作品タイトル不明
終戦①
追撃を終えた私は、追撃部隊と共にレクセリン砦に戻っていた。
ハルドリア王国軍が撤退して行った方角とは別の方に逃げた脱走兵を狩る為に出ていたユウ達や、他の兵も戻り初めている。
国境まで退がったハルドリア王国軍は、その場で陣地を敷き拠点を作っていた。
帝国軍は国境を越えない様に監視だけはしていたのだが、半月程経つとハルドリア王国からの使者がレクセリン砦にやって来た。
オーキスト殿下と謁見した使者はアデルからの書状を持っていた。
使者が帰った後、私やルーカス様など主だったメンバーが集めらた。
「今日、ハルドリア王国からの使者が訪れたのは知っているな?」
オーキスト殿下の言葉に、私達は頷きで返した。
「その使者が持って来た書状の内容なのだが、端的に言ってしまえば降伏状だ」
事情を知っている私やルーカス様以外の幹部達は戸惑いを見せる。
「あれだけの事をしておいてすんなり降伏するとは思えないですな」
「うむ、何か裏が有るのではありませんか?」
「いや、どうやらハルドリア王国内で政変が有ったらしい。ブラート王は排斥され、アデル・ハルドリアが女王として即位したそうだ」
「アデル・ハルドリア?」
幹部達の中には首を傾げる者も少なくない。
アデルは幼い頃に南大陸に留学した為、知名度は高くないのだ。
「エリー殿」
「はい。アデル・ハルドリアはブラート王の側室であるギョクリョウ妃の娘でフリードの腹違いの妹ですね。
ギョクリョウ妃の故郷である南大陸のレキ帝国に留学していたのであまり知られていませんが、ハルドリア王国の王位継承権第2位です」
私の説明に幹部達は納得した。
「では現在のハルドリア王国の君主はアデル女王陛下と言う事か」
「そうだ、数日後そのアデル陛下が交渉の為にレクセリン砦を訪れる。
その為の会議をしたいと思う」
そこからはオーキスト殿下と文官が中心となって、和平の条件やハルドリア王国への要求などが話し合われた。
流石に私はあまり口出しは出来なかったが、ブラートの処遇には多少の意見を言わせて貰った。
そしてレクセリン砦に少数の護衛だけをつれ、アデルがやって来た。