軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精霊魔法というもの ①

「・・・秘密にしていることかも知れないから、直接訊ける機会を待つよ」

「秘密かぁ。気になるわよね」

一先ず納得してくれたルナリアの様子に安心していると、私を見てケイナちゃんも目を丸くしていることに気付いた。

いや。私、というか、私の胸?

“私を見ている”と言うには視線の高さが低いよね。

自分のペッタンコな胸元を見下ろして、軍服が汚れているとか、そういうのでは無さそうだと確認する。

視線を上げてケイナちゃんの胸と見比べる。

良い勝負じゃないかな。

バインバインに育つ可能性が濃厚なルナリアとも、まだどっこいどっこいだからね。

お互いに着膨れてるから正確には分からないけど、ケイナちゃんも女性らしい起伏が有るようには見えないし。

まだだよ? まだ慌てる時間じゃない。

私たちには無限の可能性が残されている。

何となくシンパシーを感じちゃうんだけど、私の視線に気付いたらしいケイナちゃんが、ハッとした表情を浮かべたかと思えば恥ずかしそうに俯いてしまった。

私、そんなにケイナちゃんの胸を凝視してたっけ?

誤解されたかも知れないと危機感を募らせていると、ドネルクさんが溜息を吐いた。

王様から難題の解決法を探してこいと無茶振りをされてウォーレス領まで来ていたドネルクさんは、状況の変化を飲み込んで心を立て直した様子でテツさんにジト目を向ける。

「それで? お前たちは東部の森に行っていたはずだろう」

「そっちは終わったぜ。何とか言う迷宮もな」

「「迷宮?」」

ルナリアと私の声がハモる。

迷宮と言われて私たちが最初に思い浮かべるのは渡河地点の迷宮なんだけど、迷宮ってどこの迷宮?

「ああ。クズ魔石を採ってこいって依頼だ」

「・・・あっ。死霊系の魔石!」

クズ魔石という単語で思い出した!

それって、お父様が手配してくれたヤツのことだよね!?

テツさんが驚いた様子で私たちに目を向けてくる。

「何で知ってんだ?」

「その依頼を出したのってお父様だもの!」

ルナリアも思い出したようで、ルナリアの答えにテツさんが首を傾げる。

「お父様っつーと、公爵さんか?」

「今の公爵さんは、わたし!」

「そうだったな。すると、前の公爵さんか」

ルナリアの自己主張にテツさんは目を細めて笑う。

この人、子供の扱い方が上手いなぁ。

きっと子供がいるんじゃないかな。

微笑ましそうに笑いながらも子供を対等に扱う辺りから、子供好きで大人な人なのだと感じさせられる。

テツさんの疑問に明確な答えを返したのは、仕事を割り振った本人なので有ろうギルド長のドネルクさんだ。

「依頼者はウォーレス公爵家だ。で? 採れたのか?」

「200個以上は採ってきたぜ」

「・・・おお。200個!」

1枚の畑に5個の魔石を使うと仮定しても畑40枚分だよ!

ラクネの魔石も有るし、お化けの魔石にプラスすれば、余裕で畑100枚以上は新たに開墾できる!

ウォーレス領とピーシス領が農地を増やして成功すれば、王国各地でも後に続けと荒れ地の開墾に意欲を燃やしてくれるだろう。

だってさぁ。ウォーレス領が森を拓いてお肉や岩塩を得たからって、魔獣と戦えもしない領民を森へ送り込んでくるんだよ?

もう、バカなのかと。

そのお陰で救助活動までしなきゃいけなくなって私たちが危うい目に遭ったんだし、そんな無茶をされるぐらいなら、森の外で荒れ地を農地に変える事業に勤しんで欲しい。

それにしても、死霊系ダンジョンでの魔石採取は儲けが出ないから請け手が居ないと聞いていたんだけど、テツさんたちが請けてくれたんだね。

有り難いことだよ。

市場原理的に難しい依頼だったことはドネルクさんも分かっていたようで、ホッとした様子で頷いている。

「素材の査定をするから、一旦、ギルドに納品しろ」

「了解。ところで、死霊系の魔石なんて何に使うんだ?」

お? 聞きたい?

今後もクズ魔石の需要は続くと思うから、何のためのものか分かって貰っておいた方が良いな。

「・・・スライム避けだよ」

「スライム? トイレにいるヤツか?」

私の答えにテツさんが怪訝な顔で首を傾げる。

うん。分かる分かる。

おトイレにスライムが居るのを知っていれば、そっちを連想するよね。

ていうか、普通に日本人をしていれば、スライムと魔石に関連性を見出すことはないと思う。

畑とスライムの関係性も知らない可能性が高いね。

「・・・おトイレじゃなく野生の方。農作物を守るのに畑に魔石を埋めるの」

「スライムは弱い魔獣ですから、魔石を埋めておくと魔石を怖れて畑に寄り付かなくなるそうですよ」

テツさんに分かりやすく解説してくれたのはケイナちゃんだった。

ケイナちゃんは落ち着いた感じで話す子なんだね。

幼さの有る可愛らしい声に似合わず知性を感じさせる話し口といい、どこかテレサに似た雰囲気が有る。

そんなケイナちゃんの解説に、テツさんは思わぬ反応を返してきた。