軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

迫る影 ⑩

あれ? 待てよ。

この忠誠心が重たい思春期さんを洗脳伝道師のエターナさんが指導するの?

それってヤバくない?

思春期さんがガンギマリしてヤンデレさんに進化しないように、目を光らせておかないと拙いんじゃ。

避けるよりも、むしろ積極的に関わって暴走しないようにコントロールすべきだよね。

ヨシ、 吶喊(とっかん) だ。

「・・・エイラさんって何歳だっけ?」

「11歳です! あっ、いえ。12歳になりました!」

んん? 意外とまだ幼いな。

ピーシーズで12歳って誰がいたっけ。

「・・・マーミナさんマーリカさんと同い年、かな?」

「マーミナさんとマーリカさん、ですか」

初めて聞く名前にエイラさんが首を傾げる。

「・・・私の側近だよ。双子の狼系獣人族の姉妹で、勘が良くて身体強化術式が得意。今は王女殿下の護衛任務で王都に駐留してるけど、半月ほどで帰ってくるよ」

「そうなのですね!」

エイラさんの表情がパァッと明るくなる。

「・・・嬉しそうだね」

「嬉しいです! エクラーダでは同年代が居なかったので!」

ん? 私の聞き間違い?

「・・・同年代がいない?」

「はいっ!」

エイラさんは元気に答える。

どうやら、私の聞き間違いではなかったらしい。

過疎化が進んだ田舎なら子供の数が少ない説明は付く。

でも、エイラさんたちは人の多い王都で暮らしてたんだよね?

疫病で子供がたくさん死んだとかなら分かるけど、同世代が少ないって、何?

見かねたエターナさんが首を振る。

「エクラーダ王国は女性騎士がとても少なかったのです」

「・・・どういうこと?」

私の首が傾ぐと、エターナさんの眉根が下がった。

「その・・・。基本的に騎士は男性の仕事だとされていましたので」

エターナさんは言いにくそうにする。

職業的な偏見だろうか?

それって職業差別だよね?

日本でも“ガラスの天井”とかいわれてたヤツ。違うか?

「・・・護衛対象が女性のときはどうするの?」

「当然、護衛部隊は付くのですが、すぐ傍で直衛に就ける人材がどうしても少なく・・・」

「・・・なるほどねえ」

エクラーダには男尊女卑っぽい文化が有ったのかな?

オルレーシア様もフレーリアも可哀想に・・・。

同性の護衛を付けるのには、それなりの理由が有る。

常に至近距離で守るには、性別は大きな壁になるんだよ。

例えば、お風呂におトイレ。

男女七歳にして席を同じくせず、なんて古風な倫理観が残る文化だとすれば同性の護衛は必須になる。

そうでなくとも、護衛だからといって家族でも無い異性に四六時中貼り付かれていれば疲れるだろうし、異性の場合、もしものことが起こり得る。

もしも、って性的な意味で。

人間も生物である以上、性的な意味での間違いは必然なんだよ。

家畜だって同じ囲いに異性同士を放り込んでおけば繁殖する。

性別だって適材適所だよ。

なのに、女性が騎士の職務に就くハードルが高かった?

それを言ったらリテルダニア王国もエクラーダ王国を笑えなかったのか。

テレサや王妃様の護衛体勢を強化するために、今現在、私も走り回る羽目になってるわけだし。

文化とか風習とか色々と有るんだろうけど、そんなものに縛られて必要な人材を用意できないなんて本末転倒だろうにね。

「それが原因で暗殺を阻止できなかったんじゃないの?」って言葉はすんでの所で喉の奥へ飲み込んだけど、エターナさんには私が何を思ったか伝わったみたいだね。

しゅんと萎れたエターナさんとは対照的に、私が何を思ったかが伝わらなかったらしいエイラさんは明るい笑みを浮かべる。

「ですから、同年代の仲間がいることが、とても嬉しいです!」

「・・・他にも二人、双子と一緒に帰ってくるけど、そっちの二人もエイラさんの一つ上だから歳が近いよ」

「お会いするのが楽しみです!」

うんうん。前向きなことは良いことだ。

こうやって笑ってると年相応だね。

話してる私は首が疲れるけど。

何で疲れるかって、エイラさんの身長がメリーナさんやネイアさんと同じぐらい有るからだよ。

「・・・それにしても、12歳にしては背が高くない? まだまだ大きくなりそうだね」

「体格だけは良いので!」

「・・・そっかあ」

ほんと、元気だな。

お父さんに似て脳細胞に筋繊維が混じってる気配がビンビンに感じ取れる。