軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

再会 ⑱

「これもレティア卿が果たせなかった罪滅ぼしだ」

「私たちにとっても他人事では有りませんからね」

首を振るハインズお爺様とセリーナお婆様の答えにテツさんが目を向ける。

セリーナお婆様が悲しそうな笑みを浮かべた。

「というと?」

「私の母は神教会の手から逃がされて、小国連合諸国の1つからリテルダニア王国へ嫁いできたのですよ」

「逃がされて・・・」

テツさんたち全員の目がお婆様へ集まっている。

旧ジュノー王国が滅ぼされたのはセリーナお婆様のお母様がご存命の頃のことだ。

違ったかな? 確か、そうだったはず。

勇王が召喚魔法でこっちの世界へ拉致されて来て以降、旧エクラーダ王国も含めて4つの小国が滅ぼされている。

「今では勇王国の一部です。フィオレの故郷もね」

「連中は共通の敵ってわけだな」

お婆様に返したテツさんの低く冷たい声にみんなが頷く。

こっちの世界へ来たばかりのテツさんや森の奥に籠もっていたエルフ族は知らなくても、ロブウッドさん父娘やクァタルさんたち獣人族の面々は数ヶ国が滅ぼされたことを知っていたのだと表情から分かる。

ロブウッドさんたちとも意識の統一を図っておくべき頃合いかな。

テツさんとエルフ族とは新領地で話したけど、別ルートでウォーレス領を目指していたロブウッドさんたちは話し合いに同席していなかったからね。

自分たちの置かれた現実を理解しておいて貰う必要が有る。

「・・・何もしなくても神教会の侵攻は止まらないよ。こっちが戦いを避けても、きっと向こうはどこまでも追ってくる」

「だから迎え撃とうってんだな?」

ロブウッドさんの確認に、ゴクリと息を呑んだクァタルさんたちの視線も私に集まる。

「・・・衝突が避けられないのなら、その日が来るまでに備えておかなきゃいけない」

「陛下なら1日でも長く時間を稼ごうとされるだろうがな」

兵馬を鍛え、武器を揃え、食料を蓄え、日々、次の戦争に備える。

これはレティア卿の頃からウォーレス血族が連綿と守り続けてきた意志。

もしかすると、レティア卿はこうなる日が来ることを予期していたのかも知れない。

ロブウッドさんの目に決意の光が宿る。

「儂は協力するぞ。2度と娘の故郷を奪わせるものか」

「お父ちゃん・・・」

父の決断に娘が信頼の目を向けた。

「非才の身なれど、オレも今度こそ守り抜いて見せます」

クァタルさんも決意の炎を宿した目を上げる。

クァタルさんの決意表明にミャウラさんとイカウさんも大きく頷いて同意を示す。

仲間たちの意志が固まったのを見届けて、レイクスさんがハインズお爺様とお父様を順に見る。

「僕らは郷へ連絡を取るよ。ここまで大きな決断になると、お祖父様の判断をいただかないと。僕の一存で決めるわけには行かない」

「・・・んん? ちょっと待って。生きてるの?」

今、聞き捨てならないことを言ったよね? お爺様?

私の疑問にレイクスさんの目が私へ向く。

「えっ?」

「・・・ええ?」

いや。「えっ?」じゃないよ。

私だけじゃなく、ウォーレス家側の全員が首を傾げている。

レイクスさんも首を傾げてるけど。最前線を預かる武将として瞬発力に優れるお母様が真っ先に思考を立て直す。

「アダレー王がまだご存命なのか?」

「はい。まだお元気ですよ」

ニコリと笑ってケイナちゃんが頷き返す。

「さすがにもう、狩りに同行されることは無くなったけどね」

「今日明日でどうこうなりそうな雰囲気じゃなかったな」

私の疑問を理解してくれたレイクスさんとテツさんも追認する。

「「ふぁ~」」

マジかぁ。

思考が追い付いたルナリアの声が私の口から漏れる声と重なった。

「驚いたな。歴史上の御仁だぞ」

お父様も感嘆の声を上げて、ウォーレス家側の全員が頷いて同意する。

500年前の対魔族大戦期の王位に就いていた人だよ?

地球の年表で言えば少なくとも15世紀。1400年代でしょ。

1400年代と言えば、まだアステカ文明やマヤ文明が存続していた頃で、大航海時代だよ。

下手をすると1300年代に生まれた人かも知れない。

日本だと「やあやあ我こそは!」なんてやっていた頃じゃん。

一体、何年生きてるの?

「エルフ族とは、とんでもなく長寿なのだな」

「お祖父さまは特に長生きなさっておられますから」

サラッと「お祖父さまは特に」なんてケイナちゃんは言うけど、感覚がバグってない?

人類の常識を超越したアダレー王ショックで全員が意識を持って行かれてしまった。

エルフ族の集落へはサーレーンさんとタレースさんの2人が伝令に向かい、レティアの町で返事を待つ間、採掘場へシカを見に行きたいというレイクスさんにテツさんとケイナちゃんも付き合うことになる。

クァタルさんやロブウッドさんたちも、当然、採掘場へ付き合う。

それぞれの行動方針が決まったことで、エルフ族の謎が深まった晩餐は終了した。