軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その19

それから、予定していた三日間でしっかりと商品を購入。

二日目、三日目と日を追うごとに目ぼしい商品が少なくなっていたため、初日に購入したものがピークだった感は正直否めない。

それでもしっかりと商品を購入することはできたため、二日間の営業日はしっかりと商品を売ることができるはず。

一つ懸念点といえば、前回、前々回と比べて質の部分では劣ってしまう点。

朔月花にフライレイクバードといった、珍しいものを二連続で仕入れたから仕方ないといえば仕方ないのだが……。

やはり気にならないといえば、嘘になってしまう。

そのため今回は格安をテーマに売り出す予定であり、初日にお邪魔した『白峰堂』を真似させてもらうつもり。

利益分だけ若干上増しさせてもらい、一人三点までとして格安で提供する。

これならきっとガッカリはされないはずだ。

営業してお客さんの顔を見るまでは不安ではあるが、今から考えていても仕方がないため、俺は馬車を手配して購入したアイテムを馬車に乗せていく。

そして、馬車に揺られながらヨークウィッチに帰還したのだった。

行きは走りだったこともあって数時間で到着したのだが、帰りは馬車で帰って来たため半日以上かかってしまった。

値段も決して安くないし、走った方が早いのは分かっていたのだが、流石に購入したものの多さから手ぶらで持ち帰るのは不可能だったため、こればかりは仕方がない。

それでも、まだ営業日までは三日も猶予があるからな。

いつもギリギリだった中、今回は営業日まで余裕があるため、スタナさんと一緒に何かできたらと考えている。

店に入る前にニヤニヤを抑えてから、俺は『シャ・ノワール』に入った。

明かりがついていたため、レスリーかスタナのどちらかがいると思っていたが、どうやらスタナが帳簿をつけてくれていたらしい。

スタナは未だに治療院で働いているため、仕事が終わってから『シャ・ノワール』に寄って、こうして帳簿をつけてくれている。

本当に感謝してもし切れないし、スタナのことは素直に尊敬している。

「あれ……? 誰か入ってきた? ――って、ジェイドさん! お帰りなさい! 今回は随分と早かったですね!」

「ただいま。今回は王都のフリーマーケットで買い付けを行っていたから、いつもと違って早く帰って来られたんだ。スタナは帳簿をつけてくれていたのか?」

「はい。今回はジェイドさんが初めてお金を使って買い付けに行きましたからね。お金の管理はしっかりやらないと――と思って、つけていただけです!」

「治療院の方も忙しいのにありがとう」

「気になさらないで大丈夫ですよ! 私が好きでやっているだけですし、帳簿なんて付けなくてもいいくらい儲かっていますからね」

あまりお金のことは気にしていなかったんだけど、儲かっているということをスタナから聞けて安心した。

一週間で二日しか開けていない上、先週は一日営業だったからな。

仕入れにお金はかけていないとはいえ、やっていけるかどうか少し心配していたため良かった。

「そうなのか? お金に関しては一切気にしていなかったんだが、儲かっているなら安心した」

「本当に凄い儲かっていますよ! 特に先週の売り上げが凄まじく、先週だけで三年は営業していられるくらいの儲けが出ていますから!」

「えっ……そんなに儲かっていたのか? 確かにフライレイクバードだけじゃなく、アルデンギウスまでおまけで狩ることができたしな。お金もかかっていないし、丸々懐に入るって考えたらそんなもんなのか」

「かなり高値を付けていたのに、一日で完売するくらいの売れ行きでしたからね! それにしても……フライレイクバードは美味しかったなぁ」

スタナは先週食べたフライレイクバードの味を思い出したのか、涎を垂らしながら呆けてしまっている。

ただ、個人的に美味しかったのは、ハイドスクワロルの蜜。

アルデンギウスが追加で獲ることができたため、ハイドスクワロルの蜜は売らずに俺とスタナさんで食べたのだが……格別に美味しかった。

旨味と甘味のバランスが完璧で、俺はフライレイクバードに匹敵する美味しさだったと思う。

「俺はハイドスクワロルの蜜だな。スタナが作ってくれたパンケーキとの相性が抜群だった」

「確かに! あの蜜は超美味しかったです! というか、まだ残っていましたよね? 今から食べませんか?」

「食べたい。今日は時間もあるから一緒に作らせてくれ」

「もちろんです。……ふふ、幸せです」

「俺も幸せだ」

惚気たのにも関わらず、二人して照れながら、俺達はパンケーキ作りを行うことにした。

……本当に幸せだと心の底から思えるな。