軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

森の仮説 ①

「・・・んむー・・・? ―――、ハッ!!」

めちゃめちゃ知ってる天井だ!

いつ寝たのか全く記憶に無いけど瞼を開くとルナリアの部屋だった。

このパターンは、アレか?

また、やらかしたか。

隣を見ると小さく丸まったノーアが寝ていて、大の字になったルナリアが寝ている。

私、何時間寝てたんだろう?

窓の外の暗さから判断して夜中っぽいけど、室内に時計がないから時間帯の予測が全く付かない。

ノーアだけじゃなくルナリアも豪快な寝相で気持ちよく寝ているってことは、20時を過ぎていることは間違いないはずだ。

お昼を食べて以降、血を飲んだ以外に何も摂っていないのに空腹感は無いな。

しっかり寝たスッキリ感よりも、心身が充実してジッとしていられない感じの方が強くてヤバいぐらい。

目が冴えきっていて二度寝も難しそうだなあ。

誰か起きていないか、ちょっくら見に行くかな。

ワナに掛かった残りのバンダースナッチ回収作業が、事故無く無事に終わったのかが気になる。

聞けるものなら何がどうなったかは聞いておきたい。

現状はルナリアと私の間にノーアが寝てる三本川フォーメーションだ。

位置的に隊長機はノーアだな。

隊長機ってことは、アレだ。

ノーア隊長、今日もカワヨっすねえ。

バカ野郎、フィオレ! 作戦行動中の私語は慎め!

心配性っすねえ、隊長は。こんな夜中に敵なんか、グワ―――ッ!!

フィオレエエエ―――ッ!!

そんな感じ?

お姉ちゃんは、撃墜されたってノーアのことを見守ってるからね?

んもぉおおお、ノーアは寝てても可愛いんだから!

prprして良い?

とりあえずノーアのふわふわと柔らかい髪は、くんかくんかするけど。

すはー。良い匂い。

ハッ! いけない。何だこのハイテンション?

幸いなことに今日はノーアの手が私の夜衣を掴んだ捕獲状態では無いから、不用意にノーアを刺激しなければ捕まることは無いだろう。

何気に握力が強いノーアに捕まってしまうと、おトイレにも行けなくなるからね。

一度寝たノーアは朝まで起きないけど、寝ていても握力は健在で、下手に捕まると私が脱皮するか、寝ているノーアを抱き上げておトイレに連れて行く羽目になる。

もぞもぞとノーアから離れる方向へ移動していけば、そのうちベッドから脱出できるので、ベッドを揺らさないよう慎重に移動する。

ズリズリとお尻を後退させてベッドの端からボトリと落ちる。

ヨシ。脱出成功。

シャキーン! と、勝利のポーズをキメてから、足元に有るだろう部屋履きを探す。

要するにスリッパだね。

お。有った有った。

掛け布団の上にショールを掛けてくれていたので、風邪をひかないように念のためショールを肩に羽織る。

テーブルに置いてくれてある水差しから、添えてあるコップに水を注ぐ。

「・・・んく、んく、んく」

プハー! この一杯のために生きてるね! なんて、仕事終わりの帰宅直後にキンキンに冷えた缶ビールを飲み干していた頃が懐かしい。

さて、現状を探りに行くか。

不寝番のメイドさんぐらいは起きているだろうし、何がどうなったかの話は聞けるだろう。

足音を抑えてルナリアの部屋と続き間になっている控え部屋のドアを小さくノックする。

「・・・おや? アレーナさん?」

返事が無いな。

ドアノブを回して控え部屋を覗き込むと、誰もいない。

この部屋は、ルナリア専属メイドだったマーサさんの仕事場だった部屋で、不寝番の詰所になっている部屋でも有る。

ルナリア部屋の不寝番は、古参メイドのアレーナさんが務めてくれていることが多いんだけどな。

戦時下でも無いし、厳戒態勢下でも無いし、不寝番だってトイレに行くことは有るし、厨房へ夜食を受け取りに行くことも有るものね。

実際、テーブルの上に飲みかけのティーカップが有るから、何かの用事で席を外しているだけっぽい。

「・・・どうするかな」

おトイレついでに誰か捜しに行くか。

脱出経路は控え部屋のドアだ。

ルナリアたちが目を覚ましていないか確かめた後、そーっとドアを閉める。

ルナリアも寝たら起きない方だけど、大きな音を立てて起こさないように気を付けて、控え部屋経由で廊下へと脱出する。

「・・・ふぅ」

テッテレー! 私はやり遂げた!

頭の中でファンファーレを鳴らしながら、ペッタラペッタラと部屋履きの音を鳴らして廊下を歩き、おトイレの個室で穴底のスライムにブッ掛けてスッキリする。

さーて、どこになら人が居るかな?

警衛の夜番に就いている兵士さんたちのお手を煩わせるのは良くないな。

今がまだ、日が変わる前の時間帯なら、ティールームでハインズ様とお爺様がお酒でも飲んでいるかも知れない。

誰もいなければ日付が変わった後だと考えて良いだろう。

そのときは大人しくベッドに戻って二度寝に挑むしか無い。