軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人造精霊アリス

イーグレットが手にするシャムシールがアリスの胸を貫いた。

心臓の位置だ。どうみても致命傷。今すぐ強力なポーションで治療しなければ間に合わない。

【縮地】で踏み込み、イーグレットの首を落とす様にフリューゲルを振るうが、足の力を抜き倒れ込み様に躱される。カウンターとして繰り出された突きを避ける為に顔を逸らすが頬を僅かに斬られてしまう。

反撃されるのは想定外だったが、この攻撃で殺せるとは思ってはいない。

体勢を崩したイーグレットの腕からアリスの胴を抱える様に奪い、再び【縮地】で元の位置まで退がる。

「ははは、そんなに慌てなくても返してあげるさ」

何が楽しいのかイーグレットが私を見て笑うが、今はそんな事に構っていられない。

私がイーグレットから視線を外すと同時にシスティアが私とイーグレットの間に立ち警戒する。

「アリス!」

「ま……ま?」

早くポーションを!

アリスの服を捲り傷口を確認する。

「な、何? これはどう言う事なの⁉︎」

アリスの傷口には僅かな血が着いているものの、そこから溢れているのは血では無く魔力だった。

明らかに致命傷の筈だが、アリスからは僅かな出血しかない。これならまだ保つかも知れない。

私は急いでポーションを半分傷口に掛け、残りの半分を口に含んでアリスに口移しで飲ませる。

これによってアリスの傷は塞がったが、魔力の流失が止まらない。

取り敢えず私の魔力でアリスの魔力を抑え込む様に包んでみるが、勢いが弱まるだけで流れ出る魔力を止めることは出来ない。

「くくく、どうだ? 完璧だろ?」

「どう言う意味?」

イーグレットを睨み付ける。イーグレットはアリスを抱き抱えた私を嬉しそうに見つめ返してきた。

「言っただろ? アリスは人間じゃない。いや、人間じゃなくなったと言うべきだな。

アリスは人造精霊だ。子供に俺の魔力を植え付け、高ランクの魔物の体内で強力な魔力に晒す事で精霊化させる。しかし、これは未完成で今までの実験体は魔力に適応出来ずに死んだ。

だが、エリー。キミのお陰でアリスは完成した。おそらくキミの魔力を大量に浴びたのだろう」

その言葉に、アリスと出会った時の事を思い出す。

あの時、変異種の魔物を倒す為に、私はブラートに神器をコピーして強力な雷の魔法を使った。

あれは確かに私の魔力だ。

「私の魔力が……」

「正確にはキミの魔力に宿る『イブ』の力さ」

「『イブ』?」

「ああ。現在、天界を治める女神。かつてイブと呼ばれた者の力だ」