軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

岩洞に

「ガイウス!」

「なんだ。アウラか。今客人が来ているから、後だ後」

普段ほとんどかかわることがないが、ショウの友だちで、町一番の衣料品店の娘、アウラだ。

しかしアウラは、ガイウスの言うことを聞いているのかいないのか、ガイウスたちのもとにすたすたと歩いてきた。ガイウスは目をぐるりと回した。

北の町の子どもたちは皆こうだ。よく言えば自主自立、行動力があるが悪く言えば大人の話を聞かない。ショウしかり、アウラしかり、そしておとなしそうな顔をしてリックの後ろでにこにこしているが、アルフィだってしかりだ。

「治癒師を派遣するんですってね。うちも今回は岩洞に人手を派遣しようってことになったの」

「はあ? うちって、アウラの店がか?」

意外な申し出に、ガイウスは戸惑った。狩りの話に、衣料品店が何の関係がある?

「ほら、カナンの町に行ったショウたちに、お店の商品を頼んだのだけれど」

だからそのことが狩りに何の関係があるのだろうとガイウスは思った。

「よく考えたら、人に頼らずに自分が行けばいいことじゃない? 今回治癒師が派遣されるって聞いて」

アウラはちらりとアルフィのほうを見た。

「私もついて行って、岩洞の町を視察がてら取引先に直接衣料品を卸してこようかと思って」

ガイウスは頭を抱えた。

どいつもこいつもやりたいことは決まっていて、俺はと言えば許可を出すだけなら、俺が町の代表でいることに何の意味があるんだ。

「いつもより早い時期に人を集めようとしている我が町では、物資は不足気味であることが予想されます。贅沢品ばかりでなく、生活必需品ももちこんでもらえればうちはとても助かりますが」

そこで言葉を止めた使者は、アウラが明らかに成人していないことを見て取ったのだろう。

「父の許可は取ってあります。私だけでなく店の者ももちろん行きます。ショウやアルフィやハルみたいに、特別な仕事の見習いだけが頑張らなくちゃいけないなんて、おかしいと思うから」

それはアウラの本音だろう。

よし、まとめよう。ガイウスはテーブルの上で手を組んでそこに顎を乗せた。

狩人はまだ出せない。

治癒師は出したくないが、教会が何とかなると言っているのだから任せよう。

アウラについては、本人のやる気と親の許可があるのだから許可せざるを得ない。

まだ成人していないことについては、今更だろう。ショウやハルやアルフィだけが特別扱いなのもおかしなことなんだ。

「よし」

ガイウスが悩むべきことは何もない。ほんのちょっと代表としてのプライドが傷ついただけだ。

「あー、それでは北の町からは、教会が行かせてもいいと言った者を派遣する。アウラも勝手にしていい。ただし」

ガイウスは使者を厳しい目で見た。

「うちが成人前の見習いを実践に出しているのは、優秀な導き手が一緒に行動しているからだ。今回は導師はいないし、うちからも狩人は出せない。その分、しっかり子どもたちを見ていてもらわないと許可できない」

「もちろんです。この四年間、導師と小さい治癒師方のおかげで、うちの町の年少組や見習いもどんどん活躍の場を広げています。無理をさせないようにきちんと見守りますので、力をお貸しください」

「仕方ねえ」

つい本音が出てしまったガイウスだった。

だが、ガイウスも今年は首の後ろがちりちりするような不安感にずっとさいなまれていた。何かがおかしいが、どうしていいかわからないもどかしさ。それをどうにかするには、行動するしかないのだ。

「リック、アルフィ、アウラ。いずれ俺たちも向かう予定だが、先に行って頑張っててくれ」

明るい顔で頷く若者たちは、不安よりも自分の力を発揮できることに顔を明るく輝かせている。

その笑顔を守れるようにとガイウスは願う。

北の町も動き出そうとしていた。