軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31 帰り道

三十一

「それじゃあ、これは一先ず私が預かって責任もって渡しておくね」

「うむ、そうしてくれ」

エメラは大鎌にアイテム化の無形術を掛けると、アイテムボックスにねじ込む。

「うっわ。容量ギリギリだ」

「あんだけ重けりゃしょうがねぇな」

アイテム欄を見ながら、エメラはその容量を示す数字を見て声を上げる。

冒険者の持つ組合貸し出しの操者の腕輪。実は種類毎にアイテムの許容量が違い、もちろん大きいほど賃貸料も高くなる。エメラの腕輪は二百キログラムが最大だが元々入っていた分も合わせて、その容量がほぼ埋まってしまった。

アスバルは実際に大鎌を手にしていたので、あの重さならばそうなるだろうと納得している。しかしゲーム時では許容量の制限が無かった為、ミラは首を傾げる。

「なんじゃ、容量なんぞあるのか?」

ミラは言いながらエメラの腕輪を見る。その腕輪は、自分のしているものとデザインはほぼ変わらない。若干、大きいくらいだろうか。

「ミラちゃんのは無いの!?」

「ないのか!?」

「入れ放題ってか!?」

エメラとアスバルに加わって、ゼフも食いつく。アイテム回収係りであるゼフにしてみれば、無尽蔵に入るアイテムボックスは、正に夢の様なアイテムだ。

連呼されたミラは、その剣幕に引きながらも自分のアイテム欄を開いてみた。一覧してみる限り、特別に重いという物は入っておらず、小物がほとんどだ。総重量としてみても百キロもいかないだろう。

つまりは、もし現実となった事でアイテムボックスに上限が発生していた場合でも、まだそこまで到達していないとも考えられる。

「いや……どうじゃろうな。そこまで入れてもおらんので分からんのぅ」

ミラは可能性を考慮してそう答える。

実際、冒険者なりたてで限界までアイテムを詰め込む様な事は無いだろうと三人も熱を下げる。しかしフリッカがある疑問に気付く。

「組合から貸し出されたのでしたら、容量についても聞いてると思いますが」

その言葉に一同は、あっと声を上げる。

「そういえばそうね。聞いたの?」

エメラにそう言われたところで、ミラの腕輪は操者の腕輪ではなく初めからしていた操作端末だ。聞いている訳が無い。

「あー……これはのぅ、……師より預かったものでな。使い方しか聞いておらんのじゃ」

「そっか、なるほど。それじゃあしょうがないか」

ミラは弟子設定を利用して、そうはぐらかすと一同は納得した様に頷く。

「ですが、もしもの時に容量一杯になってしまうと困る事になりますので、一度確かめておいた方がいいかもしれませんね」

「そうじゃな。そうしておこう」

フリッカの提案に賛同すると、ミラはアルカイト城に戻った時、適当にそこら辺の物を突っ込んで試してみようかと一考した。

その後、ミラは一度大鎌を預かるとアイテムボックスに入れて、まだまだ問題ない事を確認するとエメラに返す。

ミラ達がそう実験し終わった時の事。一番初めに気付いたのは、ゼフだった。

「おお!? 燃え始めたぞ!」

その声に一斉に振り向いたミラ達は、黒炎に巻かれ身体を散らしていく悪魔の亡骸を目にした。

「どうした、何かしたのか!?」

アスバルが、炎に触れないぎりぎりの位置まで飛び出すと、傍らで呆気に取られた様に佇むゼフに問う。

「いや、何も。いきなりだ」

ゼフは首を横に振りながら、その炎を瞳に映し続ける。完全に殲滅されたとされていた悪魔を、ゼフは興味深げに観察していただけだった。するとどういう事か、目の前で突然燃え上がったのだ。

「心配は無い。それが悪魔の最期じゃ」

ミラは落ち着き払った表情で、そう告げた。悪魔は倒されると一定時間後に黒炎と共に消滅するのだ。そして炎が収まると、そこには、

「ん……なんか燃え残ってるぞ」

恐る恐るといった表情で、ゼフが残された黒い物体を突付く。悪魔が命を失うと、その存在は内に宿した魔界の焔によって塵に還る。そして、悪魔のより強靭な部位だけが、業火に耐え残されるのだ。

