軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

迷宮と洞窟

ダンジョンの中は普通の洞窟と同じようにしか見えなかった。

しかしやはり此処はダンジョン、光源が無いはずなのに薄暗くはあるが視界が闇に覆われることは無い。

通常ならゆっくり慎重に進むべきなのだが、私達は地図を頼りに最短ルートを駆け抜ける。

時折現れるゴブリンやジャイアントバットは無視し、道を塞ぐ魔物だけを手短に処理しながら進んだ。

現在は地下3層。

此処まで来るのに4時間ほど掛かっている。

初めはただの洞窟のようだったダンジョンは2層、3層と進むにつれて道幅は広く、天井は高くなっていった。

見通しの良い開けた場所で10分ほどの小休止を取る。

私は水筒から水を飲み、一息吐くと頭上の遥か上にある天井を見上げる。

「明らかに降った高さより天井が高いと思うんだけど?」

「不思議ッスね。ダンジョンってヤツはみんなこうなんッスかね?」

「いや、一括りにダンジョンと言っても幾つか種類がある。

ただの洞窟に魔物が住み着いた物や、古代文明の遺跡、ダンジョンコアと呼ばれる巨大な魔石を持つダンジョン・ミミックという魔物などだな」

「このダンジョンは明らかに内部の空間が異常ですからダンジョン・ミミックですね。

つまり、わたし達は今、魔物のお腹の中に居るというわけです」

「ええ⁉︎そうなんッスか⁉︎」

「ダンジョン・ミミックの特徴は内部の構造が異常なこと、トレジャーボックスと呼ばれる宝箱が偶に見つかったり、魔物や冒険者の死体が消滅したりすることですね」

「魔物や冒険者の死体が消えるのは分かるわ。

このダンジョン自体が巨大な魔物だというなら消化しているのでしょう。

でも、宝箱にアイテムが入っているのはどうしてなの?」

「仮説だが、宝箱を餌に人間、つまり冒険者を誘い込んでいるって説があるな」

「へぇ」

「不思議ッスね」

「さて、小休止は終わりだ。先に進もう。

少し先に4階層に降りる階段があるようだ。

4階層からは環境がガラリと変わるらしい」

「わかったわ、行きましょう」

私達が動き出そうとした時、周囲を囲むように気配が膨らむ。

「ん⁉︎囲まれているわね」

「こいつらは……コボルトだな」

「ど、ど、ど、どうするんッスか⁉︎」

「勿論、突破ですよね」

ユウが腰の2本の斧を構えた。

私達も武器を手にする。

「全滅させる必要は無い!最低限の敵を倒して突破する!行くぞ!!」

エルザの号令で私達は走り出す。

「グルァボ!!」

ボロボロの剣を振り下ろしてくるコボルトの喉を貫き、引き抜きざまに隣のコボルトの足を断つ。

「ひっ!こ、この!女神様の僕たる私を狙うとは……天誅ッス!!」

ティーダの鉄杖がコボルトの頭蓋を叩き割る。

「やるなティーダ、それだけの実力があれば安心して背後を任せられる」

「いやいや、私は一般人なんッスよ!Aランク冒険者のお2人と一緒にしないでほしいッス!」

「でもティーダさんもエリーさんも強いですよ。どうですか?冒険者になるなら推薦状を書きますよ」

「私は遠慮しておくわ。商人の方が性に合ってるのよ」

「私もお断りッス!命がいくらあっても足りないッスよ」

「いや、私達のペースについてきている時点で十分な実力だと思うがな」

会話をしながらも邪魔なコボルトを倒して包囲を抜けた私達は、下に降る階段を発見し駆け降りた。

不思議なことにダンジョン・ミミックの中の魔物はあまり階段には近づかないらしい。

コレは例外もあるので油断はできないが、階段の周囲は比較的安全だということだ。

背後から追ってきていたコボルトの群れも居なくなっている。

呼吸を整えながら階段を降りていると、光が溢れる出口を発見した。

ダンジョン内なのに外のように明るい光だ。

周囲を警戒しながら私達は4階層へ到達した。

「コレは……」

「どうなってんッスかね?」

初めてダンジョンに入った私とティーダは目の前の不思議な光景に目を丸くする。

洞窟の中を地下に向かって進んでいた筈の私達の目の前には、広大な森が広がっていたのだ。

話には聞いていたが、やはりこの目で見ると驚きを隠せない。