始めた。

どこへ向かっているのか見当もつかず、俺とアルフィは顔を見合わせて首を傾げた。

何も分からないままセルジについていくと、たどり着いたのは詰所だった。

なるほど、同じ兵士から情報を聞き出すつもりか。

「セルジさん、頭いいです! 確かに僕たちと同じ兵士なら、いろいろと教えてくれますもんね!」

「そういうこと。しかも、ブルーザーには俺の知り合いがいるからな。快く教えてくれるはずだ」

ここまでセルジが頼もしく見えたことはない。

話が本当なら、これだけでも彼を連れてきた意味があったと言える。

「おーい、ジェットはいるか?」

「……んあ? 奥にいるぜぇ」

詰所には誰もいなかったが、奥から返事が聞こえてきた。

覗いてみると、そこには布団をかぶって寝ている兵士の姿があった。

「おう、ジェット。相変わらずだな」

「なんだ、セルジか。寝てたとこだったのに邪魔すんなよ」

「久しぶりに会ったのに冷てぇな」

「当たり前だろ。お前には散々カモられたからな。で、急に訪ねてきて何の用だ。金なら貸さないぞ」

「金じゃない。とある情報が欲しくて訪ねてきた」

「……なるほど。お前も大盗賊の秘宝を狙いに来たのか」

「情報が欲しい」という言葉で、すぐにこちらの目的を察したジェット。

その目つきはどこか怪しく光っているように見え、セルジとの関係性からしても、簡単には教えてくれなさそうだ。

俺は、そんな嫌な予感をすぐに察した。

「察しがいいな。その通りだ。大盗賊についての情報をくれ」

「嫌だね。簡単には教えられない。セルジにはカモにされているし、その金を返してくれたら考えてやる」

「カモられたって言っても、お前がただ弱かっただけだろ。俺は悪くねぇ」

「ちなみに、額はいくらなんだ?」

「なんだ? お前が払ってくれるのか? 合計で……白金貨1枚と金貨3枚だな!」

俺が額を尋ねると、嬉しそうに答えたジェット。

想像以上にカモられており、安い額なら払ってもいいかと思ったが、さすがにこの額は出せない。

おそらく勤務中にもかかわらず、堂々と寝ていたことからも、性格は間違いなくアルフィやセルジと同じタイプのクズ。

それが分かれば、やりようはいくらでもある。

ジェットをうまく言いくるめて、安く情報を引き出す方向で交渉することにしよう。