軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精霊姫 ㉜

「上手く民心を纏めた」のが評価ポイントなのか、「私が戻るまで繋いだから」ってのが評価ポイントなのかは、私にとって重要部分なんだけどね。

褒めて貰っているのは私という神輿の、犠牲の上に成り立った統制だったからね?

犠牲と言っても、主に羞恥心だけど。

「・・・ジアンさんを召喚して取り締まらせるか」

だって、エロ臭い伝道師に褒め称えられる6歳の私までエロい目で見られたら事案発生だよ?

伝道師の3人に反省の色は無いし、私の羞恥心とお父様の心労を犠牲にする手口は受け入れ難いので、ハリセン装備を開発する決意を新たにした。

領主館に戻って食堂でお母様に爆笑されながらお母様たちとお婆様たちと一緒に遅めの昼食を交代で摂り、住居建設作業の段取りを概略で聞いて訓練場へ舞い戻ると難民の数が3倍以上に増えていた。

新人さんの一人をを捕まえて訊いてみれば、騎士団が指揮する輜重部隊の第1便が運んできた難民たちが増えたのがそうで、女性や子供の割合が多くなっているように見える。

普通に考えれば、女子供といった社会的弱者を先に逃がそうとするだろうし当然か。

成人男性に較べれば体力にも劣るだろうし、後半戦に入ればもっと女子供の比率が増えるかも。

そりゃあ、輸送能力に長けた輜重部隊の出動を要請するよね。

その第1便を運んできた輜重部隊は? というと、今日中にもう1便運ぶのにバタバタと再出動して行ったそうだ。

輜重部隊は100台以上の荷馬車を出しているそうで、この後も続々と難民たちが到着するらしい。

荷馬車1台でどのぐらいの難民を運べるんだろう?

今朝、採掘場へ向かったときは80人で10台だったけど、帰りは出荷分のシカとバンダースナッチを5台に積み込んだから、新人さんたちは残り5台に分乗していた。

1台に16人が乗った計算になるけど、たぶん、難民の総数が多いからもっと詰め込むよね。

1便で2000人ってことは、30人積めば60―――、66台か。

数時間の我慢だし、ぎゅうぎゅうに詰め込めばもっとイケそうかな?

40人積めば50台だ。

100台で1往復4000人を運んでも、2往復で8000人。

自力で歩ききる人も居るだろうけど、2万人を運び終えるのに二日掛かりだね。

ピーシーズや新人さんたちも2交代制で昼食を摂っているそうで、今はメリーナさんとネイアさんが現場に残っているらしい。

年少の3人に先に食事を摂らせる2人は、やっぱりお姉ちゃんスキルのレベルが高いね。

監視要員が少なくなっているけど、わいわいと炊き出しの串焼きとスープを摂る難民たちが大人しくしているお陰で不安感はない。

落ち着いた様子の難民たちを眺めていると背後から声が掛かった。

「フィオレ様」

「・・・お疲れさま。レヴィアさん」

「例の騎士が目を覚ましました」

抑え気味の声で話すレヴィアさんの報告に、やっと起きたか、と心の中で考える。

「・・・お母様たちには?」

「兵士を伝令に出しました」

ヨシヨシ。気にしていたから、お父様もお母様も来るだろう。

だったら、早く会いに行って認識を正した方が良いかな。

「・・・監視態勢は?」

「今はミセラと兵士が3人付いています」

意外と兵士さんが残ってるんだな。

ミセラさん一人だと万が一の際に怖いから、複数人の兵士さんたちが残っていてくれて良かったよ。

「行くの?」

「・・・うん」

ルナリアの問いに頷き返す。

私が離れている間の指示をしておかないと。

メリーナさんとネイアさんは? と姿を探せば、向こうで新人さんたちと何やら話している。

上下関係は問題なく出来上がっているようで、遠目にも立場の上下が見て取れる。

あんまり邪魔はしてあげたくないけど、そうも言っていられないからね。

「・・・メリーナさん! ネイアさん!」

「「はっ!」」

声を掛けると私たちが戻っていることに気付いた2人が駆け足で集まって来る。

「・・・負傷者が目を覚ましたそうだから話を聞きに行ってくるよ」

「護衛はどうしますか?」

要るの? と。

そう訊きつつも、2人の視線は私たちの後ろに控えているレヴィアさんとマーシュさんへと向いている。

この件は、餅は餅屋だ。

「・・・ロス家の得意分野だろうからレヴィアさんたちに頼むよ」

「では、私たちは難民の受け入れですね? オーリアたちが戻ったら引き継ぎます」

問題を起こすことは無いとは思うけど、難民たちの相手なら肉体言語で理解を得られるからね。

こっちはこっちで、餅は餅屋だ。

「・・・うん。新人さんたちを指揮して上手く収めて」

「「了解です」」

ニコッと笑う2人に伝言を頼むことにする。

残りの伝道師3人は、と探すと、難民たちが混乱を起こさないように気遣ってのことだろうけど、炊き出し列の先頭付近で見張っているようだ。

「・・・それと、エターナさんに兵員区画へ来るように伝えて。ディディエさんとダーナさんには負傷者と付添人の分の炊き出しを持ってくるように伝えてくれるかな」

「「はっ」」

敬礼を残して背を向けた2人の背中を見送って、私たちも兵員区画へと向かう。