軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その34

無事にお宝も入手することができた俺達は、すぐに古の竜穴を後にすることにした。

個人的には良い探検だったけど、トレバーとテイトにとっては少し苦い経験になってしまったかもしれない。

その証拠に2人の表情が落ち込んでいるように見えるし、行きに比べて言葉数も明らかに減っている。

まぁ、単純に疲れているからってだけの可能性もあるけど。

「ふぅー。やっと竜穴から出てくることができたな」

「本当にやっとてすね! 体感時間は数日潜っていたくらい長かった気がします! 狭苦しくて、日の光がないってだけでこんなに気が滅入るものなんですね……!」

「日の光は大きいかもしれません。ダンジョン攻略は、私とトレバーにとっては苦手な可能性が出てきました」

「ダンジョンは本物の洞窟って感じではないし、意外といけると思うぞ。――と、雑談は後にして、これからの動きを考えよう」

まず野宿にするか、近くの街まで行くかの二択。

それから、エアトックの街に向かうかどうかの選択もある。

せっかく帝都に来たのだから、エアトックには行きたいと思っていたが……二人の疲れが意外と見えるからな。

エアトックに行くのは、次の機会でいいのではと思い始めてきている。

「これからの動きというと、ヨークウィッチに戻るだけじゃないんですか?」

「体力的に、このままヨークウィッチには戻れないだろ。野宿するか、近くの街で休むか決めたい」

「うーん……。私は本能の赴くままに決めるのであれば、この辺りにテントを立ててすぐに寝たいですね。ただ、理性では街まで行ってから、ちゃんとしたベッドで寝たいって感じです」

「僕は軽くここで寝たいです! そこから街まで移動して、本格的に休みたいって感じですね!」

「なら、軽く休んでから街に移動しようか」

方針が決まったため、竜穴の近くでテントを立てることにした。

二人にはすぐに眠ってもらい、俺は近くで魔物を狩って食料調達。

ここで小休憩を取ると決めたからには、帰りはフロンの街に行きたい。

エアトックが次の機会になったことを少し残念に思いつつも、俺は食べることができそうな魔物探しへと出かけた。

休憩を始めてから約六時間ほど。

仮眠を取った上、寝起きでワイルドボアの肉も食べたことで、テイトとトレバーは大分元気になった。

俺も休んでほしいと言われたけど、俺はまだまだ元気だからな。

このまま国境近くのフロンの街まで向かい、そこで休めばいい。

ということで……竜穴から歩くこと丸一日。

懐かしいフロンの街が見えてきた。

「あの街がフロンの街だ。あそこで一泊してからヨークウィッチに帰ろう」

「よ、ようやくゆっくり休めるんですね……! 過去一番疲れたかもしれません!」

「私もです。他国に来た喜びがありましたが、移動を考えると中々に考えものですね」

「確かに移動時間はかかるからな。ただ、王国にはないものもあるし、経験として色々な国に行ってみるのはいいと思うぞ」

長い間、帝都にいた俺が言えた義理ではないかもしれないが、逆に居たからこそ分かることもある。

帝都からヨークウィッチに行き、そして『シャ・ノワール』と出会って俺の人生は変わった。

俺ほどの劇的変化は早々ないだろうが、トレバーとテイトにも色々な経験をしてほしい。

そのためには、色々な所に行かないといけないからな。

「旅をするのはいいかもしれませんね! テイトの妹が大きくなったらいきましょう!」

「それはいいかも。まだ小さいから離れられないけど、冒険者になるとは言ってるからね。近い将来三人パーティになって、色々な国を見るのは……面白そう」

「いい夢だな。俺も全力で応援させてもらう」

「ジェイドさんの応援があれば百人力ですね! というか……ジェイドさんは疲れていないんですか? 僕たちは竜穴内でも休憩してましたし、出た直後も寝ましたからね! ジェイドさんは少しも休んでいませんよね?」

急にそんなことを言ってきたトレバー。

確かに休んでいないが、もうそろそろ休むことができるからな。

「流石に多少は疲れているぞ。それにフロンの街に入ればすぐに休めるしな」

「疲れている素振りが一切見えないのが凄いです。体力も強さもまだまだ当分敵いそうにありません」

「二人よりも長いこと生きているし、簡単に追い越される訳にはいかない。もうしばらくは二人の目標になれるように頑張らせてもらう」

「いつかは絶対にジェイドさんに追いつきます!」

「私もです。そして、必ず恩を返します」

「ああ、楽しみにしている。それじゃフロンの街に入るか」

二人の宣言に俺は笑顔を浮かべつつ、フロンの街に入った。

色々と街を巡りたい気分だが、流石に疲れてはいるからな。

すぐに宿を取り、ひとまず睡眠を取りたい。

俺は欠伸を噛み殺しつつ、一直線で宿屋へと向かったのだった。