軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第315話 成長

ボコボコに打ちのめされ、平原の上で大の字に寝転ぶ二人。

あの後は手も足も出させなかったし、何とか威厳を保つことができただろう。

「ぐあー! やっぱりボコボコにされてしまいました!」

「はぁー、はぁー。出だしはいけると思ったんですけど……考えが甘かったですね」

「めちゃくちゃ成長したと思ったんだけど、ジェイドさんの背中が遠すぎる!」

「だね。自分達が強くなればなるほど、ジェイドさんがどれだけ強いかが分かってきます」

二人は思いの丈を口に出しており、その悔しさが声音からハッキリと伝わる。

ただ、二人の成長は俺が一番分かっているし、悲観するようなことは決してない。

「そう落ち込まなくて大丈夫だ。完璧な一発を受けてしまったし、二人は確実に成長している」

「…………そうだった。完璧に対応された上でボコボコにされたので忘れてしまってましたが、一発は当てることができたんできたんでした!!」

「でも、一発だけです。成長と言えるのでしょうか?」

「言えるだろ。これまでずっと、その一発を浴びせることが出来なかったんだからな。それに……俺が強すぎるだけで本当に強くなっていた。俺じゃなかったら、対応し切れないと思うぞ」

ラルフの影の薄さを極限まで戦闘に活かしたあのコンビネーション攻撃。

ラルフを意識しないと見失い、ラルフを意識し過ぎるとテイトを見失う。

ただでさえテイトは身体能力が高い訳で、一瞬でも目を反らすと対応が一気に難しくなるからな。

トレバーもしっかりと成長していて、極端な影の薄さがなくとも怖い存在になりつつあるし……新しい戦闘の形をしっかりと落とし込めている。

「そう……なんですかね? 未だに実感が湧いていないです!」

「魔物相手にはどうなんだ? 楽に倒せているんじゃないか?」

「魔物はそうですね……。ゴールドランク帯の魔物は倒せていますが、所詮は魔物ですし私達が強くなっているのか実感できていません」

「ゴールドランク帯の魔物を『所詮は魔物』と言えるなら、十分過ぎると思うぞ。ただ、強者と手合わせしてもらうのが一番実感できるだろうが……」

高ランク帯の冒険者に知り合いはいない。

強いてあげるならギルド長であるエイルだが、二人と戦わせるのは少々怖いんだよな。

「いい相手を見つけられたら紹介する。とにかく二人は強くなっている。確実にな」

俺がそう伝えると、二人は立ち上がって嬉しそうに頷いた。

本気で二人の強さを実感できたし、久しぶりに手合わせできて本当に良かった。

「ジェイドさん、ありがとうございました!」

「ありがとうございました。――それでですが、早速ご指導をお願いしたいです。私達に足らなかったのはどこでしょうか?」

強くなったという言葉をしっかり受け取りつつ、更に強くなろうとしているテイト。

俺としてはもう少し二人の強さを噛み締めたかったのだが、指導を求められたからにはしっかりと答えるのが筋というもの。

俺は服の袖を巻くって気合いを入れてから、久しぶりに二人の指導を行ったのだった。

戦っていて気になった箇所を伝え、徹底的に指導を行ったことであっという間に夕方となってしまった。

対魔物との戦闘も見て、そっちの指導も行いたかったのだが、終業後にスタナと約束をしているため今日はここまでだろう。

「――と、今日の指導はこんなとこだな」

「ありがとうございました! ……ですけど、指導の量が多すぎますよ! 強くなったと断言してくれたので、もっと少ないかと思ってました」

「それとこれとは別。強くなってはいるが、まだまだ強くなれるってことだ。伸び代はまだまたある」

「ありがとうございます。今回の指導を活かした上で、また挑ませて頂きます。その時はまたお相手して頂けますか?」

「もちろん。基本的にはヨークウィッチに留まるし、いつでも相手する。とりあえず今日は戻るとするか」

「「はい!」」

二人と一緒に街へと戻り、門のところで別れを告げた。

本当はトレバーとテイト、それから妹のケイトも交えて一緒にご飯でも行きたかったが、それはまた別日だろう。

すっかり日が落ちてしまっているし、もう終業していてもおかしくないため、俺は急いで治療師ギルドに向かった。

治療師ギルドの前で待っているスタナの姿が遠目からでも分かったため、俺は急いでスタナの下へと向かう。

時間的には丁度良いと思っていたのだが、待たせてしまったようだ。

「スタナ、遅れてすまなかった。待たせてしまったか?」

「いえ、先ほど終わったところですので大丈夫です! それよりも今日はお時間を頂き、ありがとうございます! 改めて思ったのですが……ジェイドさんは戻ったばかりですし、他にも色々とお会いしたい方がいましたよね?」

「いや、会いたい人には会ってきたから大丈夫だ。大事な人は多いが、知人自体は多い訳じゃないからな。誘ってもらえて良かったぐらいだぞ」

「そんなことはないと思うんですけど、そう言って頂きありがとうございます。……それじゃお店を予約してますので行きましょう!」

スタナは笑顔を見せると、先導して歩き始めた。

スタナのオススメする場所はどこもとびきり美味い店が多いため、今から腹が鳴りそうなほど楽しみ。

ワクワクしつつ、スタナと共によやくしてくれたという店へと向かったのだった。