軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

28.一週間ぶりの風呂!

「エリーク!」

「アスル、おかえり」

「ただいま、おかえり!」

宿に戻ると、エリークが先に帰っていた。一週間ぶり!

思わず駆け寄ろうとして、あわてて下がる。エリークが首を傾げた。

「アスル?」

「俺、くさい」

一週間も風呂に入ってないし、沼地に落ちるし、三日も体を拭けてないのだ、どう考えてもヤバイ。

エリークは笑った。笑い事じゃないが!

「『浄化』を我慢したのはえらい。風呂にいこうか」

「行く!!」

高級宿『蓮の夢』に行くので、先に宿でお湯をもらって体を拭いて、身形を整える。風呂に入らないまま着替えるのは嫌だが、さすがに沼地に落ちた服では向かえない。

街用の服に着替えると、体がゆるむみたいにほっとした。やはり、宝迷宮の中より街がいい。

『蓮の夢』に着いたら早速、風呂。

湯が黒くなったり、石鹸を使っても全然泡が立たないことに愕然としつつ、しっかりと頭から爪先まで綺麗に洗った。

俺、汚い!

先日買った髪用の石鹸で頭を洗い、濯ぎ液を使うとたしかに指通りもよくなった。ギシギシじゃない。

濯ぎ液は面倒だったけど、これなら髪が多少長くても問題なさそうだ。

風呂から上がったら、髪を乾かす。濯ぎ液のお陰か、櫛がすんなり通る。

「エリークはどこ行ってた?」

乾かしながら、この一週間のことを聞く。

「40層まで行ってきたよ」

エリークの(事故じゃない)到達階層は60層らしいので、大変動後としてはなかなか攻めたチョイスじゃなかろうか。

「大丈夫だった?」

「見ての通りね。でも久しぶりに迷路で迷う感覚を思い出した。平和ボケしてたな」

エリークが苦笑する。それでも一週間で、情報のないまま40層へ到達するのだから、すごいと思うのだが。

「アスルはどうしてた?」

「30層まで行った」

答えると、エリークは面白そうに声を上げて笑った。

「なんで笑う?」

「君なら30層までは一週間で行きそうだなと思ってたら、本当に行ってたから」

それだけ楽しそうに笑われると、まあいいかという気になる。

「エリークはいつ帰ってきた? もうギルド行った?」

「今日の昼過ぎかな。君とそんなに変わらないよ。まだギルドは行ってない。明日一緒に行こうか」

「ん、街も行きたい」

「ああ、街巡りもしよう。しばらくゆっくりするのもいいね」

「お金なくなる」

俺が言うと、エリークがまたおかしそうに笑った。

その日は大きなベッドで寝転がりながら話しているうちに、俺はうとうとしてしまったらしく、気がついたら夕食も食べずに寝てた。すごくよく寝た。

翌朝は腹が減って目が覚めて、高級宿の美味しい朝食を腹いっぱい食べた。デザートまで出た。タルトタタン美味しい。

まずは冒険者ギルドで解体所に行き、荷を下ろす。

「いやあっ、エリークさん来た!」

「このくそ忙しいときに!!」

「弟子までいっしょ!」

「弟子じゃないよ」

相変わらず仲がいい。

くそ忙しいというとおり、最初に来たときみたいに至るところにかごが置かれて、魔物が詰め込まれている。ジャカロプがやはり多いみたいだ。角付のまま、丸ごと持って帰って来る人もいるんだな。すごい。

