軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

反撃開始

「それにしても、よく一人で来るのをジェイドが許したな」

セレスティンとパパラチアの無事を知って安堵したのか、ようやく他のことに気が向いたらしい。

ようやく瑠璃が一人であると気がついたらしい。

「許されてはいませんよ。私が無理やり出て来ちゃいました」

「なにを考えてんだ。もしなにかあったらどうする。お前は愛し子としての自覚をもっと持て! ほいほい行動しすぎるぞ。ジェイドがかわいそうになってくるな」

そうアルマンに怒られるが、瑠璃は悪いとはまったく思っていない。

「じゃあ、誰だったらこの状況を打開できたんですか? 捕虜になった王なんて、一番に殺されてもおかしくないじゃないですか! セレスティンさんもパパラチアさんも悲しみますよ。いいんですか?」

瑠璃の苛立ち混じりの苦言に、アルマンも反論できないようだ。

「ただでさえストレスに弱い妊婦さんを心配させるなんて、もってのほかですよ!」

「ああ、分かった。俺が悪かった」

アルマンは降参というように両手を上げる。

「なんかセレスティンに叱られてるみたいだ」

身分の区別がはっきりとしている獣王国において、国の頂点に座る獣王を叱りつけるなど、瑠璃やセレスティンのような愛し子にしかできないまねだろう。

「セレスティンさんの気持ちを代弁したつもりですから」

きっとセレスティンがここにいたら同じことを言っていたのではないだろうかと、瑠璃は鼻息を荒くする。

「危険は承知の上です。それを分かった上で私が動くのが最善だったと思ってます。後悔はありません」

帰ったらジェイドやユークレースのお説教が待っていそうな気がするが、瑠璃は意志を曲げる気はなかった。

「実際にそうだから下手に文句が言えないのが、ジェイドに申し訳ないな」

アルマンは苦い顔をした。

「精霊はちゃんとルリに従っているようだな」

アルマンは瑠璃の周囲にいる精霊を見て言う。

「コタロウとリンから、私の指示に従うよう命令してもらいましたから」

「最高位精霊の協力なんてこれ以上ない援助だな」

「愛し子の格より、精霊は最高位の精霊の命令を優先させるみたいですからね。コタロウとリンがいる時点でこちらに負けなしです!」

瑠璃は気合い満々でぐっと拳を握った。

「ファガールの愛し子の命令より私の指示を聞くはずですから安心してください」

「……今さらながら、お前が普通の愛し子とは違うと理解させられた気がするな」

アルマンは、頼もしいが素直に喜べないというような複雑な顔をした。

「まあ、確かに最高位の精霊を従属させているのでそう感じるかもしれないですけど、似たことはラピスにもできると思いますよ。霊王国には樹の最高位精霊がいるんですから」

瑠璃のように空間を渡ってショートカットするなどできないが、樹の精霊の協力を得て、ファガールの愛し子の権限を奪うことはできる。

「確かに。そう考えると、なんだかうちだけが精霊の恩恵が少なくねえか? いや、セレスティンを責めているわけじゃないんだが」

「それを言ってしまったら、帝国は愛し子すらいないんですから贅沢な悩みですよ。帝国の人がそれを聞いたら、だったらセレスティンさんを寄こせって文句言ってきますよ」

「あー、帝国からしたらそうか」

四大大国の中で唯一愛し子がいない帝国は、瑠璃、リシア、ベリルという愛し子と、多くの最高位精霊を持つ竜王国に対し、愛し子をこちらにも分けてくれというようなことを、遠回りに言ってきていた。

騒いでいたのは国のトップである皇帝ではなく帝国貴族だったが、それを知ったベリルはカイとアンダルと共に冒険の旅に出てしまったわけだ。

帝国の一件がなくとも、ベリルの性格を考えると、どうせいつかは旅に出ていただろうと思っていたのでさした問題ではなかったが、無理な要求をしてくる帝国に対する抑止効果にはなったよう。

