軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精霊姫 ⑥

「難民を助けてあげたいんでしょ?」

「・・・助けられるものならね。でも、エターナさんたちのように故郷を捨てて王国民になるのでなければ助けられないよ」

心配そうなルナリアに、私の決意を宣言する。

助けられるも助けられないも最終的には本人たち次第だ。

エターナさんたちのときのように、「 郷(ごう) に入れば郷に従え」と説得の努力はするけど、郷に従わず抵抗するなら排除するしか無い。

どんな批判を受けようが、何が有っても譲歩はしない。

まとまった数の異分子というものは、地域の文化を破壊し、分断を起こし、治安を悪化させる。

野放しにすれば、それほど危険なものなのだ。

だから、地域に馴染む努力をして貰わなくちゃいけない。

自分たちが異分子で有る自覚を持って、受け入れられる努力をして貰う必要が有るんだよ。

勝手は私が許さない。

ウォーレス家の統治を揺るがすようなら容赦なく国外へ叩き出す。

んん? 私の首が傾ぐ。

ああ、そっか。難民を叩き出す私の覚悟がルナリアの目には辛そうに見えたのか。

それなら大丈夫だ。

ウォーレス領を守る私の覚悟は最初から決まってる。

「分かってくれると良いわね」

「・・・うん。ていうか、力尽くにでも分からせるんだけど」

確か、「分からせ」とかいうジャンルのフィクションが有ったよね?

流行ってるという情報だけはネット掲示板で見た。

私は現物を見たこと無いから、どうやって分からせるのか手段は知らないけど、きっと、誠意や肉体言語をもって真摯に説得するのだろう。

そういうフィクションが存在するのなら、やり方次第で分からせることは不可能では無いということだろう。

全くの荒唐無稽で現実感がまるで無いフィクションは成立しないはずだ。

無理やり成立させても、需要が無ければ商売として立ち行かないのが市場経済というものだし。

SFだってファンタジーだって推理モノだって、鍵となる 要素(ファクター) さえ実現すれば現実感が有って、フィクションとして需要が有るから商売が成立するんだよ。

少しでも可能性が有るなら私は諦めない。

多少の齟齬はパワーと勢いと屁理屈で怒濤のごとく押し流して分からせてやる。

私が「分からせ」の決意に燃えている間にも、ポックポックと慰霊碑が近付いてきて、一昨日と同じように群衆が慰霊碑前に集まっているのが見えてきた。

一昨日と違うのは、エターナさんという広報担当者が露払いをしてくれていて、直線道路や街道に溢れかえっている群衆がいないってことかな。

エターナさんの成果だよね?

馬列が通る道はちゃんと空けられていて、一昨日と違う部分はお行儀よく沿道を埋め尽くしているのが銀髪―――、金属的な色合いを持つ白髪だということだ。

白髪と言っても 色素欠損(アルビノ) みたいな真っ白ではなく微妙に暗い色合いで、私にとっては自分の髪色で見慣れた感じの色合いを持つ人たちが、これだけ大勢いると落ち着かない気分になるね。

ヨレヨレに汚れて疲れ果てた表情の人たちが向けてくる、食い入るような多くの視線が、私に集中してるのを感じる。

向けられている感情は、驚きが3割、安堵が2割、期待が5割、といったところだろうか。

私の肌感覚だから、いい加減で適当なものだけど、たぶん大きく外れてはいないと思う。。

息を殺すように静まっていた群衆が、馬列の先頭を行く私たちが差し掛かるとザワザワとざわめく。

「おお・・・。“輝く宝石”だ・・・」

「あれが姫様か・・・」

「エクラーダは滅んでいなかった・・・」

ざわめきの中から群衆の声が聞こえてくる。

どうしても耳が拾ってしまう呟きに頭痛を覚える。

ダメじゃん・・・。

溜息を吐きたくなるけど、ぐっと堪える。

失望感を露わにして、変に心情を刺激しても困る。

レティアへ来たばかりのときのエターナさんたちと同じ空気を感じる。

いや。視線から感じる「熱」のようなものは、エターナさんたちのときよりも遙かに強いと思う。

真面目なエターナさんのことだから、説得しようと頑張ってくれたのだろうけど、多勢に無勢だったか。

そのエターナさんは、どこ行った? と視線で探せば、街道と直線道路の交差点に馬を停めて群衆に睨みを利かせていた。

説得しきれなかったから、せめて暴徒化しないように目を光らせてるって感じかな。

まあ、期待通りには行かなかったからと言って、エターナさんの責任ではないからね。

あそこってジアンさんが待ち構えていた場所だよね。

二方向を見渡せるから監視ポイントに向くのかな?

どうするかなあ・・・。

領主館の訓練場に誘導して収容してから説得するか。

アイシアちゃんの報告に有った「数百」という数字は200~999までが含まれる。

西部地域からの移住民が来たときの第一陣は1000人弱だったっけ?

ざっと見た感じ、あの時と大して人数は変わらないように見える。

だったら訓練場に収まるよね。

広い場所じゃないと”蒼焔”を使うと周りに被害が出ちゃうし。