軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その23

競争を行ったということもあり、あっという間に三十階層まで到着することに成功。

ちなみに結果の方は俺の完勝で終わった。

「……ぜぇはぁ、……ぜぇはぁ。――くっそ! 速すぎるだろ!」

「数える必要もなく俺の勝ちだな」

「ぜっーたいにおかしい! ジェイドは人間じゃない!」

「人間だ。それに純粋な人間じゃないのはエイルの方だろ」

「悪魔! 魔王! えーっと、馬鹿!」

何故か最後は子供の悪口を発してきたエイル。

負けず嫌いなのは構わないが、拗ねるのだけは止めてほしいところ。

「ひとまず勝負はここまでってことで。三十階層のフロアボスはどっちが倒す?」

「俺がやる! ジェイドへの怒りをぶつけてやる!」

「ズルはしていないし、俺への怒りを抱えているのはおかしいけどな。とりあえずここのボスも頼んだ」

十階層のゴーレム、二十階層のマンティスアント、そして三十階層のフロアボスであるバトルリザードもエイルが倒してくれるようだ。

道中の雑魚敵を俺が横からかっさらいまくったせいもあり、ムキになったエイルには疲労が見られるけど、この状態でもバトルリザード相手ならまず負けないだろう。

ドラゴンのような見た目の魔物でありながら、ドラゴン種ではないバトルリザード。

エイルと同じパワーで押し切るタイプの魔物だけど……単純な力でエイルが負けることはない。

俺への怒りを大剣に乗せたようで、今日一番の一撃をバトルリザードに浴びせた。

これまでのフロアボスとは違い、バトルリザードも一発で消滅することはなかったが、傷口は深く瀕死の状態。

耐えることはできたがそこから抵抗することはできず、エイルの二撃目で完璧に首を落とされ、バトルリザードは塵となって消えた。

エイルもスッキリとした表情をしているし、良い気分転換になったはず。

「余裕の戦いだったな。気分は晴れたか?」

「全く晴れねぇ! ジェイドに勝つまではこのモヤモヤは払拭されない!」

「それは無理だから諦めてくれ。ちなみに三十階からだが、シュバルツミミックの他に見つけたいものがあるんだ」

「ん? 見つけたいものって何だ?」

「昨日、エイルと別れてから街で情報集めをしたんだが、どうやら三十階層から四十階層までの間にゴールドスライムが大量発生しているらしい。このゴールドスライムを大量に狩りたい」

ダンジョン街にいる人を見て、エイルが冒険者の数が多いと思ったのは勘違いではなかったようで、どうやら三十階層からゴールドスライムが大量発生しているらしい。

ゴールドスライムがどんな魔物か分からないけど、噂によればドロップしたアイテムが高く売れるだけでなく、レアドロップのアイテムは市場に出回らないほど希少なものらしい。

せっかくならレアドロップを狙いたいため、ここからはゴールドスライム狩りを行いながら五十階層を目指そうと思う。

そして雑魚狩り勝負もここまでとし、ここからはゴールドスライム狩りにシフトしたい。

「おっ! 面白そうじゃん! いいね、ここからはゴールドスライム狩りで勝負しようぜ!」

「俺も丁度その提案をしようとしていたところだ。どちらが多くゴールドスライムを狩れるかの勝負でいいか?」

「ああ、問題な――いや、やっぱり駄目! どちらが多くゴールドスライムを見つけられるかの勝負だ!」

俺の提案に乗りかけていたエイルだったが、さっきの完敗を受けて勝てないと判断したようで、多く狩った方ではなく多く見つけた方の勝ちに変更してきた。

まぁこっちのルールでも負ける気はしないからいいんだけども。

「別に構わないが、見つけたゴールドスライムに逃げられたらノーカウントでいいか? エイルはいないのにいたとか言いそうだから」

「俺がそんなズルをする訳ないだろ!」

「いや、今さっきルールを自分有利に変えたばかりだろ。それと、狩りの邪魔をするのも禁止だぞ」

「分かってる! 多くのゴールドスライムを見つけた方の勝ちな! それで負けた方はどうする?」

「四十階層のフロアボスを倒す――でどうだ?」

「ん? それじゃ罰にならないだろ!」

「いや、四十階層のフロアボスはジャームスラッグだぞ?」

「うげぇー! 忘れてたけどそうだった!」

戦いたがりのエイルが嫌そうな表情を見せた通り、四十階層のフロアボスは最悪に近い魔物。

見た目は巨大なナメクジで、とにかく汚い上に状態異常攻撃を仕掛けてくるという話を聞いた。

近づくのも嫌なのは俺もエイルも同じ考えであり、だからこそ罰ゲームとして相応しいと思う。

それに、強さ自体はバトルリザードと変わらないとのことだし、ソロでの討伐は可能なのも丁度良い。

「ということで、負けた方は四十階層のフロアボスの討伐ってことでいいな」

「ああ! 見つけるだけなら絶対に負けない! ここまでの雑魚敵も、見つけたのは俺の方が多かったからな!」

「それじゃ勝負開始だ」

勝つ気満々のエイルと共に、三十一階層へと降りた。

負ける気はしないがエイルは五感が鋭いため、一切の油断もできない。

これまで以上に集中し、ゴールドスライム探しを行うことにしたのだった。