軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

国際会議(1)

――世界中から石油枯渇が判明してから1か月が経過した国連本部で主要国首脳会議が開かれていた。

参加国は、全部で21か国であった。

「これは、謙島首相ではないですか」

会議場に向かう通路で、アメリカ合衆国大統領であるルーズバルトが、笑みを浮かべたまま話しかけた。

「お久しぶりです、合衆国大統領」

「そんなに固い挨拶をしなくてもよいではないか? 日本とアメリカは、同盟国同士であり相互協力及び安全保障条約を結んでいるのだから」

「そうですね」

曖昧な返事。

苦笑いした表情になる 謙島(けんとう) 巳(し) は、心の中で溜息をつく。

謙島が、日本国首相に就任した時、アメリカ大統領であるルーズバルトは無視しホットラインにも出なかった。

それなのに、世界的に石油が枯渇したあとは、毎日のようにラブコールを送ってくる始末。

それを思い出して謙島は微妙な表情になっていたのだが。

「我が同盟国であり安全保障条約を結んでいる日本国は、今、大変な状況だと聞き及びましたぞ?」

「大変な状況とは?」

「何でも日本国の領土である樺太にダンジョンがあるそうではないですか」

「そうですね……」

「そのダンジョンが暴走をしてモンスターが大量にダンジョンから出てロシアという国に迷惑をかけているだとか?」

「……」

謙島は、アメリカ大統領が何が言いたいのか察しがついた。

「大事な同盟国であり真の友人である日本国の一大事! モンスターの討伐を是非にアメリカ合衆国に一任してほしいのですが、如何か? これは、真なる友人である貴国を救いたいというアメリカ合衆国の総意でもあるのです」

「そうでしたか……」

同盟国であるアメリカ合衆国から言われたら、そう返すしか出来ない日本国首相の弱腰の対応。

そんな日本国首相の反応に気分よく頷くアメリカ合衆国大統領に対して謙島は重々しく口を開く。

「ただ……」

「ただ?」

アメリカ合衆国大統領の瞼がスーッと細められていく。

「樺太と北方四島はロシアが占領しておりまして」

「なるほど……。それに関してはアメリカ合衆国としても以前から何とかしなければいけないと思っていた。そもそも樺太も北方四島も日ロ不可侵条約を破って不法占拠している場所ですからな。その点に関しては、あれはテロ行為だとEUもアメリカも理解しているつもりです。日本政府さえ良ければ樺太と北方四島は日本の領土と言う事にした上で、アメリカとEU連合軍が、樺太と北方四島を奪還、管理すると形ではどうでしょうか?」

「それは、つまりダンジョンからのスタンピードを何とかすると?」

そう謙島首相が口にしたところで、アメリカ合衆国大統領が口を開く。

「今、世界では石油資源が枯渇している事は、謙島首相もご存じかと思います」

「……」

「我が合衆国とEUの多国籍軍は、樺太で数十万存在しているモンスターという資源の管理、運用を希望しているのですよ。少なくともロシアが魔鉱石をモンスターから手に入れている現状は、よろしくない。謙島首相も同じ考えかと思っておりますが?」

「……分かりました」

「やはり真の同盟国。アメリカ合衆国は、これからも日本国と共に歩んでいきたいと思っておりますぞ? ああ、そうそう。これから会議がありますが、話を合わせてもらえますかな?」

渋々と言った様子で頷く謙島首相の肩を軽く叩くと気分よくアメリカ合衆国大統領は会議場へと向かっていった。