「思いの他、残った方じゃな」

その言葉にゼフは、これはこういうものなのだろうと判断すると、悪魔の素材を回収した。

やるべき事は全て終えて、上層を目指して進む一行。帰り道は魔物も復活しておらず、何事も無く六層目から一層目までを上りきった。

ミラ達は入り口の結界を抜けて爽快な空気を胸いっぱいに吸い込む。ただ一人、ゼフを除いて。

「はぁーー! やっぱりダンジョンから外に出たこの瞬間って気持ちいいよね」

エメラが大きく伸びをしながら息を吸い込む。正確にはまだ祭儀場なので外ではないが、それでもじめりとして陰気な地下と比べれば十分に清々しい。

アスバルやフリッカも各々寛ぎを見せる中、ゼフは真っ赤な手形を刻まれた両頬を手で押さえながら「おーいてぇ」と呟いていた。六層目の階段を登る時に再びエメラをからかっていた結果だ。

タクトは、隣でじっとミラの姿を見つめている。その瞳は、敬意の念と強い意志が宿っていた。

「さて、思いの他早く出れちゃったし、日が暮れる前に帰りましょうか」

エメラは神殿の隙間から零れ入る、紅く染まった日差しを目にしながら言う。

古代神殿から鎮魂都市カラナックまでは、徒歩で二十分。本来の予定では途中の階層で野営をする予定だったが、ミラの大虐殺により圧倒的に短い行程で終了した。エメラ達のアイテムボックスでは、無数の食料と薬品が出番の無いまま一足早く眠っていた。

居並ぶ神像に見送られ、一行は帰路の林の道へと入っていく。

早起きな梟の声が遠くから微かに響いてくる中、林道を横切る一陣の風が一行を撫でながら通り抜けると、黒猫が後を追う様に続いて飛び出した。

「ミラちゃん白ーー!」

フリッカが自分のローブの事は度外視して向けた視線の先に映ったのは、風により捲れ上がったミラのスカート。突然の陣風だったが、狙い澄ましたフリッカの視界は無地の白パンツを捉え、鼻息荒くミラに迫る。対するミラは、ビクリと身体を震わせアスバルを盾にしてエメラに視線を送った。何とかしろと。

無言で頷いたエメラは今日一日で、かなりスキルの上がった手刀をフリッカの頭に落とすと溜息混じりに、

「悪い子じゃないのよ?」

と一応仲間を気遣った言葉を口にする。ミラは、悪い子云々の問題ではないだろうと首を振って返した。

「あの……」

エメラがフリッカを引き摺りながら戻って来る時、タクトがミラを見上げながら小さく声を上げる。

「ん、なんじゃ。どうした?」

ミラはアスバルの影から顔を覗かせながら、タクトに視線を向けて答える。タクトは、どうしようかと少しだけ悩むが、意を決しミラに真っ直ぐ視線を返す。

「さっき、風が吹く前に女の人が見えたんですが。何だか追いかけられているみたいに見えて、気になったんです」

タクトのその一言に、ミラは「ほぅ」と驚きの声を上げる。

「タクトよ、今のが見えたのか」

「は、はい。えっと、アルフィナさんみたいな髪の人でした」

「そうかそうか。どうやらお主には術士の素質があるのやもしれんのぅ。今通り過ぎたのは風の精霊じゃよ」

そう、風が吹く直前に一行の前を風の精霊が横切っていた。そしてそれ故に陣風を予測出来たフリッカは、ミラのスカートをロックオンしていたという流れだ。才能の無駄遣いである。

「僕に術士の……」

ミラの言葉を繰り返しながら、タクトは湧き上がる様な歓喜に身体を震わせる。恩人であり、憧れでもあるミラと同じ術士になれるかもしれない。タクトのその思いは一際強く輝きを増していく。

