軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アルトロス・イザリース

あの時の悪魔が1500年前の英雄。

「…………」

「どうしたのですか?」

考え込んだ私を不思議に思ったのか、ユウが小首を傾げたので、以前、ティーダ達と共に戦った悪魔の話を伝える。

「伯爵二位、アルトロス・イザリースですか。

確かにその特徴は言い伝えにある5人の英雄の1人と一致しますね」

「まぁ、今はあの悪魔の話は置いておきましょう。

それで、ユウ。イーグレットは3ヶ月後に天界門を開くと言ったわ。それに関しては心当たりはあるかしら?」

「そうですね……古い文献ですから定かでは有りませんが、精霊城はかつて精霊王が住んでいた居城らしいです。それを使って魔神を封印したのですが、本来精霊王は1年に1度、人間界に顕現してその力を以て自然界の均衡を保っていたと言われています。

その為、精霊城の存在する領域は1年に1度、開こうとするのではないでしょうか」

「それが3ヶ月後だと?」

「おそらく」

3ヶ月後、精霊城への道が開き魔神が解放される。

勇者の力を以てさえ、封印するのがやっとだった魔神だ。

紛れもなく大陸の危機だ。

「ナイル王国に向かうわ。

魔神の封印解放を阻止してアリスを取り戻す」

「わたしも行きましょう」

ユウの言葉に頷き返した私は、ハルドリアを離れる為、今の雇い主であるオーキスト殿下へと面会を求めるのだった。

◇◆☆◆◇

闇に包まれたナイル王国の王城、至る所に悪魔が闊歩するこの場は、まるで魔界の様だ。

そんな場所を堂々と歩くのは魔界で名を馳せる大悪魔、アルトロス・イザリースだ。

サロンからバルコニーに出たアルトロスは、ナイル王国の王都を見下ろした。

ナイル王国の民はその殆どが悪魔召喚の生贄となり、魂まで捕食されて消滅している。

この国の王子が行った事だが、これだけの所業を目にしてもアルトロスにはどうでも良い事だった。

「あら、此処に居たのねアルトロス卿」

「…………貴様か、ラズリス」

いつの間にかアルトロスの側に立っていた娼婦や踊り子の様な扇情的な衣服に黒いベールで顔を隠した女が立っていた。

「烏と呼んで欲しいわね」

「くだらぬ」

拗ねた様な声を出す烏を無視してアルトロスは王都から伸びる黒い光の先、空の上の亀裂を見つめる。

「もうすぐだ……もうすぐ会える、スーリス」