軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

俺のマネジメントは完璧だ。

夕方まで、養老渓谷ダンジョン近くの土地を見て回って丁度いい土地を見つけたあと、不動産の方へ購入する旨を伝えた。

後日、家の図面を起こすために要望を伺うとの事だったので日付設定だけして別れ、養老渓谷ダンジョン前の駐車場に到着した。

「なんだか疲れましたね」

「そうですね。佐藤さんは、養老渓谷に住まわれるのですよね?」

「はい。木戸さんに送り迎えを毎日してもらっているのは迷惑をかけてしまって悪いので」

相手は、取引先相手社長の娘さんだからな。

あまり無理を言ってもよくない。

自分で出来る範囲のことは自分でするのが社会人の嗜みだ。

「それで、木戸さん」

「は、はい!」

「今日、収穫する成果と果物を教えてもらえますか?」

先ほどから何か考え事をしている木戸さんに話しかける。

何故か分からないが俺が家を購入すると言ったあたりから、考え事が多いような気がするのは気のせいだろうか?

もしかして! 俺の懐に大金が入ったから冒険者を止めて取引も止めるとか思われている……のか?

「……」

心ここにあらず。

そんな感じだ。

「あの木戸さん」

「はい」

「心配しなくていいですよ」

「え?」

「最後まで、(取引に関しては)きちんと責任はとりますから」

「(私との関係の)責任をとってくれると?」

「もちろんです。(企業同士の契約なのですから)責任を取るのは男として当然でしょう?」

「分かりました! お父様にも話しておきます! お父様も是非にと考えておくようにと言っていましたし、私もお父様と同じ考えでしたから!」

「そうですか。それではお願いします」

木戸さんが不安に思って考え事が多かったということは、まず間違いなく彼女の父親である社長も同じことを思っている可能性が高い。

とりあえず、きちんと話したことで、まったく! 誤解なく! 理解を得られたので良かった。

これで円滑な企業同士の付き合いが出来る。

人付き合いの一番の問題は、すれ違いからくる誤解というが常識。

俺は、そんなミスを起こしたことは一度もないので問題ない。

何故なら、先に空気を読んで互いの認識を間違いなく擦り合わせているという自覚があるからだ。

話も一段落つき既に用意されていたコピー用紙を受け取った俺は養老渓谷のダンジョンに意気揚々と乗り込む。

何せ、1ルームの築40年近くのアパートから一軒家を建てることが出来るくらいまで一か月で資産が増えたのだ。

一人暮らしだと一軒家は広いかもしれないが、犬や猫を飼うのも一つの手だろう。

まったく夢が広がりまくるな!

俺は何の苦も感じずに日が変わるまで、養老渓谷のダンジョンと、ダンジョン前に停車しているトラックの間を往復して農作物とフルーツの出荷作業を行った。

まさしく至福の仕事タイムである。

「ふう、今日も頑張ったな」

「お疲れ様です」

「いえ。木戸さんこそ、いつも夜遅くまで付き合ってもらって申し訳なく思っています」

「いえいえ。それよりも佐藤さん」

「何でしょうか?」

「お父様に、先ほどの話をしたところ、是非! 一度、自宅に来てほしいと」

「自宅に?」

「はい」

「自分が?」

「はい」

「そうですか」

何か自宅に招かれるような事をしたのか? と、思ったが心当たりがまったくない。

まぁ、自宅に招いてくれるのなら取引先相手を下手に突き放すのも悪手だからな。

ここは素直に応じておくのがいいだろう。

「分かりました」

「では、お父様にも、そのように伝えておきますね!」

「お願いします」

木戸さんが少し浮ついているように見えるが、気のせいだろう。