それに、今の帝国は皇帝アデュラリアを失い、跡目争いが巻き起こっているので、竜王国にちょっかいを出している余裕はないだろう。

「雑談は後にしましょう。先に宮殿を取り返すことが先ですから」

「そうだな。竜王国の愛し子であるルリに頼むべきことではないが、どうか竜王国の愛し子よ、我が国の民のために協力してくれ」

アルマンは瑠璃の前に跪き首を垂れる。

獣王から愛し子への正式な協力要請だ。

同盟国からの正式な要請だ。断る理由などない。

「もちろんです! セレスティンさんにあんな大怪我させた人達を許せませんから」

セレスティンが目覚める前にすべてを終わらせて安心させてあげたいと、瑠璃はやる気がみなぎらせる。

「そのためには、まずはここから出ないとですよね」

「ああ」

すると、そこら中の牢から、声が上がる。

「俺達もお連れください!」

「どうか汚名返上の機会を我らに!」

「このままファガールの奴らにやられたままではいられません!」

「愛し子様の仇を取らなければ」

我も我もと争うように鉄格子を掴み訴える兵士達。

「そうだな。兵士達は必要だ。だが、全員魔封じの枷をされているから、先にそれをなんとかしなければ……」

アルマンは物言いたげに瑠璃を見る。

瑠璃はすぐに察した。

どうやら瑠璃になんとかしてくれと訴えているようだ。

「はいはい。壊したらいいんですよね。ただし、獣王様も手伝ってくださいよ」

瑠璃はやれやれという様子で了承すれば、アルマンは二ッと笑って「任せろ」と力強く返事をした。

とりあえずやることは決まったものの、瑠璃とアルマンはいくつもある牢に入っているたくさんの兵士を見て、途方に暮れる。

「全員の枷を外すとなると、かなり時間もかかるし大変かも……」

「だな」

瑠璃とアルマンが困っていると、精霊達が集まってきた。

警戒するアルマン。

それは条件反射みたいなものだ。

なにせ精霊によって宮殿を落とされたようなものなのだから、いくら精霊信仰が厚い獣王国のものといえど、何事もなかったようにはできないのだろう。

裏切られたように感じていても仕方ない。

『ルリ~、僕達手伝うよ~』

『おっ手伝い、おっ手伝い♪』

『わーい』

なんとも楽しそうな精霊達を見て、アルマン含む獣王国の面々は苦虫を噛み潰したような顔をした。

そして……。

「いや、俺らに魔封じの枷つけていったのあなた方なんだが……」

「こら、聞こえるだろ!」

「精霊様を怒らせたらどうするんだ、馬鹿!」

ぽつりと文句を口にした兵士に、周りの兵士達が口を塞ぎにかかったり、ポカリと叩いたりして黙らせていた。

そんなやり取りを見ていた瑠璃は精霊達に目を向けるが、本人達はまったく気にしている様子はないので大丈夫だろう。

「先に私達が牢から出ないと始まりませんね」

「そうだな。俺がぶっ壊すから離れてろ」

「はい」

瑠璃は鉄格子から少し下がった。

たとえ破片が飛んできたとしても、コタロウとリンが念入りに瑠璃を守っているから跳ね返しそうだが、念のためだ。

アルマンは自分の手を見つめる。

そしてそこに火の魔法をまとわせると、それを確認してほっとした顔をしている。

「ちゃんと魔法が使えるようになってるな。ルリが来たおかげか」

そう呟き、鉄格子を睨みつけると、まるでこれまでの鬱憤を晴らすかのように、全力で鉄格子を殴りつけた。

ごうっと燃え上がり、鉄格子が溶け出した。

向かいの牢にいた兵士が、熱気を感じて慌てて奥に逃げて熱い熱いと騒いでいるが、近くにいる瑠璃はまったく熱さを感じない。

コタロウとリンの力に守られているからだろう。

あっという間に鉄格子を溶かして、人が通れるほどの出口を開けると、悠々と牢から出た。

ぼろきれをまとっていても、その姿は王者の貫禄がある。

