軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

迷宮と鉱脈

私に迫り来る大鎌を横から割り込んだユウの

【 終結の戦斧(ピリオド) 】が弾く。

その隙に片手に抱えた【 暴食の魔導書(グリモア・ベルゼブブ) 】に魔力を込めて魔法を発動させる。

「【 炎槍(ファイア・ランス) 】【 雷雨(サンダー・レイン) 】【 光刃(ライト・エッジ) 】」

炎の槍が虫型の魔物の攻殻を貫き、ワーフルフの群れに雷が降り注ぐ。

そして光で出来た巨大な刃がジャイアントオークの肩を深々と切り裂いた。

やけに良い装備を身につけたコボルトの集団に囲まれたエルザが【 不屈の(レントゥス) 大剣(グラディウス) 】を振り回し、纏めて輪切りにする。

「キシャァアア!!」

ユウはグレートマンティスの右鎌を斬り飛ばし、連撃を叩き込んでいる。

私の側にはコボルトの群れを始末したエルザが背を預ける様に寄って来た。

「おかしいわね」

「ああ、統制が取れ過ぎている。

種族も違う野生の魔物がこんなに連携をとってくる筈が無い」

「やはり10階層から尾けて来ていた奴かしら?」

「そうだろうな。おそらく魔物使いだ。

ティーダが上手くやってくれれば良いが……」

「エリーさん!エルザさん!一体抜けました!」

ユウの声の方に目を向ければ鎧の様な攻殻を纏ったトラの魔物が此方に向かって疾走していた。

「アイアンタイガーだな、厄介な奴だ」

「エルザ、10秒お願い」

「任された」

エルザに前に出てもらい、私は神器を発動させる。

「神器【 強欲の魔導書(グリモア・マモン) 】」

【暴食の魔導書】が消えて【強欲の魔導書】に切り替わる。

独りでにページが捲れ、収納されていた物が取り出される。

空中から滲み出る様に現れたフリューゲルを抜いた私は、エルザと入れ替わる様に前に出ると、アイアンタイガーとか言う魔物を細切れにする。

「相変わらず恐ろしい斬れ味だな」

「その分、扱いがむずかしいのよね」

「冒険者には合わないな……ん?」

「コレは……」

「魔物の動きが変わりましたね?」

グレートマンティスを討伐したユウが数匹の魔物を薙ぎ払いながら此方へ合流した。

魔物は先程までの連携が嘘の様に、好き勝手に動きだし、終いには同士討ちまで始めた。

「どうなっているんだ?」

「もしかしたら魔物使いがこの場から離れたのかもしれんな」

「どちらにせよ、コレなら問題なく殲滅が可能ですよ」

「そうね、早いところ始末しましょう」

一体一体は強力な魔物だが、連携さえ取られないなら私達が苦戦する事などない。

ものの10分程で、残っていた魔物は全て討伐が完了した。

「のわっ⁉︎なんスか、この魔物の山は⁉︎」

上階からの階段から聞こえる緊張感の無いティーダの声に、私達は揃って肩をすくめたのだった。

ティーダと合流した私達は上での話を簡単に説明されながら16階層への階段を降りていた。

「……それで、私が蠍とか言う女が召喚したホブゴブリンの群れをボコってやったら何とアースドレイクを召喚して来たんッスよ」

「アースドレイク⁉︎竜種じゃないか!」

「1人でアースドレイクを倒したんですか?」

「勿論ッスよ、女神様の加護を受けたこの鉄杖でベゴっと……」

「鉄杖でアースドレイクの鱗を砕いたの?」

「も、勿論ッスよ!あの程度私にかかれば雑魚ッスよ、雑魚」

ティーダは何かを誤魔化す様に目を逸らした。

「…………まぁ、良いけど」

何かを隠しているのは丸分かりだが、深く詮索するつもりは無い。

切り札の1つや2つ隠しているのは当然の事だ。

しかし、『蠍』か。

状況から察するに、帝都にキングポイズンスライムを放ったのはその女だろう。

なら、その目的は……1番有りそうなのは帝国へのテロ……もしくは何かの陽動か。

帰ったら調べてみた方が良いわね。

何が目的かは知らないが、既に少なくない死者も出ている。

それに何より、ミレイ達がやられた礼はしなければならない。

その辺りも含めて調査するべきね。

「エリー、そろそろだぞ」

エルザの声が私の思考を呼び戻した。

いけないわね。

まだダンジョンの中、集中しなければ命を落としかねない危険地帯だ。

私が気合を入れ直すと、前方に岩壁が見えて来た。

「有りました!あれがエマヤ鉱石の鉱脈です!」