軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その14

フライレイクファルコンとアルデンギウスの肉を苦労して運び、そのまま休むことなく開店の準備を行ったお陰で、何とか無事に営業することができた。

二体ともに大きな魔物ということもあって、売り切ることができるのか不安ではあったが……俺の予想に反し、まさかの営業初日で全て売れてしまった。

売るものがなくなってしまったため、次の日は臨時休業。

駆けつけてくれたお客さんも多くいたのだが、帰ってもらうことになってしまった。

一日目をフライレイクファルコン、二日目をアルデンギウス——みたいな形で売るべきだったと今になって後悔しているが、あれだけの肉がまさか初日で完売するとは思ってもいなかったからな。

予想以上にこの『シャ・ノワール』別店の人気が上がっているのか、それともフライレイクファルコンの肉が凄かったのか。

今のところ判別はつかないけど、もう少し大量に仕入れないと駄目かもしれない。

ただ、そうなってくると……俺一人では確実に人手が足らないんだよな。

かといって、手伝ってくれる人の候補も少ない。

ヨークウィッチでいうと、トレバー、テイト、エイル、マイケルぐらいか?

あとは帝国まで赴き、アルフィとセルジに手伝ってもらうとかも一つの手。

一応、声を掛けてみようと思っているが……迷惑がかかるのは避けたいという思いもある。

自分の手で入手したもの以外は売りたくないというコンセプトを変える気はないため、難しいようなら営業を一日に変更するのが最後の手になる。

腕を組み、必死に頭を悩ませていたが、結局結論はでないまま時だけが過ぎていった。

このまま悩み続けても良い案は出ないと考え、俺はとりあえず行動に移すことに決めた。

こうしている間にも、次の営業日が迫ってきているしな。

ということで、トレバー、テイト、エイル、マイケルの四人に連絡を取ってから、レスリーに習って従業員募集のチラシを作ろう。

そして、チラシが完成次第、ひとまず次の商品を仕入れるために行く予定。

スタナとはフライレイクファルコンの肉を一緒に食べたが、最近は全くデートにも行けていない。

オープンしたばかりだから仕方ない部分もあるのだが、もう少し自由な時間も欲しい。

そんなことを嘆きながらも、俺は冒険者ギルドへと向かったのだった。

冒険者ギルドでエイル、マイケル。

街の東側でトレバー、テイトに会い、近々一緒に仕事をしたいことを伝えた後、大急ぎでチラシの作成を行った。

レスリー作のチラシと比べて不格好な出来ではあるが、要点は伝わるだろうしひとまず完成として、店の前に貼っておくことにした。

そして、休む間もなく身支度を整えてから、ヨークウィッチを出発する。

てんやわんやで酷いものだが、今回は先週決めていた通り、明日から王都で開催される大きなフリーマーケットで商品を仕入れるため、とにかく時間がないのだ。

ヨークウィッチから王都までは意外に遠い上、俺はまだ一度も訪れたことがないため、なるべく早い時間に出発することにした。

王国で一番栄えている街だし、この舗装された大通りを進んでいるだけで到着するだろうが……迷いでもしたら洒落にならない。

念には念を入れ、しっかりと地図を見ながら王都を目指して走った。

今回は見つかるか分からない朔月花や、現れるかどうか分からないフライレイクファルコンと違い、良いものがあれば全て購入するというスタンスのため日数はかからないはず。

全ての店を回ったとしても二日で見終えるだろうし、今回は時間に余裕をもってヨークウィッチに戻ることができる。

お眼鏡にかなう物が一つもなかった時だけが怖いが……そうなった場合はすぐに王都を発ち、魔物討伐に切り替える案も立ててはいる。

その場合のみ、またしても時間ギリギリの戦いになるだろうけど、それはもう仕方がない。

そんな一抹の不安を抱えつつも、舗装された道を進んでいればいいということもあって、割とすぐに王都に到着した。

帝都も栄えているのだが、王都は帝都の倍は入門検査で待っている人が多い。

人に関しては明日からフリーマーケットが開催されるからというのもあるだろうが、城壁もゴツゴツとしていて凝った造りになっているし、規模も帝都より大きい気がする。

中に入ってみないと分からないが、入口から期待感が高まっている。

列の最後尾に並び、自分の番がくるまでひたすらに待つ。

帝国に入った時のように、人目を盗んで中に入ることも容易いだろうが……店を任されている身としては、もう違法な行為は行えない。

大人しく待っていると、一時間ほどで俺の番がやってきた。

検査を行うのは三人の兵士のようで、疲れているのが表情から分かる。

「鞄の中身の確認と、体も触らせてもらうぞ」

「ああ、見てくれ。……王都には初めてきたんだが、いつもこんなに人が多いのか?」

「いいや、明日からフリーマーケットが開催されるから人が多い。普段はこの半分くらいだな」

「そうなのか。俺もフリーマーケット目的で来たんだが、俄然楽しみになってきた」

「世界規模で見ても最大級だし、きっと楽しめると思うぞ」

そんな軽い会話を挟みつつ、入門検査は無事にクリア。

短剣を持っていたのだが、護身用と分かってくれたのか、特に何も言われることなく通してくれた。

さて、初めての王都。

今日は色々と街並みを見て回りながら、フリーマーケットについての情報を集めるとしようか。