軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

初めての出征 ㉟

数々あるアスキーアートの中でもメジャーなアレは、ネット掲示板の中だけで生きる空想上の生物だと思ってたよ!!

まあ良いや!

私の目の前に実在する以上、存在自体は認めざるを得ないからね!

しかしだ!

「・・・お前ら、私たちを襲いに来たくせに、返り討ちにされて抗議とか巫山戯てんのか!」

「オエ―――ッ! ゲボッ! オエエエエエエエッ!!」

言葉が通じているわけではないはずだけど、えずくような鳴き声が神経を逆撫でする!

私だって鳥類の言葉―――、いや、鳴き声の意味なんて分からないけど、抗議されてるように聞こえるんだよ!

それだと、痛いところを指摘されて逆ギレするネット掲示板の住民と変わらないだろ!

煽り耐性のない引き籠もりニートか!

結論、なんか無性に腹が立つ!

腹が立つから行き場の無い怒りも上乗せして魔力の手を振り抜く!

私は自分がオタクに優しい女の子だと自認していたけど気のせいだったようだ!

残念だったな!

アスキーアートとオタクに関連性は無いけど、ネット掲示板と“引きニート”の関連は深い!

なぜならば、自分が社会復帰するのには何の役にも立たない膨大な知識を溜め込んでいるのがネット掲示板に棲む引きニートだからだ!

生死のギリギリで生きていた私に嘘の情報を与えて嘲笑ったのも、推定・引きニートだからね!

あのときの悔しさと、ひもじさは死んでも忘れない!

実際、熊に食われて転生しても忘れていないんだから|証明終了(QED)だ!

飛行中の鳥というものは羽ばたきを止めて失速することで空中でも下方への急激な進路変更を可能とする!

しかし、上方や左右への進路変更は急激と言っても追随出来ないほどではない!

上方へ向かおうとすれば重力が重荷になって速度が落ちるし、左右への進路変更は慣性が邪魔をする!

お前らの敗因は木々の頭スレスレを低空飛行してきたことだ!

獲物と見定めた私たちに気付かれないように低く飛んできたのだろうけど、“策士、策に溺れる”とはお前たちのようなマヌケを指して言う!

人間様の知恵を冥土の土産に持っていけ!

「足」の指をガシッと地面に突き立てて強引に体の向きを変えれば、逃げるガルダに振り切られることはない!

再び進路変更したガルダを追って「足」で駆けながら、「手」で乱打する!

「オエエエエエエエッ!!」

「ウゴォエエエエエッ!!」

バシン! バシン! とヒットして、舞い散った羽根と口から吐き出した何かの液状物質を煌めかせながら、また数羽が地上へ墜落していく!

「手」の軌跡を先読みするように躱す個体も居るけど、大きな「手」の範囲内からは逃れきれずに片翼を掠めるぐらいはする!

たまに私の背後へ回って逆襲を仕掛けようとする個体も居るけど、舐めんな! ヒョイと避けてブッ叩き返す!

「・・・こーの! このこのこのこの! このアスキーアートめ!」

あの日、ひもじくて流した私の涙を、お前らのお肉で埋め合わせてくれる!

味見させろ! お前らのお肉を寄越せえ―――ッ!

半数以上が撃墜されたところで、さすがに旗色が悪いと受け入れたのか、バッと散開したガルダたちが南岸側の奥へと逃亡を始めた!

「・・・あっ! クソ! 逃げんな!」

「オエ――――――ッ!!」

うーわ! ムカつく!

腹は立つけど、チラリと目を向けてナーガ川の位置を確かめれば、結構、深くまで南岸に踏み込んでしまっている。

私の方も、さすがに潮時か。

空中戦を始めてから、どのぐらいの時間が経ったのかは体感時間も怪しいもので、腹時計から言えばお昼近くになってしまっているように思う。

数時間もアスキーアートと戯れていたとは考えにくいから、精々、数十分間だろうけどね。

逃げて行くガルダの後ろ姿を見送って溜息を吐く。

仕方ない。全部狩るのは諦めるか。

「・・・さてと。問題は、どうやって撃墜した個体を回収するかだけど・・・」

取りあえず、「足」の1本を地中に広げてアクティブソナーを放つ。

ガルダの反応は覚えてるから、生きていれば探知できるはず。

死んでたら、ちょっと見付けられるか自信ないなあ。

覚えのある魔力の反応を探して意識を集中すれば、7つ―――、いや。8つは分かるな。

30メートル以上の上空から墜落しても生きてるなんて、やっぱり魔獣は強いんだなあ。

「・・・あれ? ―――ヤバっ!」

生き残っているガルダを目指して、他の魔獣が集まってきてる!?

この反応ってラクネじゃん!

ラクネって、死体に集って食べるんだよね!?

「・・・折角のお肉を横取りされて堪るか―――ッ!!」

大慌てで「足」を動かして瀕死のガルダを回収して回る!

魔力の反応を目指して接近して、とにかく引っ摑んで空中に攫う!