軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レクセリン砦⑦

囮にされていた兵士達を殺し終えたサラマンダーは、私達の方に頭を向けて無造作に息を吸い込んだ。

「ブレスが来るわ!」

「【 泥壁(マッド・ウォール) 】」

私が叫ぶのと同時にシスティアが地面に手をつき、地面から私達を覆う様に半球状の泥の壁が迫り上がった。

轟音と周囲の温度が急激に上がる。

サラマンダーは中位の竜種だが、その性質は精霊に近い。

自然種のサラマンダーは火山などで自然界の魔力を取り込んで生きている。

その為、縄張りを侵さなければ他の生物を襲う事は少ない。

たが、一度暴れ始めれば周囲一帯を火の海に変える魔物だ。

「不味いな、温度が高すぎる」

「このままだと破られてしまいますね」

システィアの【泥壁】は柔軟な泥で攻撃を受け止める強力な防御魔法だが、サラマンダーの炎は泥の水分を急激に奪っていた。

「壁が崩れた瞬間、散開しましょう。私が時間を稼ぐわ」

「はい」

「分かった」

目の前の泥で出来た壁が、次第に乾いた土へと変わり、幾つもの罅が入る。

「今よ!【 氷華刃(アイス・フラワー) 】」

小さな氷の華を吹雪の様に放つ。

サラマンダーの視界を塞ぎ、炎のブレスを相殺する。

あまりに火力が高すぎて長くは持たないが、その間にユウとシスティアは左右に分かれてサラマンダーのブレスの範囲外へと退避した。

「【 氷珠(アイス・スフィア) 】」

ブレスに押し切られる瞬間、自分の体を氷で包み込む。

強力な炎で氷がどんどん溶けて行く。

1人なら、これで終わっていたかも知れないわね。

氷が溶け切る直前に、泥の巨人の拳がサラマンダーに叩きつけられ、そのまま地面と同化して取り押さえる。

身体中から炎を吹き上げて脱出しようとするサラマンダーだが、私は氷の珠を砕き出ると直ぐに拘束を強化するべく魔法を唱える。

「【 氷枷(アイス・バインド) 】」

泥の拘束ごとサラマンダーの身体を氷漬けにした私は、防壁の上に視線を向ける。

「ユウ!」

「はい!神器【 終結の戦斧(ピリオド) 】」

ユウの手に具現化された巨大な漆黒の戦斧は、膨大な魔力を纏ってサラマンダーに振り下ろされた。

強靭な竜種の鱗も攻撃に特化したユウの神器の一撃には耐えられず、その首を刎ねられる事になった。

「ふぅ、終わりましたね」

「ええ、さて、後は……」

「ん、あれは!」

システィアが指差す方を見れば、あの百足と名乗った男と手綱を握った女が大きなワイバーンに乗って飛び立って行く姿が見えた。

「あの女がモンスターテイマーかしら?」

「そうですね。ティーダさんから聞いた特徴に一致します」

「逃げられたか」

「取り敢えず、砦の奪還は成功でしょう。周囲の魔物もそろそろ討伐が終わるでしょうし、オーキスト殿下に連絡して砦の確保の人員を送って貰いましょう。

こうして私達はレクセリン砦を確保し、拠点として侵略軍を迎え撃つのだった。