軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第192話 フィンブルドラゴン装備

途中で夜飯を買ってから宿屋に戻ってきた。

すぐにシャワーを浴びたいところだが、それよりも先にフィンブルドラゴンの装備を確認するのが先。

『アルマ』でも確認はしたが、軽く見ただけだしこの手で触れてすらいない。

キーガンの腕を信用しているため心配はしていないが、性能を早く見てみたいのだ。

肉串を一本素早く食べてから、まずはどんな装備があるのかを確認していく。

帽子に上着、ズボンに靴まであり、更に盾と小手まで制作してくれている。

革で作られていることから、軽くて非常に着やすい感じの仕上がり。

それでいて、キーガンが言っていたように耐久性は図抜けている。

デザインにもこだわってくれたのか、黒を基調したカッコいい見た目。

全身フィンブル装備で揃えることで統一性が生まれ、帽子といっても顔を全て覆えるマスクのような感じなため暗殺者っぽい感じになる。

床に広げて眺めているが、どれをとっても申し分ない出来だ。

ダンに薦められたのを信じ、キーガンに制作を依頼したのは大正解だったな。

それから一度シャワーを浴び、体を清潔にしてから実際に来てみることにした。

事細かに採寸してもらったし、一切の心配もしていなかったのだが……予想していた何倍も体にフィットした作りになっている。

本当に俺専用の装備品といった感じであり、着心地の良さも相まってテンションが上がってくるほど。

盾と小手以外は毎日身に着けていたいぐらいだが、貴重なものだし使いどころは選ばないといけない。

着心地も確かめたことだし、脱いで綺麗にたたんでしまっておく。

これで金貨五枚なのだから、本当に良い買い物をしたと思うが……一番大事なものがまだ残っている。

もちろんフィンブルドラゴンの角を使って作ってもらったアクセサリーであり、魔力を溜め込むことができる性能をしている。

手にはめれるようになっており、はめることで手の甲から角が出るような感じになる造形。

注文通りの形をしているし、本当にこのアクセサリーに魔力が溜め込むことができるのであれば、飛び道具を一つ増やすことができる。

宿屋で試すのもどうかと思うが、万が一に備えて窓を開けておけば恐らく大丈夫。

フィンブルドラゴンの角のアクセサリーを手に嵌め、暴発しないようにゆっくりと魔力を込めていく。

消費されていく魔力が角に溜まっていくのが分かり、この時点で実験はほぼ成功と言っていい。

ダンが制作を手伝ってくれたと言っていたし、完璧に近い仕上がりだな。

あとはこの溜めた魔力をぶっ放したいところだが、それは流石に宿屋……というか街中で行うには危なすぎる実験なため、また今度時間が空いた時にでも試しに行くとしよう。

ゆっくりと溜めた魔力を放出していき、問題なくアクセサリーの効果を試すことができた。

依頼した装備品は全て高水準。文句の付け所がないほどの代物だった。

考えた魔道具が大ヒットして少し調子に乗っていたが、一流の職人の仕事を見るとまだまだだと思い知らされる。

良い感じで触発されたし、予定していた通り明日からでも新しい魔道具の制作に取り掛かるか。

残っていた肉串を頬張りながらそんなことを考え、俺は非常にいい気分で眠りについた。

翌日の早朝。

気持ちよく眠っていたのだが、扉を叩く音で無理やり起こされた。

すぐに戦闘態勢を整え、扉の奥にいる人物の気配を探ってみたのだが――扉を叩いたのはマイケルだった。

マイケルは特徴的な歩き方をしているため、近づいてきたらすぐに分かるはずなのだが、昨日は良いことがあったこともあって気を抜いて寝てしまっていた。

一般人として暮らしている訳だし、気が抜けているというのは良いことではあるが……。

『都影』の件もまだ最近の話だし、もう少し気張らないと駄目だな。

「……起きているかね? すぐに扉を開けてほしい」

ベッドに横になりながら変に思考していたせいで、マイケルを待たせてしまったな。

急いで起き上がり、すぐに扉を開けて部屋の中に招き入れる。

用件については聞かれなくともなんとなく分かる。

きっとエイルのことだろう。

昨日も何もしてないのに帰って寝るとかほざいていたし、ベニカル鉱山から帰ってきてまだマイケルと会っていない可能性が非常に高い。

北の山の時のように、捜索依頼でも出しに来たのだろうと俺は踏んでいる。

「悪いね。こんな朝早くから尋ねてしまって」

「起きる時間だったし別に構わない。それより何の用だ?」

「実は……二日前に不審な人物を見つけてね。そのことを報告しようと思って尋ねてきたのだよ」

「は? 不審な人物?」

内容が予想していたことと違っていたため、驚きの声を上げてしまった。

てっきりエイルのことだと思っていたが……不審な人物を見かけたという報告。

わざわざこんな時間に伝えにきたということは、余程怪しい人物なのだろうか。

少し浮ついていた気持ちを切り替え、話の続きをマイケルから聞くとしよう。