「しかし見たところ、黒猫に追われている様じゃったし、あれはどうした事か」

ミラは呟き顎に手を当てて記憶を巡るが、精霊を追いかける存在などエレメンタルイーターという存在しか覚えが無い。そしてそれは、基本に忠実な怪物的容姿をしている為、どう間違っても黒猫に見える様なものではない。

ミラが物思いに耽っている最中、右側の林がさわさわと揺れると、再び一行の前を風の精霊が横切った。その姿を目にしたミラは即座に踏み出すと、後から飛び出してきた黒猫を抱き止める。

「むぅ、なんじゃこやつは……」

その黒猫は見た目よりも随分と軽かったのだ。それどころか、にゃーにゃーと何かを訴えるようにミラを見上げて鳴き声を上げる。

「あら、その黒猫から何やら魔力を感じますね」

いつの間にか復活していたフリッカが、ミラの手元を覗き込みながら言う。ミラは、その言葉を聞くと試しに黒猫を 調べて(・・・) みた。

「こやつ……式神じゃったのか」

黒猫の姿に重なる様に『式神:ニャン丸』という文字が浮かび上がる。

式神とは、陰陽術士の操る従者の様なもので、それこそ無数の形態が存在しているという。動物から空想上の生物まで様々だ。

「しかし……こやつ……」

腕の中で今もまだ、にゃーにゃーと鳴きながらミラに肉球を押し当ててじたばたしている黒猫。可愛すぎた。

思わず表情が緩みきる直前、ミラはエメラ達の視線を意識して押し留まる。しかし黒猫の愛らしさは留まる事を知らない。そして、フリッカは手元の黒猫を見る振りをして、ミラの胸元を凝視している事もミラは知らない。

「あの……」

ミラの背後からふわりと風が舞うと共に、囁く様な少女の声が耳元を擽った。そして同時に、にゃうんと黒猫は身を捩るとミラの手から抜け出して、背後の方へと駆けて行く。

「あ……。さっきの」

一息早く、タクトがその姿を目にして呟いた。ミラは、黒猫を追わず胸元を見つめたままのフリッカに、またかと苦笑しながら振り返る。するとそこには、目の前を横切っていった風の精霊の姿があった。

「ね……ねこさんに何をする気ですか……!?」

木の影から顔を覗かせた風の精霊は、ニャン丸を庇う様に抱きかかえながらミラとフリッカに警戒色全開で問いかけた。

問われた二人は、風の精霊が黒猫に追われている構図しか見ていなかったので、この状況に若干困惑気味だ。だが一つだけ分かった事は、風の精霊と黒猫は知り合いで仲良しだろうという事。

「あー……、特に何もする気はないのじゃが」

「えっと……えっと……。じゃ、じゃあ……私を虐めに来たんですね!?」

そう風の精霊が叫ぶと唐突に周囲の空気がざわめき始め、小さな旋風がミラ達の周囲を囲む様に巻き起こる。

「おいおい、なんだこれは。何がどうなってんだ」

「ね……ねぇミラちゃん、フリッカ。どういう状態なの!?」

エメラやアスバル達、戦士クラスには精霊は見えない為ミラが何と話しているのかは分からない。だが、身の危険を感じる程の猛烈な旋風に身を寄せ合い構える。

「どうやら風の精霊は、私達が黒猫を虐めようとしていると勘違いしたみたいです」

「それって、まずくね?」

淡々としたフリッカの言葉に、思いの他切迫した状況じゃないかとゼフは頬を引き攣らせた。

「まあ落ち着くが良い。わし等はお主が追われていると思い、そのニャン丸を抱き止めだだけの事じゃ」

ミラは、風の精霊の胸元でじっと目を向けてきている黒猫を示しながら、ありのままに弁明する。精霊は決して意思疎通の図れない相手ではない。基本的には人類の味方だ。

「……ニャン丸ですか?」

風の精霊は小首を傾げると、ミラの言葉の一部を繰り返す。

「その黒猫の式神の名じゃが……知らんかったのか……?」

「…………」

それからミラは、簡単に自己紹介をすると事情を話した。風の精霊が黒猫に襲われている様に見えた事や、助ける為に黒猫を止めた事。そしてその黒猫は式神で、名前はニャン丸であると。

