軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二次ブートキャンプ ⑪

「第6班、罠の設置を完了しました!」

「よくやったわ!」

「・・・はい。じゃあ、小休止を取って」

「はっ!」

ルナリアの下へ報告に来た少年に指示を出すと、元気よく返事と敬礼を残して同じ班のメンバーの元へ戻っていく。

巨大慰霊碑に、エターナさんたちに対するお説教に、城壁の移動に、昨夜の超常現象に、と、立て続けにやらかしたお陰も有ってか、クソ生意気だった少年少女はとても素直になっている。

距離感の取り方にまだ迷いは見て取れるけど、私たちを舐めて掛かるような子は一人も居なくなっていた。

一度認めさせてしまえばスッパリと態度が切り替わるのは脳筋の良い部分だよね。

あれ? 違うかな?

「第2班、設置完了しました!」

「これからも頑張んなさい!」

「・・・はい。じゃあ、小休止を取って」

「はっ!」

第6班と入れ替わりに報告に来た少女に指示を出すと、悔しい気持ちが顔に出てしまっている少女は、元気の良い返事と敬礼を残して同じ班のメンバーの元へと戻って行った。

腰に手を当てて反り返って激励任務に従事していたルナリアが、私に目を向けてくる。

「課題の未達成は、あと、いくつ?」

「・・・残り3つの班かな」

訓練初日の今朝は新人さんの少年少女80人を1グループ10人の8班に分け、ピーシーズとミセラさんたちの8人で手分けして貰って、監督というか、教導して貰ったんだよ。

各班でククリ罠3ヶ所ずつの設置を競わせたんだけど、何かとそつの無いミセラさんたちは教え方が上手いのかサッサと終わらせ、タッチの差でネイアさん、2馬身ぐらい空いてオーリアちゃんがゴールするという結果だった。

ディディエさんとダーナさんの二人が傍に付いているんだから休憩していてくれても良いのに、ディディエさんたちと一緒にルナリアと私の後ろで控えてくれているエターナさんに顔を振り向ける。

「・・・エターナさんも無事に課題を乗り越えてくれて良かったよ」

「ミセラさんの教え方が上手かったのです」

早々に課題を終えて私たちの護衛任務に復帰していたエターナさんは、ニコリと笑って謙虚に首を振る。

「・・・そっか。でも、乗り越えたのはエターナさん自身なんだから、胸を張って良いんだよ」

「ありがとうございます!」

五十六(いそろく) 先生の「褒めてやらねば」方式で背中を押すと、エターナさんは輝くような笑顔で返事をする。

で。今、ルナリアに答えたように、課題が達し出来ていない3つの班の 教導役(インストラクター) は、アイシアちゃんに、ナンナちゃんに、意外なことにメリーナさんだ。

新人さんたちは男女別のグループ分けになっている以外は適当―――、ゲフンゲフン。

無作為に班分けしたから、能力的に、あるいは得意分野的に偏りが有るだろうことは仕方がない。

「競わせた」と言っても罰則を設けたわけでも報奨を与えるわけでも無いしね。

報奨という意味では、一応、ルナリアに「お褒めの言葉」を言ってあげるようには、して貰ってるけど。

そのご褒美役のルナリアが首を傾げる。

「でも、これって、どんな意味が有るの?」

「・・・個々の特性というか、個性を見てみたかっただけだよ。分隊単位での作業にしたのは、出来るだけ少人数にすれば、自分の順番が回って来やすいじゃない?」

分かったような、分からなかったような表情で、ルナリアの首が反対側へ傾ぎ直す。

「なるほど?」

「・・・自分の手で獲った獲物だと嬉しくない?」

「ハッ! そうかも!」

ルナリアがポンと手を打つ。

分かってくれたか。

自分の手で仕掛けたワナに獲物が掛かるようになって、ルナリアはテレサと競い合って森を駆け回ったてたものね。

テレサがあっという間にコツを掴んだのも、ルナリアと競い合っていたのが大きいと思うし。

いや。テレサは要領も良いし特殊事例だったかも?

魚釣りだって自分の手で釣るから楽しいものなのだろう。

ルナリアに褒めて貰えるご褒美よりも、私としては自分たちの手で獲った獲物の血で強くなる実感と喜びを知って欲しかったから、ワナの仕掛け方を覚えさせたいんだよ。

体内保有魔力量を増やす目的だけでも良いんだけど、ワナは拠点防衛目的にも使えるし、獲れるお肉は多ければ多い方が良いしね。

「・・・とはいえ、一部は手こずりそうかなあ」

「そうなの?」

「・・・うん」

ルナリアに頷き返した私の目は、まだ課題をクリア出来ていない班へと向いている。