軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第289話 隠し部屋

隠し扉の先を進んでみると、どうやら子供が作った秘密基地のような部屋に出た。

おもちゃやら童話やらが置かれており、ゴミ箱には古いお菓子の袋が捨てられている。

怪しいと踏んで入ったが、遊び心で作っただけの子供部屋のようにしか見えない。

期待外れもいいところ――そこまで思考した直後、俺は床に敷かれたカーペットに泥のようなものがついているのを見つけた。

思い出されるのがエアトックでも見つけた地下通路。

俺は泥の着いたカーペットを捲って確認してみると、そこはやはり地下へと繋がっている穴が掘られていた。

この秘密基地のような子供部屋が大分昔に作られ、その秘密部屋を見つけた人間が地下にへと繋がる穴を掘ったという時系列だろう。

そしてこの穴を掘った可能性として一番高いのはクロ。

この地下を調べない手はないため、俺は下の様子を確認しながら降りてみることにした。

階段状に作られている訳でも梯子がある訳でもなく、ただただ真下に掘られた穴。

真下に掘られた穴を降りるのは大変だが、足で落下の勢いを上手く殺しながら、雑に掘られた穴から地下へと降りた。

穴から繋がっていた場所は湿気が異様に高く、足元も若干濡れていて臭いが相当酷い。

どうやら地下道というよりも、下水道に直結している穴のようだ。

想像していた場所と違って少し困惑しているが、とりあえず下水道を進んでみるか。

なんとなく重要な場所ではなさそうな感じがプンプンしているが、下りてきたからには調べるまで引き返すことはできない。

帝城の秘密部屋から直結していた下水道をしばらく進んでいると、ようやく月明かりが差し込んでいる場所まで出てきた。

ここまで約十分ほど歩いており、もう帝城の外まで出ていることは確実。

もはや何をしているのか訳が分からなくなってくるが、とりあえず外に繋がっている場所まで確認したい。

明かりが差し込んできた場所を見上げてみると、どうやらここから上がることができそう。

外に誰かいないか確認しつつ、取り付けられていた梯子を上って外へと出てみた。

ここは……帝都の北側の外れか?

人通りも少なく、目立たない場所に出てきた。

クロが掘った穴かとも思ったが、この意味のない場所に繋がっている感じは関与していない可能性の方が高くなった。

帝城と外を繋ぐとしても、『モノトーン』と関わりのある場所や、もっと分かり難い場所に出るようにするはず。

つまりこの穴は……皇族の誰かが掘った穴だろう。

秘密部屋の感じからしても、皇子か皇女が外へ抜け出すために掘った穴の可能性が高い。

クロに繋がる情報は皆無だったが、この下水道を通れば帝城への侵入が容易になる。

逃げる際にも使えるし、これは予想していなかった収穫を得ることができたと思う。

そして、ここからどう動くかが非常に悩みどころ。

下水道を引き返して帝城に戻るのか、それとも今日は引き上げて終わりにするのか。

侵入経路兼逃走経路を見つけることができたし、無理に帝城を調べる必要はないのかもしれない。

建物の構造から何となくクロのいそうな場所も分かったし、帝城の捜索を止め、アランから情報を引き出した『グランプーラ』に行ってみてもいいかもな。

『グランプーラ』はゼノビアに助力をお願いし、帝国騎士団として攻めたいと考えている。

そのため今日は帝城と同じように下見だけ行い、作戦の成功確率を上げることに専念したいと考えている。

建物内部の情報と、『グランプーラ』に在中していると言っていた幹部のステファノとカーマインの居場所を調べること。

既にステファノとカーマインの戦闘情報については得ているため、上記の情報を手に入れることができれば、ゼノビアも一番隊を動かしてくれるはず。

私事で動かすのはどうかとも思ってしまうが、帝国騎士にとっても『モノトーン』は厄介な組織なはずだからな。

動かせないと言われたら素直に諦めて一人でやり通せばいいだけだし、深くは考えずに今日は『グランプーラ』の調査も行ってしまう。

そう決めた俺は、北側エリアから離れて『グランプーラ』のある街の東側へと向かった。

アランから教えてもらった情報を頼りに、『グランプーラ』と呼ばれるクラブにやってきた。

アランを拉致した酒場も東側ではあったが、『グランプーラ』のある場所は以前俺がいた道具屋の近くのため非常に懐かしく思える場所。

爆破した道具屋がどうなったかを見に行くことも考えたが、今やることではないと思い直して『グランプーラ』にそのままやってきた。

クラブと呼ばれる場所なだけあり、夜なのにも関わらず外にも聞こえるほどの爆音が聞こえてくる。

エアトックの賭場に繋がっていた酒場のダンスホールも嫌だったが、ここはもっと嫌な雰囲気だろうな。

心情的には入りたくない気持ちが強いが、調査のためなら仕方がない。

気合いを入れてから、俺は『グランプーラ』への潜入を開始した。