軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第2次領有宣言 ④

「・・・対空戦闘?」

「たいくう? ああ、そうだな。対・空の戦闘。対空戦闘だ」

私からの確認にお母様が頷く。

ちょっと際どい質問の仕方だったとは思うけど、今までに無い、というよりは、今までよりも踏み込んだ考え方になるはずなんだよね。

今回の防衛施設の在り方を一緒に考えるに当たって、概念の共有はしておいた方が良いんじゃないかと思った。

トリアさんだけでなく、お母様の側近全員が表情を引き締める。

「対空戦闘・・・」

「・・・対空戦闘かあ。防衛だから対空防御かな」

先ずは情報の整理だ。

航空機のない世界で対空戦闘を想定しろと要求されても、結構な無茶振りだと思うからね。

地球人類の歴史は破壊と殺戮の歴史とも言えるもので、敵の予想を上回る攻撃と防御のイタチごっこの歴史でも有る。

航空技術という戦いの在り方を一変させた科学と工業の粋は、こっちの世界ではまだ到達していない分野だ。

地球の歴史を知る私でも、対空戦闘に備えろと言われたって、軍艦や要塞や爆撃機に据え付けられていた 銃座(ターレット) ぐらいしか対抗策を思い付かないもの。

いわゆる“対空銃座”だね。

正式名称は何て言ったかな。

経緯台式? 思い浮かぶのは、横方向の経度と縦方向の緯度で2方向に向きを変えられる台座固定型の対空機銃。

それ以前の時代となれば、銃や弓矢を空に向けて構えるぐらいしかなかったはずだ。

つまり、城壁の歩廊に弓兵や魔法術師を上らせるしかない。

でも、上空から機銃の弾丸や爆弾を降らせてくる航空機と違って、私たちが相手をするのは空を飛ぶ魔獣だ。

魔獣は機銃を撃ってきたり爆弾を投下してきたりすることがない。

ポイントはここだな。

航空機のことまで話す気は無いけど、入れ知恵というか、対抗策を考える手助けは出来そうな気がする。

「・・・ガルダって、ノーアがやられたように上空から急降下して掴み掛かってくるよね?ドラゴンフライは“獰猛くん”が囓られたように噛み付きに来るんじゃないかな。それって、空は飛んでるけど最後は近接戦闘になるってことだよね?」

「近接戦? まあ、そうだな。ドラゴンフライは雷を使うが、今日の戦闘で雷自体は致命的なものではないことが分かった。だとすれば、最後は近接戦闘になるだろう」

私の確認にお母様も頷く。

言っていて自分でも極論だとは思うけど事実は事実だ。

その状況を考えてみる。

うーん・・・。どう戦う?

向こうは接近する必要が有って、こっちは接近されたくないわけじゃん?

あれ? 近付かなきゃ攻撃できないのって、向こうの事情だよね。

向こうの都合に付き合う必要が有る?

「・・・ガルダにしてもドラゴンフライにしても、空を飛ぶ魔獣と同じ条件で戦えば、どのみち最後は互いに接近しないと決着が付かない。ただ、それは“同じ条件で戦えば”だよね? 向こうは接近する必要が有って、こっちは接近させない必要が有る。同じ条件にはならないんだよ。近接戦闘になるのを防いでしまえば、弓でも魔法でも遠距離攻撃の手段を持つ私たちが一方的に攻撃できるってことにならない?」

私の指摘を吟味しながら聞いてくれたお母様が考え中ポーズになる。

「ふむ・・・? 確かにそうなるな」

「・・・だったら、接近を邪魔すれば良いんじゃないかな」

こっちと向こうの間に障壁を置いてやれば邪魔できるよね?

単純な話、柵を1つ置くだけでも降下してきた魔獣による近接戦闘を阻めるじゃん。

アレだ。人間の方が檻に入ってホオジロザメの撮影をするような感じが良いんじゃないかな。

何か、こっちに来てから、そんなのを見なかったっけ?

あっ。北門だ。すんなりと気持ちよく思い出せてポンと手を打った私を、お母様が首を傾げて見る。

「邪魔だと?」

「・・・例えば、レティアの城門に付いてる外門と内門。格子門だっけ? お互いに姿は見えてるけど、格子が邪魔をして向こうは近付けないけど、こっちは攻撃できる」

「格子門ですか。木材ででも土術式ででも格子は作れますね」

トリアさんもポンと手を打つ。

「・・・向こうが近接戦闘を挑んできたからって、バカ正直に付き合ってやる必要なんてないよね?」

「敵の嫌がることをするのが戦争だからな。歩廊を格子で囲えば、対空防御だったか? 防衛すること自体は問題無さそうか」

私の良い分にお母様が深く頷く。

私たちは人類最強を目指す格闘家じゃないんだし、魔獣との命の遣り取りで勝つのに汚いもクソも何もない。

生存競争に慈悲はないんだよ。

その辺りを踏まえて施設の在り方を考えてみるかな。

「空は屋上を格子で囲うことで対策できたとして、次は地上ですね」

「ラクネと、後は迷宮から再びドラゴンフライが出てくることが有った際の対策だな。フィオレ。お前はどう思う?」

そこで私に訊いてくるのは、私が戦闘を始めたからかな?

私には馬鹿力の魔力の手が有るから押し留めようとしたけど、あれを他の人が真似ようとしても出来ないだろうね。

押し留めようにもパワーと体格が違い過ぎるもの。

体積比で言えば子分の方でも数百倍は有るでしょ。

ま、お母様は私の正直な所見が欲しいのだろうから、本音で答えるけどね。