どうやら、ニャン丸と風の精霊は追いかけっこをして遊んでいたという事だった。

「あぅぅ……あの、その。ごめんなさい」

「いや……わしも事情を知らずに割り入ってすまんかった」

ミラが説明するにつれて旋風は徐々に弱まっていき、説明が終わると風の精霊はニャン丸を抱いたまま謝罪を口にする。対してミラも謝罪すると、二人は心なしに微笑み合った。

「ねこさん……ニャン丸さんは式神さんでしたか」

「にゃうん」

「ところで、お主はニャン丸の主人を知っておるか?」

「いえ、ニャン丸さんと初めて会ったのは私が怖い人に襲われた時でした。危ないところをニャン丸さんに助けて頂いたんですが、特に陰陽術士さんは居なかったと思います。

その日からも今日の様に、ニャン丸さんに時折遊んでいただいているのですが、会った事はないです」

風の精霊は表情豊かに話す。襲われてのところは恐怖を浮かべ、助けてのところは瞳を輝かせる。ミラはそのリアクションの大きさに苦笑しながらも、腑に落ちない一点に着目する。

「ならば、ニャン丸は自律式の式神という事じゃな。

それはそうと、先程お主は人に襲われたと言うたな?」

「あ、はい。湖の畔で月光浴をしていましたら、突然囲まれまして。怖い顔の方達は武器を手にしていました。私、ビックリしてしまい林の中を逃げ回っていたら、ニャン丸さんが飛び込んできて怖い人達を追い払ってくれたんです」

「最低、精霊を襲うだなんて!」

「うむ、まったくじゃな」

風の精霊の言葉を聞いた直後に怒声を上げるフリッカ。魔術士であるフリッカにしてみれば、精霊は身近でいてとても大切な存在。その精霊を害する者に怒りを顕にしていた。そして唐突に声を上げたフリッカに、精霊の声が聞こえない戦士陣営は状況が理解できずとも、その言葉で何となくの理由を理解する。それと同時に、可愛い女の子以外の原因で声を荒げたフリッカを珍しいなと見つめていた。

風の精霊の様な自然精霊は魔物とは違い、こちらから害する事がなければ決して人を傷つける様な事はしない。それどころか、近くにいれば様々な恩恵を得られ、窮地には助けてもくれる優しい存在だ。例え倒したとしても精霊全ての怒りを買うだけで、レアなアイテムが手に入る事もない。

だが、それはゲーム時代の話だ。現実となった今、もしかしたら知らない何かがあるのかもしれない。良き隣人を害してまで得たい何かが。ミラはその考えに到ると、人の欲の深さに嫌悪する。

「ニャン丸さんにはとても感謝しています。それと、お友達から聞いたのですが、どうやら色々な場所で私達の仲間が襲われ連れ去られているみたいなんです」

「それはつまり、ここ以外にも精霊を襲う様な輩がおるという事か?」

「その様です。私はニャン丸さんに助けていただけましたが……」

風の精霊はニャン丸を震える手でぎゅっと抱きしめる。その表情には仲間達の無事を願う悲哀が浮かんでいた。

(色々な場所となると、精霊狩りを生業とする不貞の輩か、それを商売とする者の仕業かもしれんのぅ)

ミラは、風の精霊の言葉からいくつかの憶測を弾き出す。

自分が知らない精霊の利用法により富が発生し、それを商売としている者の存在。

目の前の風の精霊の様に精霊は見目麗しい者がほとんどな為、観賞や愛玩目的で攫う者がいるかもしれない。

他には、その力を戦力として軍事利用するというのも考えられる。

問題は、害を成してくる人に対して精霊は容赦が無いという事だ。もしも捕らえたとしても、本気で抵抗されれば小さな村くらいは軽く消し飛んでしまう。精霊はそれ程の力の塊だ。

しかし、この世界が現実となり三十年経った今、ミラの想像もつかない何かが開発されていてもおかしくはなかった。特に、その一つであるアコードキャノンをミラはその目で見ている。