牢から出たアルマンは、次々に他の牢の鉄格子を破壊して、兵士達を出していく。

そして、瑠璃と精霊達で手分けして出てきた兵士の枷を壊し、解放していく。

「ありがとうございます!」

「このご恩は一生忘れません!」

どうやら牢に囚われてから食事も水も与えられていなかったようで、誰もが疲労しているようだが、その目は誰も死んでいない。

瑠璃は枷を壊すことを精霊達に任せ、これまで空間の中に溜め込んでいた食料を渡していく。

水は、精霊の力を借りれるようになったため、自分達で出して補給していた。

「うーん。さすがに人数が多くて食料が足りないかも……」

瑠璃は自分の空間が広いのをこれ幸いと、到底一人では食べられない量の食べ物を空間の中に入れていた。

リディアが食べるだろうと見越してのことだが、それなりにあったはずの食料も飢えた兵士全員に行き渡るか微妙なところだった。

兵士達にはこれからファガールの兵士達と戦ってもらわねばならないので、力をつけてもらわないといけないのだが……。

「ご安心ください、愛し子様。魔封じの枷が外れたので、空間を開けます。空間の中に食料を保管している者もおりますから」

「兵士は体力仕事なので、食べ物を入れておく者が結構多いのです」

「そうなんですか。それならよかった」

食料問題も解決して安心する瑠璃は、アルマンの状況を確認する。

牢の数が多く、手こずっているようだ。

「獣王様、大丈夫ですか? 結構魔力使っているでしょう?」

「ああ。そうなんだが、全然魔力が切れる様子がねえんだよな。むしろ魔力がありあまって仕方ないみたいに、なんか体が熱くなってきやがった。変だな?」

「…………」

瑠璃はなにも言えなかった。

その異変は、もしや、竜の薬を一瓶飲ませたせいではないだろうかと内心では冷や汗ダラダラだ。

だが、本人はいたって元気そうなので、聞かなかったことにした。

そうしてどんどん兵士を開放していくと、突然地下牢全体に響き渡るような怒声が聞こえてきた。

「なんだ、これは!! どうして捕虜が牢から出ている!?」

瑠璃が声の方を見ると、獣王国の兵士が着ているものとは違う、兵士の服を着た初老の男性がいた。

顔を真っ赤にして怒鳴る男性は、衣服からそれなりに地位の高い者だと察することができた。

「あれ、誰?」

もちろん、獣王国側の者ではないと分かった上での疑問だ。

それに答えたのはアルマン。

「今回の戦の総大将だな。ファガールの兵士の中で一番偉い奴だ。散々俺を痛めつけてくれたのが奴だ」

そう教えてくれるアルマンの顔には、極悪人も逃げ出すほどの恐ろしい笑みを浮かべていた。

「くくくくっ」

その笑い声に瑠璃も思わず口元を引きつらせる。

他の兵士達の恨みのこもった眼差しも鋭い。

あ、これは敵の方がかわいそうかもしれないと、瞬間的に感じた。

そんなことを考えていた瑠璃は男性の後ろにいる男女に気がつく。

珊瑚と同じぐらいの歳ぐらいだろうか。

大人というよりはまだ大人になりきれていない若い見た目。

黒目黒髪は瑠璃にとってはとても馴染みのある色合いだった。

「獣王様、あの後ろにいる二人って、まさか……」

「ああ。あいつらが愛し子だ」

「やっぱり」

ベリルが手紙で知らせてきた転移者。

その中に愛し子が二人もいるというのはどんな偶然なのだろうか。

「ちょっと! 出てきてんじゃない。牢番はなにしてんの?」

キャンキャンと耳障りなほど高い声で騒ぐ女。

そして、男の方も、「無能すぎんじゃん」とだるそうに言葉を発した。

瞬間的に、仲良くなれそうにない人だと瑠璃は感じる。

言葉の端々から傲慢さが見えているのだ。

「貴様! どうやって逃げ出した!? 魔封じの枷で拘束していたはずだろう!」

アルマンの元気な姿を見て、今にも血管がぶち切れるのではないかと思うほど怒りを爆発させる敵国の総大将。

