作品タイトル不明
地下15階層へ
地下14階層を爆速するジープ。
時速60キロ前後で走っていることもあり、吹きとばしたゾンビは、ジープとの衝撃に空中でバラバラになって地面へと落ちていく。
死体と言う事もあり、死体の耐久力がないので、しかも腐っているので余裕でゾンビたちは砕け散る。
「ふははははは、死ね! 死ね! ムシケラどもー!」
弟の浩二が何故かハイテンションになっている。
まぁ、腐っても死体だからな。
少しくらい精神状態が高揚していても仕方ないだろう。
ジープは、そのままゾンビたちを蹴散らして地下15階層に降りる階段前で停まることはなく、そのままダンジョンの通路の壁にぶつかりそうになったので、
「あ、このままだとジープが壁にぶつかって壊れそうだから勿体ないな。俺のステータスなら大丈夫だと思うが弟だと大変な事になると思うが、ヒールの実験体にもなるから丁度いいな」
急いでアイテムボックスの中にジープを収納した。
おかげで車に乗っていた慣性のまま、俺と弟の浩二は壁にモロにぶつかった。
「ひでぶう!?」
「くはっ! いててて」
俺のステータスは、それなりに高いので何とか無事。
弟の浩二は、意識を失っていて四肢が曲がってはいけない方向に曲がっていた。
「これは、複雑骨折というやつか? でも、さすがにジープをおしゃかにするわけにはいかないからな。俺のステータスなら、少し痛いくらいで済むと思っていたから、そのへんは予定どおりだな」
弟の浩二のステータスを【鑑定XⅡ】で鑑定する。
【名前】佐藤浩二
【レベル】28
【HP】D
【MP】D
【STR】E
【DEX】E
【CON】C
【WIS】D
【INT】D
職業
【剣士I】
【正義のヒーロモドキ】
スキル
【鑑定I】【アイテムボックスI】【火魔法I】【水魔法I】【氷魔法I】【風魔法I】【土魔法I】【聖魔法I】【闇魔法I】【光魔法I】【雷魔法I】
状態
【四肢複雑骨折】【心臓以外の内臓破裂】【打撲29か所】【死ぬ一歩手前】
「……どんな怪我も傷も死一歩手前なら治るヒール!」
とんでもない鑑定結果が出たので俺は急いでヒールをかける。
そして辛うじて、
状態
【何とかギリギリ生存中】
そんな鑑定結果になったところで1時間だけ若返るプチトマトを弟の浩二の口にねじ込んで食わせる。
何とか嚥下出来たと思ったら、肉体が瞬時に再生された。
「う……うう……ハッ!」
勢いよく上半身を起こした弟の浩二は、周囲を見渡してから、何度か自身の指を見て俺を見て確認したかと思うと、
「俺! 今さっき! 死んだばあちゃんと出会った気がする!」
「そうなのか? 気のせいじゃないのか?」
「おかしい……。何だかよく覚えていないんだ! 兄貴!」
「そうなのか?」
「うん。微かな記憶ではハイテンションになった俺は車の運転でブレーキを踏まずに地下へ降りていく階段の横を通り過ぎて、壁が見えてきたと思ったら――」
「思ったら?」
「兄貴が、ジープが壊れたら困るって言ったあと、俺が怪我をしたら回復魔法の実験体として丁度いいからってジープをアイテムボックスに入れたあと、壁にぶつかるような夢を見たんだ! 気のせいだよな?」
「気のせいだな。全部、夢だ。間違いない! 俺が、そんな人でなしのゴミクズのような弟を実験体として扱うような鬼畜な人間に見えるか?」
「……」
「どうして無言なんだ?」
「兄貴なら合理的にやりそうな気が」
「いやだなー、俺が、そんなことをするわけないじゃないですかー」
「どうして、丁寧系?」
「さて! 15階層に降りるぞ」
「兄貴! 本当にやってないよな? やってないよな?」
「やってないって言っただろ? 俺を信用しろとは言わない! 俺を信用している俺を信じろ!」
「意味が分からない」
よし、とりあえず誤魔化す事には成功したな。
スキル【鑑定XⅡ】で見たが、
【名前】佐藤浩二
【レベル】28
【HP】A
【MP】D
【STR】E
【DEX】E
【CON】A
【WIS】D
【INT】D
職業
【剣士I】
【正義のヒーロモドキ】
【三途の川からの生還者】
スキル
【鑑定I】【アイテムボックスI】【火魔法I】【水魔法I】【氷魔法I】【風魔法I】【土魔法I】【聖魔法I】【闇魔法I】【光魔法I】【雷魔法I】【ふんばり】
どうやら、新しいスキルを覚えたようだからな。
むしろ俺に感謝して欲しいまである。
一応、弟の浩二が新しく覚えたスキルを鑑定しておくか。
【ふんばり】
生死の境から生還した冒険者に与えられるスキル。
どんな攻撃を受けても何度でもギリギリ生存することが出来る。
かなり有用なスキルだな。
ただし、手に入れるのは普通は無理だな。
そういえば復活したら体力とHPが一気に上がったな。