軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

未来 ㉗

改めて“獰猛くん”の勇姿を見上げる。

一先ず、6本と4本の合計10本の「手」で私と“獰猛くん”の両方の制御を行うとして、頭の上から見下ろせば自然な感覚で認識できて視点の問題は違和感が無くなるかも?

そこでハッと気が付いた。

「・・・頭の上?」

「何が頭の上なの?」

私の口から漏れた独り言にルナリアが反応して首を傾げる。

「・・・え? ああ、いや。試してみたいことが出来たから行ってくるよ」

「そう。じゃあ、行くわよ!」

行って来ます宣言を伝えたのに、ルナリアからも行って来ます宣言が返ってきた。

「・・・ルナリアも来るの?」

「当然でしょ!」

ルナリアはドーンとペッタンコの胸を張る。

「・・・そっか」

構わないんだけどね。

まだ6歳児だし、何でも一緒にやりたいお年頃なのだろう。

ルナリアが一緒に行くと言うのなら私に否やは無いし。

「・・・じゃあ、行くよ」

「うん!」

答えるが早いか、ルナリアが私の背中に乗っかってくる。

ルナリアのお尻を固定し直して離陸。

“獰猛くん”の頭上を目指して急浮上する。

「それで、何をするの?」

「・・・んー。こうやって私たちの体を支えて浮き上がるのと、アレの制御を同時にする必要って有るのかな? と思ってね」

「有るんじゃないの?」

“アレ”こと“獰猛くん”を指すと、ルナリアが首を傾げる。

「・・・でも、頭の上に乗っかっちゃえば、私たちは浮いてる必要なくない?」

「乗っかる意味って有るの?」

日本産巨大ロボットアニメを知る私にとって巨大ロボットは搭乗するのが普通だけど、搭乗型巨大ロボットの概念を知らないルナリアにとって理解は難しいかな?

「・・・私たちって顔に目が付いていて周りを見てるよね?」

「そうね」

私の背中でルナリアが頷くのを感じる。

「・・・今までは外からアレを見て操ってたわけだけど、アレの頭に私たちが乗っかってアレの目の代わりになれば、私はアレの制御だけに集中できると思わない?」

「飛ばなくても周りは見えるものね」

単に「乗る」といえば、普通は馬の背に乗るようなイメージになるんだろうね。

でも、私が今言ってることは、馬に乗るのとは少しだけ概念が違う。

操縦者の私が“獰猛くん”に搭乗というか、合体するというか、そういうことになるんだけど、どこまでこの概念を理解してくれるかな?

「・・・そういうこと。感覚的に私の体が大きくなるだけになるんじゃないかなー、って」

「体が大きくなる・・・? ああ、そっか。そういうことなのね」

何となくでも理解してくれたのなら、それで構わない。

ぶっつけ本番、行ってみよう!

“獰猛くん”の頭というか、肩というか、コンニャク板の最上部に着地する。

「・・・フェードイン!!」

ルナリアと私を固定している「手」の固定の仕方を変えて、ルナリアごと私の体を“獰猛くん”ピトッと引っ付けて固定する。

残念ながら、キュピーンと“獰猛くん”の目が光ったりはしないけど、そこは私の脳内で合体演出を補完する。

地上50メートルからの景色にまだ慣れきっていないらしいルナリアは遙か下方の地上を見下ろしていて、ツッコミは無かったね。

もっと小さいサイズから始めればルナリアもそのうち慣れるだろうし、またの機会に考えよう。

“獰猛くん”の体内に潜り込ませている「手足」を認識し直して掌握する。

「ちょ、ちょっと! 倒れるわよ!?」

「・・・むむっ! ば、バランスが悪いな!」

足元がグラリと傾いてルナリア式警報装置がバシバシと私の肩を叩いて注意喚起してくる。

私の手足の延長線だと認識していても、実際の私の体とはかなり勝手が違う。

具体的には直立させるだけでもバランスを取るのが難しい。

今まではお人形遊びをする感覚で力任せに“獰猛くん”の巨体を外部から操っていたわけだけど、実際の私の体とは形状も違えば荷重バランスも違うものね。

頑張れ! 私の三半規管!

とはいえ、これ、どうするかなー。

支えがあればマシになる?

特撮放射能大怪獣だって尻尾が有るから直立しても安定するんじゃないだろうか?

だったらこれも尻尾を生やせば安定するよね?