軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

暗躍する降魔真理教

――千葉県某所の宗教施設。

町中に突然現れる巨大な建造物と広々とした敷地。

今、そこに一台の車が開かれたばかりのゲートを通って施設内へと移動していく。

ゲートの守衛も明らかに一目で堅気ではない連中ばかりで、腰には警棒とスタンガンと拳銃を吊るしていた。

明らかに銃刀法違反であったが、信者が日本全国で200万人居り、その教団総資産は数兆円を超えることから日本政府や警察機構ですら手を出すことが出来ない武力すら有していた。

敷地内に入った車に乗り込んでいたのは、額に六の文字が書かれた日本ダンジョン冒険者協会の面々。

彼らの表情は一律に青く体を震わせていた。

5人が通されたのは、宗教建造物が集まっている場所ではなく、さらに奥まった場所に建てられた幹部のみが入ることが許される場所であった。

車から降りた5人の面々の足取りは重く後ろから、

「早く歩け。先生や会長、理事長がお待ちだ」

「――は、はい!」

冷たい氷の刃のような声で命令を受けた5人の冒険者協会の職員たちは、建物の中へと入る。

すると建物の中には30人近くの男女が既に椅子に座って待っていた。

「こ、こここ……、この度は……、ご迷惑を――」

「此方まで来い」

コの字に並べられたテーブル。

その中央部まで歩かされた日本ダンジョン冒険者協会の面々は、後ろで建物から出るための唯一のドアが閉められた事に思わず唾を呑みこむ。

「――さて……」

そう言葉を発したのは、日本で5本の指に入る戦後に急速に勢力を伸ばした降魔真理教の長である池原であった。

年齢は既に100歳を超えていたが、その瞳は欲望の色で濡れ切っていた。

「儂が、貴様らを呼びつけた理由は分かるであろうな? のう? 新井健太」

「そ、それは……」

「虚言などを口にすれば、どうなるか理解はしているであろう?」

「こ、この額の文字に関する――」

「そうであるな。おかげで儂の額にも同じものが出来た」

「――ッ!?」

新井と呼ばれた佐藤と水の女神に横柄な態度をとった男が目を大きく見開く。

その視線の先――、降魔真理教の会長の額には六の文字が刻まれていたのだ。

「そ、それは……」

「貴様が、日本の神に対して無礼な態度をとったおかげで、此方まで火の粉が飛んできたではないか。どう責任を取るつもりだ?」

「池原会長。今は責任云々の話よりも、日本国から追放処分を受けた教団幹部とトップ、政財界の重鎮、そして降魔党員のことをどうするかです」

「そうであったな。山本寛治」

山本寛治と名前を呼ばれた降魔真理教がバックとして日本で野党を形成しているトップの男は、頷く。

「――で、この報告書に書かれている事は本当のことか?」

横から割って話に入ってきたのは70代後半の男。

「は、はい! その通りでございます! 日本人の分際で、我々の寛大な応対を理解せずに、一方的に呪いを行ってきたのです! たかが日本の神の分際で! 生意気にも偉大なる降魔真理教の会員に対して! 安田理事長」

「なるほど……。池原会長。これは、我が降魔真理教に対する宣戦布告と見ていいでしょう」

「ふむ。だが、相手は曲りなりにも――」

そこまで口にしたところで池原は口を閉じる。

生きた人間を崇拝する――、個人崇拝を原理としている。

そこに神秘性など一欠片すら存在していない。

金を集める為だけの宗教組織である。

そこを理解しているからこそ、池原会長は喉まで出かけた言葉を飲み込んだ。

「たしか日本では、神殺しをすれば呪いが解除されるという話があったな」

「――は?」

降魔真理教のトップである池原会長の言葉に、思わず日本ダンジョン冒険者協会の職員である新井は素っ頓狂な声を上げていた。

「このままでは座していては日本国内に築いた我々のネットワークが寸断されることは、ここにいる親族一同なら理解できると思う。我々は、理不尽な日本の神々の一柱を血祭に上げることを最優先とする。よいな?」

「……池原会長」

「なんだ? 山本」

「我々の実行部隊は、韓国マフィアが主力部隊となります」

「それが何か問題でもあるのか?」

「佐藤という男は養老渓谷ダンジョンで活動していると報告書にありますが」

「ならば、親族を人質にして誘き寄せれば良かろう? 偉大なる降魔真理教に楯突いたのだ。相手が三親等内に影響を及ぼしてきたのなら、佐藤の家族、親類縁者も見せしめに殺すべきだ。どうせ日本政府は何もできまい」

池原会長の言葉に山本は、

「分かりました。主力部隊300人に重火器武装をさせた上で韓国マフィアと中国マフィアを幾つか動員します」

「失敗は許されないと思え。この額の数字が消えない限り表立って我々は表には立てないのだからな」

「はっ」

「――して新井よ」

「はい」

「貴様には、佐藤と、女神と公言している奴の分断作業を任せる」

「分断というと?」

「我々は日本という市場を失うわけにはいかないのだ。日本人はお人よしで簡単に騙せる馬鹿が多い。いくらでも金さえ払えば情報統制が出来るのだからな。だったら分断して各個撃破が定石であろう」

「ハッ! た、たしかに! さすがは池原会長」

「うむ。失敗は許されぬぞ! 日本国民奴隷制度まで、あと一歩だったのだ! ぬかるではないぞ!」

「「「「はっ!」」」」

降魔真理教トップである池原会長の言葉に、集まっていた三親等内の通り名を悪用し地位を築いて人間達は邪悪な笑みを浮かべながら行動を開始した。