軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第279話 質屋

置かれている商品は基本的に古い物ばかり。

何百年も昔のものもあるようで、そんな商品には目が飛び出るほどの値段がつけられている。

ただ店の右側では普通の本も売られており、こっちは安価なものが多い。

アラスターはこっちの本を買いによくこの店に訪れるのだろう。

「店長、ちょっといいか?」

「あら? アラスター。今日はまた来たの?」

アラスターが声をかけたのは、黒髪の落ち着いた雰囲気のある女性。

若く見えるが、この人がこの店の店長のようだ。

「ちょっと紹介したい奴がいて連れてきたんだよ。ジェイドって言って、新しく帝国騎士になった新米なんだ」

「新米? 随分とベテランのように見えるけれど」

「おっさんだが、アラスターが言っていたように帝国騎士団には今日入団した。名前はジェイドという」

「ジェイドね。敬語を使った方がいいかしら?」

「いや、何でもかまわない」

「そう。なら敬語は使わずに喋らせてもらうわ。私はこの店のオーナー兼店長のケイティ。贔屓にしてくれると助かる」

差し出された手を握り、握手を交わす。

色々と店のことも聞きたいが、まずは本当に情報通なのかどうかを聞いてみよう。

「面白い物がたくさんあるし、欲しいものがあったら買わせてもらう。それより、ケイティは色々な情報を持っていると聞いたが本当か?」

「なるほどね。ジェイドはそっち目的ってこと。アラスターが人を紹介するなんておかしいと思ったわ。目当ての本が買う前に買われる可能性があるから、人を紹介したことないものね」

「そんなの当たり前だろ。ライバル増やして俺にメリットがないし。その点ジェイドは本に興味ないのがいい」

アラスターの目的は、売られている本のチェックを俺にしてほしいってところだろう。

俺も頻繁に来るつもりはないが、来た時は本のチェックぐらいはするつもり。

「はぁー。常連だけど一番厄介客だわ。それで……何の情報が欲しくて来たの?」

「いや、今は特に何の情報も求めていない。いつか何か知りたくなった時のために、情報通の人と知り合いになっておきたかっただけだ」

本当はクロ、ブレナン、『モノトーン』についての情報を聞きたいが、アラスターがいるこの場では聞けない。

一度出直してから尋ねるとしよう。

「へー。随分と用心深いのね」

「知りたくなってからじゃ遅いからな。またいずれ近い内に情報を求めてくると思う」

「しっかり情報料は頂くから、お金の準備はしておいてね」

「もちろん。金は色付けて払わせてもらう」

「これで顔合わせは済んだな。ジェイド、情報を貰いに来るときは本のことも聞いておいてくれよ」

「ああ。店を紹介してもらった訳だし、それくらいのことならさせてもらう」

「へへっ、これで俺が足繁く通う必要がなくなったぜ。それじゃ今日のところは帰らせてもらう」

「本当に何も買って帰らないのね。ジェイドも何も買っていかないの?」

懇願というよりかは、圧をかけるように俺を睨みながらそう言ってきた。

今のところまだ客ではないし、友好な関係を築くためにも買いたいところだが……。

商品が尖りすぎている上に値段が高いからな。

アラスターに好きな本を買ってあげてもいいと思ったが、欲しい本なら既に自分で購入しているはず。

「悪いが今日は何も買う予定がない。次きた時はちゃんと客として来る」

「今日からお客様になってほしかったんだけどね。次はキッチリと買って行ってもらうから」

「ああ。その時はよろしく頼む」

ケイティに別れを告げ、俺とアラスターは質屋を後にした。

店長が女性というのは予想外ではあったが、ちゃんと情報に精通していそうではあったから良い収穫だった。

「中々良い店だったろ?」

「ああ、思っていた以上に良かったよ」

「だろ? さっきも言った通り、この店に来たときは本の確認をよろしくな。それで次はどこに行くか」

「帝都をぐるっと一周見てみたい。その上で怪しい場所を教えてくれると助かる」

「了解。随分と変わった案内を求めるんだな」

本当は色々なおすすめの場所を案内してもらって満喫したいところだが、帝国には長居するつもりがないからな。

この街にクロがいる以上余計な動きも取れないため、今は怪しい場所を知って探るのが最優先。