技術の進化。それは今までの常識を覆す可能性を秘めた希望であり化け物でもある。

(情報が圧倒的に足りぬな……)

いくら頭の中で考えたところで、ミラはまだこの世界に来たばかり。まだまだ三十年分の情報が不足している事実に行き当たると一つ大きく息を吐き、一旦全ての思考を放棄する。そしてミラは、

「というより、ニャン丸以外にも友達がいたのじゃな」

と、口端を吊り上げ微笑みながら、風の精霊へとイタズラっぽく視線を向ける。

「いますよぉーーー」

心外とばかりに風の精霊は足をジタバタさせながら、ぷくりと頬を膨らませる。すると隣からクスリと笑いが零れた。

「もう、ミラちゃんってば、いきなり冗談なんて言うのですから」

口元に手を当ててフリッカが微笑む。襲撃者に対しての怒りは収まってはいないが、目の前で拗ねた様にしている風の精霊の無事な姿に心から安堵していた。

「まあ、今ここで何を言うたとて、どうにもならんじゃろう。この情報がどこまで広がっているかは分からぬが、組合に話しておいた方がいいかもしれんのぅ。それと行く先々で精霊に出会ったら忠告してやるのが、現状での精一杯じゃろうしな」

「ええ、そうですね」

相手は正体不明。もしかしたら組織立ったものかもしれない。ならばそれ相応の用意が必要だろう。

ミラは、もう知っているかもしれないがと思いつつも、ソロモンやルミナリアあたりにでもこの事を伝え、知っているならば有益な情報がないか聞いてみる事にした。

一先ず襲撃者の件は、そこで結論してミラは今一度、ニャン丸へと視線を向ける。

基本的に敵対する事は無いとはいえ、精霊はそれ相応の力を持っている。人の身で容易に戦える相手ではない。襲撃者は相手が精霊と知って襲ったのならば、その者達は精霊に対抗出来るだけの実力を持っているという事でもある。そうでなければ、人の身に余る相手を襲う等とは考えないだろう。

しかしそうなると、もう一つの疑問が浮かんでくる。

それは、精霊と戦えるだけの襲撃者を蹴散らかしたというニャン丸だ。

精霊を襲った者達に勝るというならば、相対的に式神であるニャン丸は精霊をも超える力があるという事。ならば、その主人は更にその上の実力を持っている事になる。

「ふーむ……ニャン丸か……」

ミラは、その黒猫の式神の名前から、ある人物を思い出していた。

それは、九賢者の一人であり陰陽術の塔エルダー、宗主『七星のカグラ』だ。

陰陽術には、ニャン丸の様な式神を使役する術がいくつも存在し、その中で最も汎用性に優れた式神の中に四聖獣というのがある。

朱雀、玄武、青龍、白虎と呼ばれる非常に有名な聖獣も、陰陽術士の上級者ならば使役する事が可能だ。更に式神は、自律式と操作式に分けられる。自律式は自身で考え行動し、操作式は術者が直接操る。

そして式神の特徴として、習得した式神に名前を付ける事が出来るのだが、これがミラがカグラを思い出した理由。

玄武が亀吉、青龍がニョロ蔵、朱雀がピー助で白虎がガウ太。そこにニャン丸が加わる。違和感が無い。カグラの式神は他にも多数存在するが、そのどれもが似た様なネーミングだ。

(しかし、まさかのぅ……)

もちろん偶然という線も残っている。カグラの様なネーミングセンスを持つ者も探せば居るだろう。

とはいえ、ニャン丸から推測できる術士の力を考えると、かなりの実力者である可能性が高い。ならば同じ陰陽術士同士、その頂点であるカグラについて噂なり何なりでも知っている事があるかもしれない。

結局それも推測でしかないが、そもそもソウルハウル以外の情報は皆無だ。ならばどんな取っ掛かりでも手繰り寄せていけば、運良く当りが引けるかもしれない。

まあ、何も無いよりかはましだろうと、ミラはこの情報を心の隅に留めておく事にした。