軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

開眼 ⑲

“飛龍”っていうぐらいだし、ワイバーンは飛ぶんだろう。

私の頭の中に有る飛龍といえば、プテラノドン的恐竜イメージとファンタジー的イメージの2パターンが有るけど、どちらにしろ飛ぶことには違いがない。

どう飛ぶのかでも獲り方が変わりそうだし、厄介そうだなあ。

「領境付近を分け与えられた新領地は産業が弱い。クローゼリス領も今一つ産業が弱い。エゼリアたちにとっても渡りに船だ。向こうも喜んで協力するはずだ」

「・・・分かりました。早急に選定します」

選定するとは言ったものの、どうするかな。

ウォーレス領から1000キロメートルとまでは言わないけど、推定800キロメートルも北上すれば気候は大きく変わるはずだ。

小麦だってジャガイモだって、もっと暖かい領地で、もっと大量に作っているから儲からないんだし。

寒い地域でも作れる作物でおカネになりそうな作物って何が有る?

「・・・ふむ?」

地球の寒冷地帯にある国々の産出品を思い出そうとして、閃くものが有った。

あー、アレは? 再生栽培に回した甜菜っぽいヤツ。

甜菜って確か、ロシアが一大生産地だったよね。

遠く離れてた場所にでも、再生栽培で種子に戻しせば持って行きやすいよね。

トマトも原種はジャガイモと同じアンデス山脈の辺りだったから、可能性は有るのか?

いやいや。ビニールハウスも無いのにトマトは厳しいかなあ。

3つ隣のクローゼリス領ならウォーレス領から推定500キロメートルぐらいだよね?

300キロメートルも南下すればトマトはイケそうかな。

他の野菜も育つだろうから新作物の抱き合わせで良いか。

「今一つ」ってことは、そこまで産業が弱くて切羽詰まってるってわけでも無いのだろうから、協力して品種改良できたら良いな。

そう言えば、クローゼリス領の辺りって熊やイノシシが出るんじゃなかったっけ。

また熊かぁ。熊狩りに行かないと。

アンリカさんが居るなら行きやすくて良いじゃん。

熊が益獣ってわけでも無いだろうし、いつか絶対に滅ぼしてやる。

覚えてろよ。熊。

「フィオレ様?」

「・・・えっ? あ。ハイ」

私が1人でカッカと燃えているのを不思議そうに見ていたジアンさんが、コホンと咳払いする。

脱線した話を引き戻しに掛かるのだろう。

いけない、いけない。集中しなきゃ。

「エクラーダの民については、一先ず建設に従事させたのち、委任統治領に割り当てる形になるかと思いますが、それでよろしいでしょうか?」

「・・・うん。それでね。エクラーダ民の中に領軍に入りたいって若い子たちや子供たちが結構いるんだよ。3の鐘までに領主館前に集まるように言って有るんだけど」

建設業でワンクッション置くなら、農地開拓を並行して進める時間的猶予も生まれてくるだろう。

ただ、農地開拓よりも人間を育てる方が先だ。

開墾した土地を格安で貸し出すなら、老若男女を問わず人手はすぐに集まるものだと予想する。

先入観が少なくて柔軟性のある若い子や子供たちの方が領軍に馴染むのが早いだろうから、王国に馴染む人数を早く増やすためにも優先して育てたい。

「領民強化計画の一環、という位置付けですね? 指導すれば良いのでしょうか」

「・・・先ずは体内保有魔力量を増やすところからだね。エクラーダ民の中ではエターナさんが先行してるから、協力して計画を進めてくれるかな」

私のお願いに、思案顔になったジアンさんが小さく何度か頷く。

今日、ジアンさんが甲冑を着ているのは、バンダースナッチの回収に備えてのことだと思うんだけど、魔力酔いを起こして気絶した新人さんたちの強化も、もう少し進めたい。

こういうときに頼り甲斐が有るのは、やっぱりジアンさんだ。

スパルタかどうかは、ミセラさんが言う通り手加減してくれるものと信じるしかない。

「承知しました。それと、近々、ナーガ川上流への防衛施設建設に向かわれるとミセラから聞きましたが」

「・・・うん。新人さんたちを連れていこうと思ってる」

あー。あっちの話しね。

静かに真摯な目を向けてくるジアンさんに頷いて返す。

この感じ、あんまり良く思っていなさそうだね。

私も軽い気持ちで言ってるわけじゃないから、”簡単には引き下がらないぞ”と意志を目差しに乗せてジアンさんの目を見つめ返す。

私の意志は感じ取ってくれたのだろうけど、ジアンさんも簡単に引っ込めるつもりは無いらしい。

「お言葉ですが、まだ早いのでは?」

「・・・目的は新人さんたちの団結と自信。いくらかまだ早いかも知れないけど、強敵がいる厳しい環境を体験させた方が早いかと思って」

この殺し文句でどうだ。

自分にも他人にも厳しいタイプらしいスパルタなジアンさんなら、分かってくれるんじゃないかな。

「強敵がいる厳しい環境、ですか・・・。一理ありますね」

「待て。いつ実行するつもりだ?」

ジアンさんが揺らいで突き崩しに勝機が見え始め、ヨシ、と心の中でガッツポースしようとしたところへ、目を厳しくしたマルキオお爺様が介入して来た。

「・・・出来れば数日中には実施したいと考えています」

「流石に早すぎんか」

迷いを見せないように言い切れば、マルキオお爺様は難しい表情で首を傾げた。

ハインズお爺様の意見も同様の様子で、腕組みして唸る。