角付のジャカロプは貴族が剥製とかしたがるので需要があるんだって。

「ああーっ、相変わらずぶつ切り……、あれ、もしかしてこれ地走りです!?」

「そう」

「地走りは丸のまま持ち帰ってきてくださいって前も言ったでしょ!!」

「無理ってそのときもいいました」

「くそう!」

地走りというのは大きい蜥蜴だ。アースリザードといい、街で売られているリザードの肉でもある。鱗と爪が 魔術触媒(カタリス) 、内臓の一部が薬になるらしい。

「肉と内臓があれば十分だろ?」

「ぐうう、いろいろ需要が高いんですよ!」

「肉の方がいい」

「肉おいしい」

「たしかに美味しいですけどね!」

リザードの串焼き、うまかった。

「あっ。あー!? 糸袋、てことはスパイダーですか!? 巣は!?」

「燃やしちゃった」

「くうう!! あれがいちばん需要があるのに!」

「ナイトスパイダーだからそんなに綺麗な巣じゃなかったよ」

「えっ、じゃあこの糸袋すごいやつですね!」

30層から先は蜘蛛も出るのか。

虫系は大抵、無視しても大丈夫なのだが、蜘蛛、蟻、蚊、蜻蛉は別だという。あと場合によっては蛾も無視すると痛い目に遭うとか。毒蛾がいるんだって。

沼地階層、特に虫はいなかったからその点はよかったな。

あれこれ悲鳴をあげさせつつ、エリークの魔法鞄が空になった。

「さあ来い、準備は万端ですよ!」

セスが腕まくりして、ニナが両手を広げる。

次は俺の番だ。ええと、どれから出そう。まずは凍らせてある魔魚からか。

そう思って魔魚を出すと、セスの顔が凍った。

「ま、魔魚!?」

「えっ、アスルさんどこ行ってきたんです!?」

「30層」

「うそ!? 至急、至急ギルマスに連絡して!!」

なんだかすごい騒ぎになった。

※ ※ ※

【魔術覚え書き】

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アウルムまではおよそ一ヶ月の旅になる。道中、補給などで村に寄ったり、魔物を倒したりする必要があるからだ。

魔法鞄さえあればもっと楽に旅が出来るのだと思っていたが、そうもいかないらしい。

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街の外はもっと魔物が多いのかと思ったが、予想よりは魔物の数は少ない。盗賊の方が多くて辟易した。

師匠が、護衛は必ず必要だというわけだ。

冒険者の六人組と旅をしている。価値観が合わなくてしんどい

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村についた。

魔術師の師匠は歓待を受けている。俺は目減りした 魔術触媒(カタリス) の補充だ。まさかここで 魔術触媒(カタリス) の自給自足を体感するとは思わなかった。

森にトレントが出ていたらしく、木材を譲ってもらった。 樹灰(フィト) は『治癒』に使うので、補充できて助かる。冒険者の護衛たちが無駄な怪我ばかりするので悩ましい。

トレントを燃やし続けるのは大変だった。魔力が枯渇するかと思った。やはり色持ちの師匠の話など真に受けるべきではない。

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旅に出て二週間が経った。

中間地点の街につき、護衛の冒険者たちとわかれた。最後までうるさかった。

皆無事についてよかった。

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街ではあるが 魔術触媒(カタリス) 屋がなく、補充に一苦労した。薬屋に売っていたり、雑貨屋に売っていたり、鍛冶屋に売っていたりする。売り場所は統一してほしい。

魔術触媒(カタリス) を作る技術はいろいろ多岐に渡るのでそうなるらしいと師匠から聞いた。元の街へ帰ったら 魔術触媒(カタリス) 屋の主人にはもう少し優しくしようと思う。

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求める 魔術触媒(カタリス) に足りなかったので冒険者ギルドにて依頼を出した。

魔術師(ロアー) が冒険者登録をするなら迷宮都市の方がいいと師匠から言われているので、まだ登録はしていない。

壁に貼られた依頼を見た冒険者が「魔物漁りの依頼」と馬鹿にしているのを聞いた。

魔術師が差別される地域もあると聞いたが、こういう感じなのか、と感慨深かった。

顔は覚えた。

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今日で三週間が経った。

世界が広い。帰るときを考えると今から憂鬱だ。

護衛の冒険者は変わったが、やはりうるさい。

日課の瞑想を邪魔しないでほしい。

270 名無しの転移者さん

旅を満喫しているようでなにより。そろそろアウルムへつく頃かな。

会えないかもしれないけど、来てくれることを楽しみにしてるよ!