軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その22

朝の内にヨークウィッチを出発。

エイルと近況報告をしながら、俺達はその日の夜にダンジョン前へと辿り着いた。

「ここがダンジョンなのか? 普通に発展していて驚いた。それに……人の数もやけに多いな」

「ダンジョンは金遣いの荒い冒険者が集まるからな! 商人にとっては格好の稼ぎ場なんだよ! ってことで、ダンジョン近くは勝手に発展していくんだ!」

「へー、ダンジョンに潜る側としてもありがたいな。ちなみにだが、これだけ人が多いのもいつもなのか?」

「いや、俺が前に来た時はもっと少なかった! ……もしかしたら、俺達と同じようにシュバルツミミックの噂を聞きつけて来た人達かもな!」

エイルはそう言ったが、話ではシュバルツミミックは五十階層以降に出現する魔物。

実力者じゃないと、そもそも辿り着くことすら不可能な場所のため、噂を聞きつけて集まるということはないはず。

エイルが来た時よりも人気のスポットなったのか、それとも別の何かがあるかのどちらかだろう。

人なんて少なければ少ないほどいいため、俺にとっては不都合ではあるけど……シュバルツミミック以外にも何かあるのであれば、ぜひとも狙っていきたい。

「とりあえず今日は一泊して、明日の朝から潜ることにしよう」

「まーた早起きしないといけないのか! 朝は苦手なんだけどな!」

「早めに寝れば勝手に起きるだろ。宿は各々取るでいいな」

「わーったよ! んじゃ、明日の朝な!」

エイルとはここで別れ、各々宿を取って寝ることになった。

俺はこの間に人が多い理由を探りつつ、明日に備えるとしよう。

翌日の早朝。

眠そうなエイルと合流し、早速ダンジョンに潜ることにした。

エイルが十分に一回のペースであくびしているのが気になるが、ダンジョンの中に入れば自然と目も覚めるだろう。

「ふぁーあ。めちゃくちゃ眠みぃ……」

「さっさと目を覚ませ。ペースを速めるつもりだから、ぼーっとしていると置いていくぞ」

「ゆっくり攻略するんじゃないのか?」

「しない。移動で一日使ってしまったから、帰りのことも考えると猶予は三日。途中で寄りたいところも見つけたし、ペースを速めて攻略する」

「途中で寄りたいところ? なんだそれ」

「それは着いたら教える。準備はいいか?」

「ああ。動けば勝手に目が覚めるだろうからな」

ふわふわとしているのが気にかかるが、準備はできているとのことなので、俺はエイルがついてこられるギリギリの速度で移動を開始した。

低階層はスライムやゴブリンといった低級の魔物。

倒すまでもないため、躱しながら正面突破しつつ、暗い上に足場の悪いダンジョンを走るように進んでいく。

後ろをチラチラと見ながら先頭を進んでいるが、エイルはちゃんとついていきている。

冒険者ギルドのギルド長なだけはある体捌きだし、眠そうでもちゃんと動けるようだ。

そして、一時間足らずで十階層まで降りることに成功。

ここまでの間に、エイルも完全に目が覚めたようだ。

「ようやく体があったまってきたぜ! ちなみにだけど十階層はボス階層だからな! ジェイド、どう戦う?」

「大した魔物ではなさそうだし、どちらかがサクッと倒せばいいだろ」

「じゃあ俺が倒す! ぶった斬ってくるから見とけよ!」

エイルはそう言いながら、十階層のフロアへと突っ込んでいった。

フロアの中心にはゴーレムが立っており、エイルが中に入ると同時に動き出した。

ゴーレムは物理攻撃には滅法強く、逆に魔法攻撃には弱いという分かりやすい魔物のため強い魔物という認識はされていないが、エイルは物理でしか攻撃できないゴリゴリの戦闘スタイル。

普通は相性が悪いはずなのだが……流石に格が違う。

少し遠目から踏み込むと、一瞬にして間合いに入り込んだエイル。

大剣を引き抜きながら叩き潰すように、側面でゴーレムの頭目掛けて剣を振り下ろした。

頑丈なはずのゴーレムがまるで泥かと思うほど一瞬で潰れ、跡形もなくこの場から消え去った。

ぶった斬るというよりかは叩き潰した感じだが、技術もなんか糞と言わんばかりの力業で倒してみせたな。

「いっちょあがり! どうよ、ジェイド! 良い一撃だっただろ!」

「本当に凄まじい馬鹿力だな。ゴーレムが可哀想に見えたぐらいだ」

「……ん? それは誉め言葉なのか?」

「もちろん。フロアボスも余裕だった訳だし、このまま五十階層まで止まらずに進もう」

「了解! ここからはどっちが魔物を倒せたかの勝負もしようぜ! ここからは避けるだけじゃ無理だろ?」

「ああ、魔物の質が上がるから倒していきたい。ルールとして、魔物を探しに行く行為は禁止な」

「見えた魔物だけで勝負ってことな! うーし、気合いが入ってきた!!」

肩をブンブンと回し、気合いを入れた様子のエイル。

一人だとこういったゲームのようなことはできないため、俺も意外と気合いが入っている。

負けたら一生言われそうってのもあるし……本気で雑魚狩りを行うとしようか。