アルマンは動じるでもなく、むしろ馬鹿にするように笑う。

「はっ、残念だったな。あの程度で俺を縛りつけられたと思うな。獣王をなめてんじゃねーぞ」

「拘束解いたの私ですけどね」

瑠璃がぽつりと零したため、聞こえていたアルマンは一瞬だけ動揺して口の端をひくつかせたが、すぐに立て直す。

「礼はちゃんと返させてもらうぞ」

睨みつけるアルマンの気迫に、それまで怒っていた総大将が気圧されている。

「な、なにができるというのだ! こちらにはそちらより格上の愛し子がいるのだぞ!」

まるでそれが自分の功績化のようにドヤる総大将は、後ろにいる男女を振り返った。

「おい、もう一度奴らを牢に閉じ込めろ」

上から目線の偉そうな指示に、男女は眉をひそめる。そして……。

「あんた、なんか勘違いしてんじゃないの? 私に命令しないでよ」

「な、なんだと!?」

「誰のおかげで勝てたと思ってるのよ。私になにかしてほしいなら、ちゃんと頭下げてお願いしなさいよ」

「私に頭を下げろだと!? 私はこの戦の指揮を任せられた者だぞ!」

総大将は不満なのか、女に食ってかかる。

さらには男の方も、見下すように睨みつけた。

「だからなんだよ。俺達には関係ねーし。俺達の力を貸してほしけりゃ、ちゃんとお願いしろよ、おっさん」

「おっ、おっさん!?」

総大将はひどく衝撃を受けた顔をする。

ファガールと共に戦を仕掛けてきたから友好関係にあると思っていたのだが、どうも仲は悪そうだ。

ただ、この総大将とだけ仲が悪いだけなのかもしれないが。

「どうすんの? おっさん?」

「ほらほら、頭下げなさいよ」

完全に自分達の優位性を理解して問いかける男女を前に、総大将は悔しそうにブルブルと震わせえるほど手を力いっぱい握り締めて耐えている。

見ている瑠璃も男女の態度には不快感を覚え、眉間にしわが寄る。

総大将と言うからにはそれなりにプライドもあるだろうに、自分の子供よりも若そうな二人に頭を下げた。

「頼む。力を貸してくれ」

「貸してくださいだろ? 大人なのに言葉使いも分かんねーのかよ」

「くっ……。貸してください……」

「そうそう、最初からそうやってればいいのに、プライドだけは無駄にあるんだから」

「ほんとほんと。私達がいなきゃなあんにもできないくせにねぇ」

クスクスと笑う男女に、総大将はその唇を引き結び必死に屈辱に耐えている。

「こいつらのせいで国がめちゃくちゃにされたかと思うと胸糞悪いな」

「同感です」

さすがの瑠璃も、手心を与える必要はないのではと思うほど怒りを感じている。

「さて、さっさと終わらせようぜ」

「そうね」

総大将を押しのけて男女が前に出てくる。

獣王国の兵士達がアルマンと瑠璃を守るように動こうとするが、それをアルマンが手で制する。

「なに? 俺らに勝てると思ってんの? 愛し子様だぜ。雑魚は敬って首を垂れてろよ」

「クソガキが。世の中の厳しさを教えてやるぜ。自分達がどれだけ大変なことをしでかしたか分かってんのか?」

「別に~。俺は世界に選ばれた人間なんだぜ。他の奴とはわけが違うんだよ。お分かり?」

「そうそう。私達特別なの。雑魚は言う通りにしとけば命だけは助けてあげるわよ」

そんな男女を見ていて、瑠璃は「うーん」と唸った。

「これが世に言う中二病か……」

瑠璃はあまりに傲慢で子供じみた考えに、呆気にとられた。

これは十年後とかに床に転がって羞恥心に悶えるやつだ。と、生暖かい目を向ける。

黒歴史の一ページをまさに作ろうとしている二人のうちの男の方が、周囲にいた精霊に命令した。

「おい、そいつらを捕まえて牢に戻せ」

まるでパワハラな上司のように偉そうに命令する様子は、瑠璃には受け入れがたかった。

瑠璃にとって精霊は友人のような存在。

セレスティンは精霊を神のように敬っているし、ラピスも精霊への感情は瑠璃と似たところがある。

