軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その20

ヨークウィッチに戻ってきてから、スタナとゆっくりとした日々を送った。

新店を任されてからはずっとバタバタとしていたため、俺にとっては何よりの癒しの時間。

未だにこんなに幸せでいいのかと思ってしまうが、この幸せな時間を逃さないためにも一生懸命働くつもり。

そして、営業開始日。

開店してからまだ一ヶ月経っていないのだが、既に知名度が上がってきているようで、営業時間前から大勢のお客さんが並んでくれていた。

ピンク通りにある狭い店には見合わないお客さんの量であり、嬉しい反面トラブルが起こらないか非常に心配。

とりあえず大行列を回避するため、スタナの案で整理券を配ることに決めた。

番号の下に時間を記入し、三十分毎に二十人ずつ来店してもらい、更に一人三個までの購入制限を設けたことで、今までで一番スムーズに営業を行うことができた。

利益を重視しなかったこともあり、今回は業者っぽい人だけではなく全員が嬉しそうに購入してくれたし、二日間の営業を無事にできたことも含めて大成功といえる内容。

整理券と個数制限は今後も導入するとして……後は従業員問題だな。

従業員募集の張り紙は出しているのだが、未だに応募はゼロのまま。

結局、俺とスタナ。それからレスリーにヘルプに来てもらったことで何とか回せたが、整理券配りを導入するのであれば新しい従業員は必要。

ただ、こちらでどうにかできる問題でもないため、従業員募集の張り紙を見て来てくれる人を待つしかない。

勧誘とかできればいいのだが、そうそう良い人が見つかることはない。

とにかく新しい従業員に関しては考えても仕方のないことなので、俺は次の仕入れについてだけを考えよう。

今回の仕入れについては、エイルがついてきてくれると言ってくれた。

王都へ発つ前に協力してくれないかの相談していたのだが、どうやらノリノリだったようで、俺がヨークウィッチに戻ってきてすぐにこの申し出をしてきてくれた。

副ギルド長であるマイケルの許可も取っているみたいだし、今回はエイルと二人で仕入れを行う。

本当はマイケルにもついてきて欲しかったのだが、流石にギルド長と副ギルド長が抜けるのはまずいらしい。

唯一心配だったのが、エイルとはいえ男女二人で行動を共にすることだったから……マイケルにもついてきて欲しかったのだが、こればかりは仕方がない。

何も起こらないのは確定しているけど、スタナとお付き合いさせてもらっている以上、あまりよろしくない行為だというのは自分でも分かっている。

実際にスタナが職場の男性と二人で遠出するとなったら、俺は嫌だと思ってしまうからな。

そんな負い目も感じつつ、出発前に相談をしてみることにした。

ちなみにスタナが嫌だと言った瞬間、今回も一人で行くつもり。

「スタナ、仕事終わりに呼び出して悪かった」

「いえいえ、気にしないで大丈夫です! それよりもどうかしたのですか? もうそろそろ出発するんですよね?」

「ああ。そのことで話したいことがあって……実は、今回はギルド長と一緒に仕入れを行おうって話になっているんだ。副ギルド長も誘ったんだが、トップ二人は抜けられないということで、ギルド長と二人で行くって話になっている」

「エイルさんですよね? いいじゃないですか! 開店前から色々と良くしてくれましたし、ジェイドさんがいない時もよく来てくれるんですよ!」

「そ、そうだったのか? それは知らなかった」

「私にも親切にしてくれますし、ご飯とかも何度か奢ってもらっています」

交友があったことを全く知らなかった。

スタナも話していなかったし、エイルもそんな様子を見せていなかったしな。

「そうだったのか……。それならあまり気にしていないってことか?」

「本音を言うと私がついていきたい気持ちはありますが、戦えないので一切文句もありません。エイルさんなら安心ですし、そもそもジェイドさんを信じていますので」

スタナからの純粋な応援に感謝の気持ちしかない。

そもそも100%ありえないが、スタナを絶対に裏切らないと俺は強く心に誓った。

「信用してくれてありがとう。何があったかは帰ってきてから話すから、スタナは安心して待っていてくれ」

「はい! 成果の方もお話の方も楽しみにしていますね!」

両手をグーにして、笑顔でそう言ってくれたスタナ。

この笑顔には本当に元気にさせられるな。

スタナの応援に応えるためにも、今回は気合いを入れて仕入れを行うとしよう。

せっかくエイルが参加してくれることだし、まずは珍しくて強い魔物の情報を聞き出す。

そして、必ず狩って持ち帰るとしよう。

フライレイクバードの経験から、美味な魔物を狙いたい気持ちはあるが……ここはあまり問わずにいく。

武器や防具の素材ならばそれでいいし、エイルの情報を聞いてから方針を決めるとしようか。