軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

海の中を車で走ったら賠償ですよね、わかります。

疑問は色々と残るが、車で都築さんのところまで戻る。

「……さ、佐藤さん……」

俺が車から降りてきたのを見て都築さんが凍ったような表情をすると、車のナンバーを見て、俺を見て、

「この車って……レンタルですよね?」

「はい?」

「海水って、鉄が錆びますが……」

「あっ……」

完全に失念していた。

そうだった……。

海水に鉄製品を入れておくと錆びて使い物にならなくなるんだった。

「あとでレンタル業者に報告するので、大丈夫ですよ」

全然、大丈夫じゃないと思うが、素直に謝罪して賠償金を払おう。

ついついダンジョン内だから大丈夫とか思ってしまっていた。

もっと注意しないと駄目だな。

「当社からも幾らか――」

「いえ。これは自分のミスですので」

「そうですか……。それよりも、ダンジョンの海は随分と浅いみたいですね」

「はい。自分もダンジョン内の海を走ってみましたが10センチから20センチほどの水深しかないですし、魚も見当たらないですね」

「そうですか……、それは残念です。唯一のメリットとしては、遥か先まで浅い海が広がっているということですね。これだけの広さがあれば、日本中のハマグリ、アサリを10階層で賄えるかも知れませんね。問題は、アイテムボックスに入れる条件が生きた生物は入れられないということですので、そこは課題ですが」

「そうですね」

だが、生き物をアイテムボックスに入れられるようになったら、それこそ大問題なので、今のままがいいと思う。

「佐藤さん、これは、まだ私のひらめきなのですが、冷凍設備なら佐藤さんのアイテムボックスに入るんですよね?」

「はい」

「つまり、とったハマグリやアサリを冷凍して、アイテムボックスの中に入れたあと、いつも通りにダンジョンの外へと持ち出せば何とかなるのでは? 一か月ごとに、ダンジョンがメンテナンスされるようですが、それに合わせて冷凍設備をアイテムボックスに回収すれば……」

「いけますね……」

「ちなみに佐藤さんのアイテムボックスは、どのくらいまで入りますか?」

「いまは400トン近くですね……」

「……それ、もう工場まるごと、ここに移設して加工して、加工した貝類をアイテムボックスに入れて輸送出来てしまうのでは?」

「できそうですね」

まぁ問題は、その加工を誰がするかだけど。

氷河期世代の冒険者を雇うのは正直言って現実的ではないと思う。

何せ、低賃金でダンジョン内で働く必要がないのだ。

そしてダンジョン内に入れる人は、鑑定スキルを持っている人間に雇ってもらってサポーターをして若返り付与の野菜や果物を輸送するだけで何十万、何百万と一日で稼げてしまう。

はっきり言って、一日何万も払って雇用なんてしていたら、それだけで貝類の価格は爆上がりしてしまう。

「ただ、加工って誰がしますか?」

「そうですね、普通に無理ですね」

俺が考えたことを、他人が考えないわけがない。

よって、海岸線沿いに工場移転計画はアウト。

あとは、出来るとしたら水魔法か氷魔法で凍らせて殺してからアイテムボックスに入れるくらいか。

冷凍アサリとか、冷凍ハマグリとかはよくスーパーで見かけているので、それならいけそうだ。

10階層の海に関しては、これからの課題ということで、俺と都築さんは10階をあとにした。

そして、都築さんと養老渓谷ダンジョンで別れた足で、木戸さんにレンタカーショップまで連れていってもらった。

「海の中を走ったんですか!?」

「あ、はい……」

「そうですねー。器物損壊罪、罰金、懲役刑になる可能性があります」

「……車がつかえない時間も含めて、車をこちらで新品と同じ価格の2倍の価格で購入させていただきます!」

「……仕方ありませんね。お客様の誠意を確かに承りました。今後は、このような事がないようにお願いします。お支払いは分割ですか?」

「一括で……現金で……」

「そうしますと、1000万円前後の支払いになりますが……」

高ッ!

屋根なしジープって、倍だと、そんなにするのか……。

だが、これは俺のミスだ。

「銀行に行ってきますので、正確な費用をお願いします」

「分かりました」

俺は、そのあと銀行にいき、現金を卸してレンタカー本社の支店長と本部部長という方の立ち合いの元、1200万円近い現金を払った。

車を買おう……。

何かあった時には、レンタカーは高すぎる。