軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

城壁移設 ⑨

「・・・ルナリアもやるの?」

「状態を見るぐらいは出来るわよ!」

ふむ? 2日やそこいらで慰霊碑のときのことを忘れたってことは無いと思うけど、大丈夫かな?

ルナリアに上空を指し示してみせる。

「・・・上から見るつもりなんだけど」

「また飛ぶの!?」

ガビーン! とショックを受けた顔でルナリアが驚いた。

そりゃあ飛ぶよ。

ニワトリだって飛べる個体は飛ぶ。

ペンギンだって飛べれば飛ぶはずだ。

人が飛んだって何の不思議も無いんだよ。

ダチョウは三歩歩き終わるまで覚えていないらしいから、ちょっと分かんないな。

ルナリアに大きく頷いて返す。

「・・・上から見渡した方が認識しやすいと思うし」

そうなんだよ。

地上から左右を見回すよりも、慰霊碑の3段目ぐらいの高さから俯瞰した方が全体を把握しやすいはずだからね。

究極の選択を突き付けられたように、むむむと唸ったルナリアは、数秒間ほどで逡巡を振り切った。

「わ、わたしも行くわ!」

「・・・そう? 城壁の上から見ててくれても良いんだけど」

「そんなのダメよ!」

おや。即答。

これは、作業の進捗や状況を私に知らせてくれるというよりも、私一人で行かせることを心配したってことかな?

このお。 愛(う) いやつめ!

自分の口元が緩むのを自覚する。

こりゃあ、いよいよ失敗できないな。

「・・・じゃあ、一緒に行こう」

「うん!」

高いところは怖いだろうに、気合い一杯にルナリアが頷いた。

30分間もお喋りで時間を潰していると、移動作業開始の合図が来た。

腰の小物入れから魔石を取り出して、手のひらの中に握り込む。

「・・・んじゃ、行くよー」

「う、うん!」

「合・体!!」

ガシーン!

慰霊碑の時と同じように、おんぶしたルナリアを背中に固定して足元の地面へ魔力の手を伸ばす。

「・・・魔力バルブ開放! タンク内圧力正常! 各部異状ナシ! ロケットモーター点火12秒前! カウントダウン、 10(テン) ! 以下略!」

「~~~~~ッ!?」

「ルナリア2号機、 打ち上げ(ランチ) !」

重力を振り切って上空50メートルぐらいまで一気に上昇する。

おおっ。私の首っ玉にギュッとしがみついては居るけど、何が起こるか心の準備が出来ていたっぽい?

2回目の打ち上げともなると、不意討ちでカウントダウンを省略しても悲鳴を上げないんだね。

アラビア数字のカウントダウンが分からなくて省略に気付かなかっただけかな?

ツッコミが入らないと寂しく感じちゃうよ。

遠く、地上から、ワーワーと領民たちがお祭り騒ぎしている声が響いてくる。

魔力の「足」が2本だと不安定だから、もう2本を地面に伸ばして四つん這いのホモォな感じで安定させる。

もう1本、魔力の手を地面に突っ込んで、横長に広く広げていく。

城壁と地面の両方に魔力を浸透させて認識を始める。

地上部分の壁面から魔力の手でペタペタと城壁の形状を確かめながら地下部分へと下降していく。

リニア魔法の磁力発生面になる構造体の底面の位置を確かめようと思ったんだけどね。

「・・・へぇ。地下にも城壁の根っこが入ってるんだ」

「えっ? なに?」

私の呟きにルナリアが反応する。

私の目は地上15メートルの高さが有る城壁へと向いている。

これは「根っこ」というより「基礎」と言った方が良いんだろうか。

結構、深くまで入ってるな。

「・・・城壁の根本が5メテルぐらいかな? 地面の下まで埋まってるんだよ」

「そうなの?」

地上15メートルに地下5メートルを足して、あの城壁は高さ20メートルの構造物だったわけだ。

それを全周20キロメートルもの規模で建てるとは。

すごいなウォーレス一族。

ただでさえ馬鹿デカい建物だと思っていたけど、実態は25%増しの規模だった。

「・・・坑道戦術対策かな? そりゃあ、城塞都市なんだから当然か」

「こうどう?」

高さに慣れてきたのか、私の肩越しにルナリアも城壁を見下ろしている。

いや。慣れてきたというより、ベランダから胸壁越しに地上を見下ろしているみたいに、私の陰になって景色が丸々は見えないから、そこまで高さを実感せずに済んでるのかも。