なので、精霊を道具のように動かそうとする者は初めて見た。

以前いた、セルランダの愛し子でもここまで精霊への扱いはひどくなかったように思う。

この場にセレスティンがいたなら、精霊に対してなんて口の利き方だと怒鳴りつけていたかもしれない。

瑠璃も怒鳴りつけたいほどだ。

男はこれまでそうしてきたように精霊達に命令したが、精霊は誰一人として動かない。

すでにコタロウとリンから通達されているだろうから、動くはずがないのだ。

けれど、そんな裏事情を知っているとは思えない二人は、精霊達が命令を無視していることに疑問を浮かべている。

「おい、早くしろ!」

「そうよ。さっさとやっちゃってよ」

キャンキャンと躾のなっていない犬のように吠えるが、やはり精霊は無視。

それに一番動揺を見せたのは男女の愛し子ではなく、総大将の方だ。

「なにをしてるんだ! 早く精霊を動かせ!」

「分かってるわよ。うるさいわね!」

女の方が明らかにうるさいが、まだ余裕があった。

しかし、瑠璃が前に出て、精霊にお願いするとそれも一変する。

「皆、まだ牢から出てない兵士の人達を出して、枷を外してあげて」

『わかったー』

『はーい』

『ルリのお願いは聞かなきゃダメだもんねー』

瑠璃の指示に、精霊達は即座に反応し動いた。

そこでようやく彼らも瑠璃の存在に気がついたようだ。

体格の大きなアルマンが側にいると、どうしても目立たないのだからそこは仕方ないのかもしれない。

「お前は誰だ!?」

総大将が指を差して瑠璃を威嚇する。

しかし、最高位精霊という守りを得ている瑠璃は無敵だ。

自分を傷付けるのはジェイドでも不可能だと分かっているからこそ強気に出られる。

「私は竜王国の愛し子よ」

腕を組んで胸を張る。

「愛し子。竜王国の……」

途端に顔色を悪くする総大将は、「どうしてこんなに早く……」と呟いていることから、竜王国や霊王国の介入は想定していたようだ。

だったら何故こんな戦いを仕掛けてきたのか。

そんな総大将とは逆に、転移者である愛し子二人は、竜王国の愛し子と言っただけではことの重大性に気がついていないらしい。

まだこの世界に来てそう時は経っていないので、知識が不足しているのだろう。

瑠璃ですらいまだに知らないことがたくさんあるぐらいなのだから仕方ない。

「なによこの女」

「おっ、結構タイプの顔かも。ちょっと歳いってそうだけど」

「歳いってる……」

瑠璃のこめかみに青筋が浮かんだ。

「私はまだ二十代よ! 皆、そこのおじさんと、この愛し子二人を捕まえちゃって!」

『あいあいさー』

『捕まえるだけでいいの?』

『リディア様が、ルリの害になるのは排除しちゃえって言ってたけど』

『とりあえず捕まえてから考えよー』

『おー』

少々不穏な会話をしながら、精霊達はそれまで命令を聞いていた愛し子二人を躊躇うことなく捕獲する。

「ちょっとなにするのよ!」

「離せ!」

大暴れする三人は、解放された獣王国の兵士の手も借りて牢の中に放り込んだ。

ぎゃあぎゃあとうるさいが、精霊達には力を貸さないように言ってあるので、彼らが魔法を使うことはできない。

それに、あまっていた魔封じの枷も念のためにつけておいたので大丈夫だろう。

「見張っててね。絶対にこの人達のいうことは聞いちゃ駄目だからね」

『はーい』

精霊達がそろって手を上げて返事をする。

精霊だけでなく、アルマンの命令を受けた獣王国の兵士も数名監視に置いておく。

監視を命じられた兵士達は、これから宮殿を奪還すべく向かう仲間達を羨ましそうに見ていた。

「うう。俺も行きたかった……」

「俺だってそうだよ。だけどくじ引きで負けたんだから仕方ねえじゃん」

嘆く数名の兵士を置いて、瑠璃達は地下路を飛びだした。