軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第183話 鉱物

大きな地底湖に沿って歩きながら、湖にも注意しながら歩いていく。

気配が分かったことから、俺は地底湖にいるメタルトータスを既に何匹か発見している。

ただ気配を見つけることができても、湖の中にいることから捕まえることは困難。

メタルトータスが水生の魔物ということなら、釣りの道具を持ってくるべきだったな。

「地底湖の反対側は狭そうだけど奥に続いていそうだな」

「まだ奥があることに驚きだぞ! この鉱山、どんだけ広いんだよ!」

「分からない。ただ道幅が狭くはなってきているから、急に行き止まりにぶち当たっても不思議ではないと思う」

「行き止まりになったら、巨大メタルトータスの噂は完全に嘘だったことになるな! 通常のは一匹捕まえられたけど、これだけじゃ満足できねぇ!」

「俺はいないと踏んでいるけどな」

ありえないということはないと思うが、目撃情報というのが非常に信憑性に欠ける。

エイルでもギリギリのこの鉱山を進んでこれた奴がいるとは思えないし、いたとして捕まえなかった理由が見当たらない。

巨大メタルトータスが目の前に現れたら、死んでも捕まえるのが普通だからな。

「俺はいて欲しいと願っているぜ! 鉱物が主食らしいし、この道の先で鉱物を食っているかもしれない!」

「ちなみにメタルトータスの気配は感じない。変な気配は複数感じるけどな」

「この通路の先になんか魔物がいんのか!? 強そうか!?」

「気配的にはそこまで強そうではないが、天井に張り付いているのが気になる。天井に張り付けるような虫型の魔物か、飛行生物のどちらかだと思う」

強い気配ならば遠くからでも分かるため、このベニカル鉱山で手こずるような強い魔物はもういない。

ここは噂通り、溶岩洞で倒したマグマデルヘッジがこの鉱山のヌシ的な立ち位置だったと思う。

強くはないと分かっていつつも、地下深くにいる魔物は何か特殊な能力を保有している可能性が高い。

十分に警戒しながら先へ進んで行くと、気配を感じていた天井に張り付く魔物が視界に入ってきた。

どうやらコウモリの魔物のようで、人間と同じくらいの大きさをしている。

豚に似た顔をしており、腹はぷっくりと膨れていて口からは鋭い牙を覗かせている。

ただ襲ってくる気配はなく、俺達に警戒しているのか天井にぶら下がったまま動こうしない。

「あれがジェイドが言っていた魔物か! なんか襲ってくる気配がないな!」

「襲ってこないなら無視していいだろ。わざわざ戦闘を行う必要はない。変な病原菌を持っている可能性もあるしな」

「せっかくだから戦ってみたい気持ちがあるけどなァ! 石でもぶつけてやろうかな」

「やめとけ。先へ進もう」

うずうずしているエイルを止め、天井にぶら下がっていた巨大コウモリを無視して更に奥へ進むと、光り輝く水晶がないのか真っ暗になっている場所に繋がっているのが分かる。

エイルのために松明を持って明かりを確保しつつ、暗闇に向かって進んで行くと何やら異質な空間に出た。

「この場所が行き止まりか? ……ていうか、この辺り一帯鉱物だよな!?」

エイルが叫んだ通り、この空間にあるのは全て鉱物。

鉄、銀、金と様々な鉱物が剥きだしの状態であり、そんな鉱石に混じってダイヤモンドやミスリルといった希少な鉱物も混じっている。

「メタルトータスはいなかったけど、めちゃくちゃすげぇ場所に出たぞ!! ここの鉱石を採掘すれば満足だろ!」

「……いや、ちょっとまて。右奥の隅を見てくれ」

松明の明かりが空間一帯を照らせていないためエイルは気が付いていないようだが、俺は右奥の隅に高さ五十センチほどの穴が空いているのが見えた。

人が通れるギリギリの狭さの穴だが、この穴の奥から微かにメタルトータスの気配を感じる。

「なんだこの穴? この穴がどうかしたのか?」

「この穴の奥からメタルトータスの気配を感じる。この穴を掘ったのがメタルトータスだとすれば、噂ほどではないが相当大きなメタルトータスだと思わないか?」

「ジェイドの話が本当なら、両手で抱えなきゃ持てないくらいの大きさだぞ!! って、よく見たらここにある鉱石の一部も食べられた形跡がある!」

「なら、この穴の奥にメタルトータスがいるのはほぼ確定だな。エイル、捕まえに行ってくれ」

「んあ!? 俺に行かせる気かよ!!」

「別にジャンケンで決めてもいいぞ」

近くに湖があるせいで湿気が凄く、這って進んだら全身がぐちょぐちょになるのは目に見えている。

既に服もぐちゃぐちゃなエイルに行ってもらいたかったが、渋るようならジャンケンで決めるしかない。

「狭いしジャンケンで決めようぜ! 負けた方が穴を進んでメタルトータスを引きずり出す役な!」

「ジャンケンでいいが、こういう時は積極的に行かないんだな」

「この狭い穴に入りたい奴なんていないだろ! それじゃ行くぞ! 最初はグー、ジャンケン――ポンッ!」

エイルの合図と共に俺はチョキを出した。

対するエイルはパーを出しており、結果は俺の勝ち。

まぁエイルの手の動きを見てから高速で手を動かしたため、俺は負けようがないのだがエイルは気づいていない様子。

「くあああああ!! なんでジャンケンでも勝てねぇんだよ!!」

「いいからメタルトータスを引っ張り出してくれ」

「わーったよ! 行ってくりゃいんだろ!!」

渋々ながらもうつ伏せの状態になり、這って穴の中を進もうしたのだが……まさかの入口時点で突っかかった。

どうやら無駄にデカい胸のせいで穴に入らないようで、どう体を動かしても奥に進まないらしい。

「ん、ぐぅらあああ! くっそ、進まねぇ!!」

「……もういい。俺が行ってくる」

奥は更に狭くなっている可能性もあるため、このままエイルに行かせても時間の無駄と判断。

正確に言えばジャンケンでもズルした訳だし、諦めて俺が行ってくるとしよう。