作品タイトル不明
決戦⑦
「【泥沼】【泥枷】」
システィアが地面に手を突くとブラート王の足下を中心に地面が緩み、泥の触手が伸びてブラート王の脚を拘束する。
「【月刃】」
すかさずユウが大斧を横凪に振るうと、三日月型の魔力の刃が空を駆けた。
「【破電】」
ユウのスキルが当たる寸前、ブラート王の全身が轟音と共に雷光を放ち、魔力の刃を消しとばし、周囲の泥を蒸発させる。
紫電を纏いながら僅かに浮遊するブラート王は、神器である剣の切先を此方に向けた。
ユウのポーションでようやく動ける様になった私は咄嗟に叫ぶ。
「雷撃よ!回避!」
エルザに肩を借りながらブラート王の正面から退避する私。
イーグレットやユウ、システィアもブラート王から距離を取る。
「エルザ、大丈夫?」
「ああ、何とか。神器をつかっていなかったら不味かったな」
エルザは私を庇って火傷を負ってしまったが、神器による強力な身体強化で上昇した治癒能力によりすぐに傷は治って行く。
「今ので誰も死なないか、強いな」
土煙の中から余裕の表情でブラート王が現れる。
私は近くに居るエルザとシスティアに手早く動きを伝える。
更にユウとイーグレットに視線を向け、ハンドサインを送る。
義勇軍を組織した時に決めた簡易的な物だが、簡単な意思の伝達くらいは可能だ。
ユウとイーグレットは左右から同時にブラート王へと斬りかかる。
それを視線を向ける事すらせずにブラート王は雷撃を放ち迎撃しようとするが、その雷はシスティアが伸ばした泥の塔に引き寄せられる。
あの泥の塔の先端には私がシスティアに手渡した雷電石が仕込んである。
「っ⁉︎」
不意を打たれたブラート王は咄嗟にユウの大斧を神器で受け止め、イーグレットのシャムシールを腕で受ける。
強力な身体強化で高めた防御力で腕を守るが、半ばまでを断ち切った。
「ちっ!」
ブラート王が2人を振り払おうとするが、それよりも早くユウとイーグレットは距離を取る。
好機に深追いしなかった2人に訝しげな視線を送るブラート王の眼前に私は躍り出た。
「エリザベート!!」
私に神器を向けるブラート王。
その姿を正面に捉えて駆ける。
「神器【嫉妬の魔導書】」