軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

樺太ではモンスタースタンピードで大変らしい。

夕方になり、木戸さんからアパート前に到着したと連絡があった。

助手席に乗り込み、起きたままの頭でぼーっと横に流れる景色を見ていると、

「あの佐藤さん」

「はい」

「大丈夫ですか? きちんと眠れていますか?」

「はい。大丈夫です」

きゅうりさえ食べれば肉体的疲れだけは完全回復するから。

「そ、そうですか……。何だか考え事をしているようでしたので。やっぱりダンジョン暴走事件を気にしたりしていますか?」

「スタンピードの件ですか」

よくライトノベルなどで書かれているダンジョンからモンスターが溢れる現象であるスタンピード。

その単語を思い出して欠伸を噛みしめながら口にする。

「はい。ですが、国内のダンジョンについては暴走する可能性は限りなくゼロだと、神々から連絡があったそうですよ? だから、安心して大丈夫みたいですよ」

「そうなんですか?」

「はい。樺太ダンジョンは、ダンジョンこそ出現していましたが、それをロシア政府が隠していて、さらに日本人である氷河期世代の人材は樺太にいなかったそうで、誰一人入ることなく放置されていたそうです」

「よく物語でみますね。ダンジョンの魔物を定期的に間引きしないとモンスターが溢れるとかいう設定を」

「はい。ですので大丈夫だと日本ダンジョン冒険者協会は結論付けて、樺太ダンジョンは放置する方向で決めたそうです。そもそも、樺太に日本人が渡る術は殆どありませんし、海を隔てていますから放置をしていても実害はありませんから」

「そう言われるとそうですね」

「ただロシアと樺太は冬には流氷で陸続きになるためモンスターは樺太から流氷経由でロシア本土に渡るみたいですけど」

「それは、結構、大変ですね」

まぁ、現実問題として樺太を実効支配しているのはロシアなので、ダンジョンから溢れるモンスターの対処もロシアの仕事なんだろう。

日本の神々が存在していて力を振るえている現状ではロシアも日本のせいにはするけど、不当な請求は難しいだろうし。

それにしても海外には神様はいないのだろうか?

そこは気になる部分ではある。

「はい」

「そういえば樺太に存在している町や村が壊滅したと聞きましたけど、結局のところはどうだったんですか?」

日本ダンジョン冒険者協会が提供していた動画と、冒険者掲示板だけでは詳細は分からないので聞いてみることにした。

自宅にはテレビはないし、もしかしたら何か知っているのでは? と、思ったが。

「私も詳しくは――、テレビでは犠牲者が30万人を超えたとか流れているくらいしか――。住民の3割近くは無事にロシア本土に逃げることは出来たみたいですよ」

それって7割は無事ではなかったということなのでは?

俺は少し気になって日本国政府の対応について調べたが樺太に対する日本政府の対応は、ロシアが実効支配しているのだから日本政府は関係ないというスタンスを取るみたいだった。

これって自国の領土に樺太も組み込んでいる日本政府としては問題なのでは? と、一瞬思ったが、問題だったら自衛隊や冒険者が樺太に連れていかれることになるので、やっぱりロシアには頑張ってほしいと思った。