軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

西方よりも ②

「その練習、私たちも参加させていただいても?」

「・・・良いよー。色々と教えるから頑張ってみてー」

「ありがとうございます」

稀少な機会だと理解すればミセラさんたちが乗っかってくることも想定内だ。

大歓迎だよ、と、サムズアップしたら、ミセラさんたちは嬉しそうにニコッと笑った。

建設予定地に着くと、お母様たちはまだ戻って来ていなかった。

建設予定地に何本も突き立った棒を見渡して、オーリアちゃんとアイシアちゃんが声を上げる。

「ほおおお」

「これが縄張り」

棒の間にロープを張ってあれば、もっと分かりやすかったのだろうけど、二人は棒が示す意味を理解できている様子だから説明は端折って良いよね?

脳筋傾向が強いアイシアちゃんはそれで終わったけど、色々と気が回るオーリアちゃんは何かに気付いたように首を傾げた。

「でも、なんか、めちゃくちゃ大きくないですか?」

「・・・お婆様から大きく建てろって言われたからね」

そうだろう、そうだろう。

採掘場に建てた慰霊碑の10倍規模だもの。

実際に完成したらビックリする規模感になると思うよ?

あれ? 「ビックリする」か。

これはこれで使えるんじゃない?

「これ、どのぐらいの大きさになるんですか?」

「・・・横幅25メテル。高さ50メテル」

ドヤァ! ヤルならヤらねば!

「南部地域最大」の座に、今後100年間ぐらい居座るつもりで作るからね。

オーリアちゃんは、「驚き」よりも「呆れ」の表情に見えるけど、気のせいかな?

「大きすぎませんか?」

「・・・ええ? だって、大きく建てろって」

これでも半分の規模に抑えたんだけど、何でお説教モードみたいな声色なんだろうか。

このサイズなら、万一、倒壊しても街道の被害は出ないと思うよ?

通行人にまで配慮した奥深い私を褒めて欲しいな。

「だからって、城壁の3倍よりも、さらに背の高いものなんて、シェリア様もそこまでのものは想像されていないと思いますよ?」

「・・・大丈夫、大丈夫。イケるって」

もう直ぐ、みんなが来る頃なのに、今さらサイズは変更しないよ?

ぶっちゃけ、面倒くさいし。

お婆様だって「できるだけ大きく作れ」って言ったんだから、オッケーだって。たぶん。

「なんで、そこまで前向きなんですか?」

「・・・だって、折角、下準備したんだし」

勿体ないじゃん! という私の本音を、よく出来た子のオーリアちゃんは、しっかりと読み取ったようだった。

ただ、呆れたような口調は変わらない。

「これ、ピーシス領からでも見えるんじゃないですか?」

「・・・良いことじゃん。どこからでも大切な人のためにお祈りできるんだよ」

ババーン! と、平たい胸を張った私に、オーリアちゃんが丸く口を開いてエサを吸い込む鯉みたいな顔をした。

なんで、このタイミングでモノマネを?

ていうか、こっちの世界ではまだ鯉が泳いでるのを見た記憶が無いな。

確か、鯉って、中流域から下流域の淡水域に棲む魚だったよね。

あの小川を下流へ下れば鯉も居るんだろうか?

水質汚染が進んでいない綺麗な川なら鯉も泥臭さが少なくて美味しく食べられるんじゃないだろうか。

「はああああ・・・」

「・・・どしたの?」

「何でもないです」

突然、大きな溜息を吐いたオーリアちゃんに、悩み事かと訊いたら疲れたように首を振られた。

「・・・・・」

アイシアちゃんは、といえば、遠くの空を見てるね。

珍しい鳥でも飛んでるのかと目線を追い掛けてみたけど、冬晴れの午後の空が青々と広がっているだけで何も飛んでいなかった。

うむ! 勝ったな!

何に勝ったのかは知らないし知ろうとも思わないけど、たぶん、勝ったんだろう。

私がフィオレ無双しているところへ複数の蹄の音が聞こえてきた。

音の出所を探すと直線道路側の木々の合間に近付いてくる馬列が見え隠れしている。

「・・・帰ってきたね」

みんなの視線が直線道路側へ向き、ちょうど木々の陰から馬列の先頭にいるルナリアの姿が現れた。

こっちこっちと手招くと、ルナリアもニッと笑って手を振り返してくる。

街道の手前で直線道路から逸れて私たちの方へと馬列が近付いてきた。

手綱を引かれた馬が足を止め、生気を取り戻したアイシアちゃんが轡を取ると、ぴょこんと飛び降りるようにルナリアが鞍から下りてくる。