軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

未来 ⑳

もっと高くまで持ち上げるには、どうすれば良い!?

腕をもっと伸ばす!?

いや! 立ち上がれば良いじゃん!!

唸れ! 私の脳細胞!!

「うえええええ―――っ!?」

デッデデー、デッデデー、デデデデー! と、壮大なBGMが聞こえてきそうなビジュアルで、両腕に続いて大地から生えてきたのは縦長の球状形!

さらに両腕を繋ぐ肩が現れて、さらにさらに、両肩から下の胸部も這い出して来る!

土を吸収しすぎたら畑の土が無くなってしまうと気付いて地中の土も大量複製しながらだから、造形が大雑把で適当なのは許して欲しい!

「・・・どーだ!!」

地表から屹立したのは、私自身を模してイメージした巨大な上半身だ!

胴体はコンニャクみたいな板状だし、腕は関節がどこかも分からない触手状だけどね!

青空へ高く突き上げた両腕の長さは20メートル以上!

縦長な球状の頭の大きさだけでも5メートルぐらいある!

肩幅も20メートル近くありそうだし、肩から下の胴体も10メートルは高さがある!

上空30メートル近くまで持ち上げられて、ついに巨大スライムの全体像が判明した!

突き上げられた両腕の間隔が10メートルとして、垂れ下がった体の両端が地面に付きそうになっているということは、空中に引きずり出されてウネウネとうねっている巨大スライムの全長は60メートルぐらいあることになる!

「あっ! ドネルク閣下だわ!」

ルナリアの声に釣られて地上を見下ろせば、現場へ駆けつけるエゼリアさんに付いてきたのであろう、元・王国騎士団騎士団長閣下だ。

婚約者を一人で危険な現場へ行かせまいとする心根に好感が持てるね。

どうか末永くエゼリアさんを大事にして欲しい。

「フィオレ様!! ルナリア様!!」

「何だこりゃあ!? ゴーレムか!?」

悲鳴のようなエゼリアさんの叫びにドネルクさんの驚愕の叫びが重なる。

ドネルクさんたちだけでなく、建設作業に従事していたエクラーダ系新領民たちもわらわらと集まってきている。

「それより、嬢ちゃんたち、何で飛んでんだ!?」

ドネルクさんの問いに答えるよりも、私の頭の中はドネルクさんが言った言葉に占拠されていた。

ゴーレム?

ゴーレムって、魔術だか錬金術だかで生み出された自律意志を持った疑似生命体か何かじゃなかったっけ?

土人形って意味ではその通りだけど、私が魔力の手で動かしてるんだからゴーレムじゃないよ?

どっちかって言えば、搭乗型の巨大合体ロボット的な何かだよ。

ん? ドネルクさん?

ハッ!! ドネルクさんといえば、今現在のフィジカル最強じゃん!!

「・・・ドネルクさん!! 良いところに!!」

グルンと胴体ごと上半身の向きを変えて、ズシン! と両手に掴んだ巨大スライムを地面に置く。

地面に着地すれば巨大スライムは地中へ逃げ込もうとする。

「・・・斬って斬って!!」

説明している猶予はないから端的に要求をドネルクさんに伝える!

何を言われたか理解できない様子で呆けていたドネルクさんが、ようやく理解が追い付いたのか血相を変えた。

「はぁっ!? これを剣で斬るのか!?」

「・・・良いから、斬って!!」

「早く! やっつけて!」

幼女2人にやいのやいのと急かされて、エゼリアさんたちの視線が集まっていることにハッと気付いたドネルクさんは腰の剣を抜く。

良いぞ! 婚約者に格好いいところを見せつけてやれ!

「う、うおおおおおおおおおおっ!!」

困惑を捨てきれないドネルクさんが狙うは、私の両の「手」の間でビヨーンと引き伸ばされている巨大スライムの胴体だ。

ビュンと風切り音を立てて大上段から振り下ろされた剛剣は、間違いなく巨大スライムの胴体を斬った。

確かに斬った。

間違いなく斬ったのだ。

ただ、全長60メートルにも及ぶ巨大スライムに対して、人間が振るう長剣は刃渡りが1メートルもない。

比較対照60分の1しかない斬撃がどの程度のものか?

デッカい鏡餅にプスッと画鋲を刺すぐらいじゃないかな。

これはイケない。

「効いてないわよ!?」

「・・・もっとズバーッと行っちゃって!」

ド直球なルナリアのダメ出しにショックを受けたらしいドネルクさんに、改めて声援を送る。

強い男性がお好みなルナリアの中で、ドネルクさんといえば好感度ランキング上位だったはずなんだけど、ツッコミは結構手厳しい。

「こんなの斬っても効かねえだろ!!」

「良いから、早く早く!!」

「・・・行け―――ッ!! 斬れ―――ッ!!」

やいのやいのと騒ぎ立てる幼女2人に文句を言い返しつつも、ドネルクさんは剣を振るい続ける。